中古マンション取引に仲介会社は不要

「信じる者は騙される」
これが不動産屋世界の常識です。
あの業界では、大手企業から個人ブローカーに至るまで、
きれいに「消費者軽視」を貫いています。
中にはわりあい誠実な方もいますが、そういう人は
出世をしないしお金儲けもできません。
つまり、ワルでないと中々のしていけない業界なのです。

私はこのブログや各種メディアへの出稿などでは
新築マンションの供給側、つまりデベロッパーや販売会社、
あるいは管理会社のあざとい手口を紹介して非難してきました。
しかし、これからは中古が主流の時代です。
となると、みなさんが接する不動産屋さんは、仲介会社が主流に。

三井のリハウスや野村アーバンネット、新興ではソニー不動産ですか。
前回の主役、住友不動産販売というのもありましたね。
我らが「ダイヤモンド」は、今週もやってくれました。

大手不動産が不正行為か
流出する“爆弾データ”の衝撃

ここでは主に三井不動産リアルティが叩かれています。
ここは「三井のリハウス」をやっている会社です。
「囲い込み」をやっていたことが、証拠付きで出てきます。
まあ、大手でもやっている、というのは業界の常識です。
国土交通省は「見て見ぬふり」をしているのです。

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なぜ、こんなに重大な宅建業法違反を見逃すのでしょう?
その理由はただひとつ「面倒くさい」から。
平均手数料が5%以上なんて、もう確信犯的にやっていますよ。
それだけ、多くの売り手さんが泣かされているのです。

前回書きましたが、そもそも都会の中古マンション取引には
「仲介会社」なんて理論的に必要ありません。
一般人がレインズに登録できて、買いたい人は売り手さんに
直接連絡を取れるようにすればいいのです。
つまり、ヤフーオークションのシステムそのままです。
あとは、登記を調べて契約書を整えて、決済。
自分でやってもいいし、面倒くさいのなら行政書士に頼みますか。

それを、今は「仲介会社」というヘンな連中がしゃしゃり出てきて
情報を囲い込んで嘘八百のトークでエンドユーザーを騙し、
自分たちが手数料を稼ぎやすいようにしているだけ。
仲介会社は、理論的に不要です。

しかし、これは無くならないでしょうね、今のシステムが続く限り。
仲介会社というのは、今となっては偉大な既得権ですから。
彼らを中抜きするシステムができてしまうと、大量の失業者が発生。
自民党は有力な献金元を失います。
だから、今のシステムは当面続くでしょう。
今のシステムが続く限り、不動産仲介は成長産業です。

ただ、世間の目はだんだん厳しくなってきました。
3%+6万円という手数料は、価格破壊される運命にあります。
現に、ソニー不動産はチャレンジしています。
でも、成功するかどうかは怪しいものです。
この悪弊を葬るための機は、まだ熟していないと思います。

中長期で見れば、今の「両手狙いの囲い込み」という悪弊は無くなるはず。
法律で禁止されている囲い込みに対して厳しい対応を行ったり、
両手の法的な規制が実現する可能性はあります。
でも、まだまだ先の話でしょうね。
不動産関連の改革というのは票にならないので政治家も動きません。

最後に、ちょっとお堅めの話。
仲介会社が囲い込みをしたがるのは、両手の手数料を狙っているから。
ところが、この両手(売りと買いの双方から3%+6万円を取る行為)は、
民法でいうところの「双方代理」に限りなく近い状態です。
つまり、売りと買いという利益相反する二者の代理人になっているようなもの。
だから、先進国の中にはこれを禁止しているところも多いといいます。
私の個人的な見解を申し上げれば、法律で禁止すべきこと。

例えば、民事的な争いで原告と被告の代理人を
同じ弁護士が引き受けることはできません。
それは「トンデモナイ」行為なのです。
なのに、大抵の民事裁判よりも取り扱う額が大きい不動産取引で、
売り手と買い手の間に立つ仲介業者が同じ・・・・
それは、「話は早い」ということになりますよ。
でも、恣意的に動いて自分の得になるように話をまとめる、
ということになりかねません。現になっています。

