都心で意外と狙い目な新築戸建

私は首都圏のマンションマーケットの現状は、
それこそ誰にも負けないくらいウォッチングしていますが、
戸建てについては横眼でも眺めていませんでした。
特に、都心では新築マンションに比べて新築の建売戸建ての
市場は話にならないくらい規模が小さいのです。

それと、ターゲット層の属性や嗜好が大きく異なります。
まずありえないのが相続税対策と外国人の需要でしょうね。
これらはほぼゼロ。純粋な投資目的も考えにくいです。
つまり、新築戸建はほぼ100%が実需層を相手に販売されています。

昨日、事務所に見えた相談者さんはその戸建をお探しでした。
ネットに出ている販売物件のサマリのようなものをお持ちになり、
私もチラチラ見ていて、ちょっとした発見をしてしまいました。
「高くない!」
そう、マンションに比べて高くないのです。

もちろん、それぞれに「邸宅」と呼べるようなものではありません。
70平米台の敷地に建てた木造3階建て。延べ床面積が95平米みたいな。
港区でも、そういう物件が1億円前後で選べます。
単純な床面積の坪単価なら300万円台がゴロゴロありました。

現状、港区の新築マンションはやや品薄でかつ価格はハイレベル。
まともな物件は坪単価が500万円以上。これからもっと上がります。
それに比べて、窮屈とはいえ戸建てが300万円台。
まあ、ひとつひとつの物件を見たわけではありませんから、
単純に比べることはできません。
しかし、少なくともバブルにはなっていませんね。

今回の局地バブルは、需給の中身が非常に歪んでいます。
実需ではない需要がバブル価格を形成・維持しているのです。
私は予てより「2016年は賃貸の危機」であると書いてきました。
アベノミクス以降に売れ出した都心の新築マンションが、
続々と竣工してきました。多くが賃貸市場に出ています。

昨年の黒田バズーガ2以降、バブル的に売れ出した多くの
新築マンションも、今年の後半から続々と竣工します。
それらは来年の春以降に、一斉に賃貸市場に出てきます。
はっきりいって、都心の賃貸市場は歪んでいます。

今でも、都心賃貸住宅の空室率はかなりお高めです。
月額25万円以上の家賃を自力で払える層は限られています。
アベノミクスによって、その層が増えているようにも思えません。
つまり、需要は増えないのに供給だけはどんどん増えています。
非常にまずい状態ですね。

そういったマンションを、Airbnbで運用している人がいます。
キチンと運営すれば15%以上の利回りになるでしょう。
しかし、これには大きな問題があります。
マンションを短期間の宿泊用に提供する場合、
これを反復継続的に行えば旅館業法に違反します。
違反すると6月以下の懲役もしくは3万円以下の罰金。
まあ、大したことはないですね。
よほどでない限り起訴さえされないでしょう。
起訴されても初犯なら実刑は受けないと思います。

外国人観光客はどんどん増えているので、この手法は有効。
しかし、この違法性の問題を解決しない限り、
これは正式に奨励できないし、広がらないでしょう。
何かの事件をきっかけに、一気に摘発される恐れもあります。

いつか、湾岸のタワーマンションがAirbnbによって
中国人専用のホテルになってしまう恐れを書きました。
借り手が見つからずに、コストだけがかかる「負動産」になれば、
誰しも「何か方法はないものか」と考えます。
今後、Airbnbは日本人にも中国人にも広がるでしょう。

さて、そういう副作用は置いておいても、賃貸市場は深刻です。
初めて賃貸運用でマンションを購入した人は戸惑うでしょうね。
フリーレントをつけた上に、仲介業者にAD3か月なんて当たり前。
担当者にボーナスまで出さないと賃貸づけできません。
のんきに構えていると、半年たっても1年たっても空室。
業者は賃料を下げるよりもADの多い物件を好みます。
そういう物件から借り手に勧めていきます。

まあ、不動産仲介業者というのは、売買でも賃貸でも暗黒大陸。
エンドはいつでもカモられて泣くことになります。
2016年あたり、この賃貸市場の異変にメディアの関心が
高まりそうな予感がしています。

ギリシャのデフォルトや中国のバブル崩壊、北朝鮮の政権崩壊、
アメリカの大幅な利上げがなくてこのバブルが続けば、
大きな試練は「2016年に起こる賃貸の危機」でしょうね。
すでに湾岸エリアの一部では、空室が目立ち始めています。

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2015/6/20 8:18 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんにちは。

財務官僚は基本的に「その場でよければOK」ではないですか。
つもりに積もった借財を返済するのが、
自分の在任中でなければOK。あとは後輩がやる。
そういう発想だと思います。
でも、税収を上げるためのシステムは作りたい。
それが消費税。まあ、何も考えていませんね。

ドルを買うのはいいと思います。
この世界的金融緩和は、アメリカが始めましたから
アメリカが最初に止めるでしょう。
今後、円安は続くと思います。

怖いのは中国。
私から見れば、経済政策は無茶苦茶。
不動産にはブレーキをかけ、株にはアクセル。
要は、景気が悪くならないように「なりふり構わず」。
住宅が年収の100倍なんて、あり得ませんよ。
いずれ経済が大混乱に陥ります。

