日本史の一大スペクタクルは「大坂の陣」

私は営団地下鉄を乗り継いで毎日事務所に通っています。
乗換駅で掲示されているポスターを眺めます。
美術館のポスターが多くて、楽しみです。
この歳になって、美術が結構好きになりました。
まあ、美術館に足を運ぶほどではないですが。

新しい画像 (1)

最近、「オッ」と思ったのが「大関ヶ原展」。
徳川家康没後400年記念、だそうです。
ふーん・・・僕は家康が嫌いです。まあ、生理的に。
京都人ですから太閤贔屓。大阪人もそうでしょうが。

「関ヶ原の戦い」というのは、いわゆる「天下分け目」ですね。
あれで事実上徳川家康の天下が決まりました。
昨年の大河ドラマは、黒田如水が主人公でしたから
関ヶ原の戦いは結構なハイライトだったとか。本人は出ていませんが(笑)。
大河ドラマファンは興奮していたようです。

僕は、日本史フェチです。
今までに全部で4千冊くらいの本を読んでいますが、
ひょっとしたら千冊くらいは日本史関係だったかもしれません。
ですが、最近はほとんど読みません。飽きました(笑)。
読みたいところは読みつくした、という感じ。
新しいテーマが出てくればまた読みますが。

そういう私にとって「関ヶ原」は結構面白いのですが、
気分的にはちょっと消化不良なところがありますね。
というのは、いくさのシーンにドラマがなさすぎ。
西軍も東軍も、大半が戦っていませんから。

だから、ヒーローは石田家の島左近とか毛利系の宇喜多秀家。
岐阜城で戦った織田秀信なんていうのも面白いけど、サイドストーリー。
裏切った金吾中納言なんて、ただの醜悪なエピソード。
島津豊久の死に様なんぞは、中々に味わいがあります。
これがのちの幕末につながるのではありますが。

しかし、今ひとつ盛り上がりに欠ける「天下分け目」。
私が日本史上もっとも面白いいくさだと思うのは「大坂夏の陣」。
これは日本の合戦史上の一大傑作ではないかと私は思います。
何とも『美しい』サムライの物語が幾百と詰まっています。

ちょっとだけ解説しますね。
大坂の陣は、ある意味で関ヶ原のリターンマッチです。
関ヶ原で負けて領地を取り上げられた大名たちがこぞって大坂城に入城。
豊臣秀吉の遺児である秀頼を擁して日本全軍である徳川勢と戦います。
まあ、最初からいかにも勝ち目のなさそうないくさです。

大坂の戦いには、「冬の陣」と「夏の陣」があります。
最初に「冬」。この時には大坂城の城郭は健在です。
家康率いる日本全軍が大坂城を包囲しますが、さんざに手を焼きます。
まあ、大坂方の勝ちと言っていいでしょう。
でも、家康は狡猾です。城内へスペイン製の大砲を撃ちこみます。

大坂方の実質的な最高権力者は「淀君」といって、秀頼の実母。
織田信長の妹のお市の方と近江の大名であった浅井長政の子。
これが豊臣秀吉の妾となって秀頼を生みました。アホです。
彼女がこの大砲怖さに和睦に応じます。
「外堀を埋める」というのがその条件。
ところが、家康方は内濠まで埋めてしまいます。

そして、半年後に「夏の陣」。大坂方に籠城のオプションはありません。
徳川勢は、主に奈良(河内)方面から押し寄せます。
北側は淀川などがあって攻めにくいのです。
いくさは、実質2日で終わります。
もちろん、徳川勢の勝利。秀頼や淀君は自害して果てます。

この時、大坂城に籠った将士は10万人と言われています。
攻める徳川勢は20万とも30万とも。まあ、多勢に無勢。
ところが、大坂方は一度はすべての戦線で徳川勢を圧倒します。
後藤又兵衛、長曾我部盛親、薄田隼相、毛利勝永、塙団右衛門、
木村重成、大野治房・・・いやはや、それはもう見事ですよ。
小気味よく徳川勢を蹴散らしています。

最後の最後は、かの真田幸村。「狙うは家康の首ひとつ」。
武田勢の伝統を継ぐ赤備えの具足で、手勢を率いて家康本陣に殺到します。
家康の本陣は総崩れになって、逃げに逃げます。
家康自身、三度も「これは負けた、自害する」といったとか。
この時、家康は幸村に打ち取られたという、という説もあるほど。
歴史的には、この3年後に死んだことになっています。

関ヶ原は東西30万くらいの軍勢が集ったものの、
戦ったのはせいぜい2万対3万くらいでしょうか。あとは退却戦。
大坂夏の陣は、大坂方10万と徳川20万以上がガチに
今の河内あたりで戦っています。規模では全然上回ります。
でも、歴史的な意味では関ヶ原にはまったく及びませんね。ただの精算戦。

だから、歴史の教科書には1行か2行しか出てきません。
でも、こんなに「日本らしい」「サムライらしい」ドラマはありませんよ。
NHKも吉田松陰の妹などという超脇役ではなく、
日本史の一大スペクタクルである大坂の陣をテーマにすべきです。

私が、戦国史フィナーレを飾るにふさわしいと考えている「大阪の陣」。
歴史的にはかなりマイナーな存在なのですが、中身は潤沢。
ご興味のある方はぜひ知って欲しいですね。
江戸東京博物館も、「関ヶ原」の次には「大阪の陣」をやってくれないかしら。
NHKの大河ドラマも、ぜひ「淀君・秀頼」。あるいは「真田幸村」。
まあ、そのむかし金曜ドラマで「真田太平記」はやりましたけどね。

一番わかりやすい入門書は、その池波正太郎の「真田太平記」。
そこだけを抽出しているなら、司馬遼太郎の「城塞」でしょうか。

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2015/3/8 13:19 Comments (3)

3 Comments

まろたんさん、こんにちは。

「去りゆく一切は比喩」ですか。
まあ、そういうことなのでしょうね。
私は自分のこれまでを振り返って
「損切りだけが人生さ」と、いいたいですね。

最近、ジェフリー・アーチャーの獄中記の中にある
「人間は二番目に得意なことで生きていく」という言葉に
ひどくうなづくことが多くなりました。
もっともやりたいことはできないけれど、
自分にとっては「余芸」みたいなことで生きていく。
私にとって、文章を綴るのは余芸みたいなものでした。

かといって、若い頃に目指した「政治家」が
「いちばん得意」とは言い難いかもしれません(笑)。

今日はこれから「突撃取材」に行ってきます。

ごきげんよう  榊淳司

2015/03/10 10:49 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

歴史を語れば「栄枯盛衰」「諸行無常」でしょう。

「去りゆくいっさいは、比喩に過ぎない」
と、歴史家・シューペングラーも言っています。

「損ぎり」という相場テクニックがありますね。
相場の世界に「金言」あり。
「損ぎり」できないひとは、相場を張る資格なしと。

人生に於いても、国家・社会に於いても、同じでしょう。
「損ぎり」して「生き残って」ゆく。

今、日本人は追い込まれ、泥沼にはまっています。
サバイバルを賭けて「損ぎり」するしかない。

万物は、諸行無常ですよ。
そして、シューペングラーの言葉を、もう一度。
「去りゆくいっさいは、比喩に過ぎない」

如何でしょうか?

ごきげんよう。

2015/03/09 21:46 | by まろたん

来年は幸村ですよ。

2015/03/09 21:06 | by 匿名

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