だから、両手取引というのは法律的に禁止すべきなのです。
ただ、こんな法案が出てきたら不動産業界はこぞって大反対。
そんなもの、ちょっと前に取り上げた労働者派遣法どころの騒ぎではありません。
仲介業者の多くが失業するかもしれませんから。
三井のリハウスの利益は、かるく4割減ですか(笑)。
でも、不動産取引は健全化します。

さて、こんな不動産業界の悪弊を暴き、新築も中古も
マンションを買う場合のノウハウをたっぷり盛り込んだ拙著
「やってはいけないマンション選び」が好調です。
アマゾンの「マンション」カテゴリーで、ここのところずっと1位。
前2作よりも快調なように思えます。
みなさんも、どうぞ読んでください。

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2015/4/13 1:34 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

確かに利息制限法の顛末はおかしかった。
過去にさかのぼって返却請求できる、
というのも考えてみればすごいですね。
立派に過去へ訴求しています。
やられたのが高利貸しだったから、
世間の同情をまったく集められなかった。

両手禁止はいずれ実現するでしょうが、
過去への訴求はないでしょうね。
でも囲い込みがバレる、ということはありそうです。
現に禁止されていますし、
表向きは当局にばれた場合は業務停止です。

今回、ダイヤモンドが正面から取り上げ、
ヤフーでも出てきたのでちょっと騒ぎが広がりそう。
大手がバレて業務停止、なんてことになれば面白いのですが。

それではまた。 ごきげんよう 榊淳司

2015/04/13 16:26 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「腹にイチモツ、手に荷物」

ま、どいつもこいつも「厚化粧」し「ネコなで声」で来ますからね、
「赤ずきんチャン、気をつけて」ですわ。
「人を見たら、ドロボウと思え」
なぜなら、テキサンは、
「人を見たら、万札だと思ってる」から。(笑)

ま、合法的ビジネスであれば「オトナの世界」ですが。
しかし、
仲介業界の「両手取り」は「双方代理」に抵触しているのでは、
との、榊さまのご指摘は、大いに「同意」ですね。
民法に「抵触せず」と抗弁される御仁が、おいでならば、
その合法的「法律論」のご高説を、伺ってみたいものですわ。

日本国の法曹界事情は、よく知りませんが、
有為な「ご人材」は、おいでではないのか?
よくもまあ「見てみぬ振り」をなさっておられる。
法の番人たる法曹人としての「良識」は、ござらんのか?
「人権弁護士」は、ようけ、おいでのようですが。

さて、過去の話ですが。
いわゆるサラ金の「制限利息」の立法のデタラメ。
利息制限に法律が2つあって、ほったらかしの「業界任せ」でした。
日本国政府も、金バッチの「法曹人」も。
長い長い歳月、やはり「見てみぬ振り」。
で、挙げ句の果ては、ご存知の通り。

「何を、いまさら」でした。

で、大手サラ金は、倒産やら、身売りやらで「丸焼け」末路。
が、その「過払い利息返却請求」で、弁護士「丸もうけ」と。
降って湧いた、総額4兆円とか、5兆円の「大火事場」で、
弁護士、コロコロ・ぶくぶくの「焼け太り」市場。

で、素朴な思い。
過去に遡って法律をひっくり返すのって、有馬温泉でっか?
法律を、過去に遡及させるって!

私は法曹界の外野にいる、市井人のひとりですが、
これは「たまったもんじゃない」と思いましたね。
一度、法曹人のご高説を、じっくり伺ってみたいものですわ。
誤解のないよう付け加えますが、私はサラ金業者でもないし、
如何なる関係者でも、ござらん。

さて。
この仲介業者の「両手取り」も過去に遡及して「違法」、
なんてことには、到底ならないでしょうが、
弁護士諸センセイ、不景気の当節です。
「大火事場」を作り出し「焼け太り」で、二匹目のドジョウ、を。

ま、平成ヨタ話でした。

雨が続きますが、ひと雨ごとの暖かさ、でしょうか。

ごきげんよう。

2015/04/13 15:41 | by まろたん

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