50年後くらいには、あの出鱈目な経済政策が
学術的な研究対象になるのでしょうが、
私はもうこの世にいませんね。残念。

まあ、せいぜい今を生きます。 ごきげんよう。 榊淳司

2015/06/22 12:12 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

> 流れながれて東京を
> そぞろ歩きは軟派でも
> 心にゃ硬派の血がかよう
> ああ、東京流れもの

昭和四〇年ころの演歌です。
当時の東京は、こんな歌がよく似合う街でしたよ。
榊さまは、ご存知ない時代でしょうが。

さて。
我が国では、時の首相と財務官僚のバトルが、よく言われます。
例えば、管・野田は財務官僚に洗脳されて、ウンヌンと。
今は、安倍晋三も、また言われています。

つまり、財務官僚・昔は大蔵官僚ですが、これらの官僚が、
自分たちの意思を通すため、歴代の首相を上手く手なづけたと。
とまあ、こんなふうに論評されることが多い。

しかしですね。そうかなあ、と私は思うんですわ。
もし歴代の大蔵・財務官僚にそんなパワーがあったのならば、
何故1,000兆円を超える国債発行を、止められなかったのか?
官僚パワーでブレーキを踏み、ここまでの国債残高を許さなかったのでは、と。

つまり、巷間、論評されるほどのパワーはなかった。
と言うことではないでしょうか?
なにしろ、1000兆円超。途方もない借金ですよ。
歴代の首相をはじめ閣僚・議員の「やりたいホーダイ」だったのでは。
どうでしょうか?

ずーっと昔ですが、こんな歌がありましたね。

> 妻をめとらば、才たけて
> 見目うるわしく、情けあり
> 友を選ばば、書を読みて
> 六分の侠気、四分の熱

この最後の「侠気」が、実にいい。
「侠気」つまり、男気ですね。
今や、死語です。

続く「四分の熱」の「熱」とは、何なんでしょう?
男が、熱くなれる「夢・志」のことでしょうか?
まだ「厚み」のあった時代ですね。
今は「薄っぺら」チープな日本人に成り果ててしまいました。

ま、時代です。グチっても仕方ない。
「されども我は」との気概で生きてゆくしか、おまへんで。

さて。
ここいらで、米ドルを買い建てようかと、思案橋。
FXですが、レバレッジ・1で、とりあえず5万ドルほど。
相場を見ながら、少しずつ「買い増し」てゆく。

もう、そんなに大きく「円高」には振れないような。
また当面、大きく「円安」にも走らないような。
榊さまのご指摘の通り「通貨の時代」ですね。

私の投資の基本的なスタンスは、
「儲けなくてよい」「損をしなければよし」とする。
つまり「資産減少」に対する「ヘッジ」だけ。
それすらも、難しい時代になりそうですね。

ごきげんよう。

2015/06/22 02:53 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

まさに壮大な人体実験ですね。
でも、私も多分関係ないでしょう。
この件に敏感すぎる複数のメディアも
未だにネタをつかみかねています。
地元でも医療関係のデータは出ていません。
まあ、私は心配しません。基本、ノーテンキ。
私のようなタミ草がどうかできるものでもなし。

安保法案は難航していますね。
自民の失敗がどう出るか?
ここで失敗すれば、ケンポーも遠のきます。
さてどうなることやら。

ごきげんよう。 榊淳司

2015/06/21 11:40 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「改正派遣法」は強行突破したようですね。
これで「高い禄をくう正社員を、総とっかえできる」という人あり。
どうでしょうか?

次なるものは「本命中の本命」安保法案。
安倍晋三。難儀しているようですが。
突破口は、やっぱ「景気回復」でしょう。
ダイエーの中内功の言「成長は、すべてを癒やす」ですから。

我がタミ草、なんだかんだ言っても「みいり」次第でしょう。
安保法案なんてアンポンタン、「カネ・カネ・カネ」と。
で、石原伸晃の名セリフ「最後は金目でしょ」(笑)

さて。
近藤誠さんが今月上梓された本の中で、次のように書かれております。

(以下、引用)
原子力規制委員会が発表した、放射性セシウムの年間降下量を見ても、
放射性物質が関東各地まで到達していることが分かります。

2014年・1年間の東京のセシウム降下量は、
6165万ベクレル・1平方キロメートル当りで、全国3位でした。
汚染の実態は、東京都も例外ではないことが分かります。
(略)
4年前の3月11日に発令された「原子力緊急事態宣言」は、
今も解除されていないのにも、拘わらずです。
(引用終わり)

人類史上「壮大なる人体実験」でしょうか。
米国も、並々ならぬ関心を寄せ、密かにデータ収集しているようです。

ま、私はもうトシですからね。ノープロブレムです。(笑)

ごきげんよう。

2015/06/21 01:52 | by まろたん

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