ギリシャからユーロを考えてみると

ギリシャ危機はひとまず落ち着いたようですね。
といって、完全な解決とは程遠い状況。
ギリシャが借金を返せるわけでもなく、
いつかまたこの危機は再燃するのでしょう。

「プラトンの国を拒むわけにはいかない」
ギリシャがユーロに加入するときにはそんな声もあったとか。
私たち日本人にはなかなか理解できないのでしょうが、
ヨーロッパ人にとってギリシャとローマは特別です。

分りやすく言えば、プラトンやアリストテレスは、
日本人にとって孔子や孟子のような存在なのです。
もっとも、孔孟の国も最近は夜郎自大になりさがり、
我々の尊敬からは程遠いお国柄になってはいますが。

しかし、今でも大学入試センター試験の「国語」には
「漢文」が出題されていますね。私は結構得意です。
まあ、それはどーでもいいのですが、日本人にとって
古代中国語である漢文は教養の必須科目です。

ヨーロッパ人にとって、ローマ帝国の言葉であるラテン語がそれ。
さらに深く古典を追求するならば、ギリシャ語です。
例えば、今の新約聖書の原典はギリシャ語版です。
もとはヘブライ語で書かれたのでしょうが、
当時の地中海世界の共通語はローマ語(ラテン語)ではなく
ギリシャ語だったのです。

キリストが生きた時代、ローマ帝国屈指の英雄であるカエサルは
エジプトに遠征してクレオパトラと恋に落ちます。
ある日、エジプトの宮殿をいたカエサルの元に、
贈り物の絨毯が運ばれてきます。
中から出てきたのが絶世の美女・クレオパトラ。

それで、ふたりは恋に落ちるのですが・・・・
まさか通訳を介して会話をしたわけではありません。
彼らはともにあの時代の教養語であるギリシャ語を話したのでしょう。
でなければ、ああいうドラマティックな展開になりません。
その後、尻軽女のクレオパトラはパトロンをアントニウスに乗り換えます。
もちろん、アントニウスともギリシャ語で愛を語ったのでしょう。

ユーロというのは、私たち日本人から見ると理想的すぎる仕組みです。
働き者のドイツ人、賢明でケチなオランダたちとアッケラカーの
スペイン人やイタリア人、そしてギリシャ人が同じルールで
経済財政を行えるわけがない、と普通に考えます。

しかし、彼らにとって「ヨーロッパはひとつ」なのです。
ちょっと不思議ですよね。普通に考えればヨーロッパはバラバラ。
ドイツ人とギリシャ人は水と油ほどに違います。
でも、彼らの理想は常に「統一ヨーロッパ」。

その原点はローマ帝国にあります。
カエサルの活躍もあって、あの時代にローマ帝国は
今のヨーロッパをほぼ征服してしまいます。
カエサルの後継者であるアウグスツスの時代がまさに
「パクスロマーナ」の絶頂期ではないないでしょうか。
そこがまさにヨーロッパの原点なのです。

ちなみに、「ヨーロッパ」とはギリシャの神話時代の逸話が語源。
主神ゼウスが美しきフェニキアの王女エウロペに恋をします。
普通に誘い掛けても相手にされなさそうなので、ゼウスは白い雄牛に
化けてエウロペに近づき、彼女がまたがると空を飛んで世界を
駆け巡ります。その駆け巡った範囲が「エウロペの土地」ヨーロッパ。

ローマが滅んで以来、ヨーロッパはバラバラです。
歴史上、何度かバラバラになったヨーロッパを再統一しようとする
動きがありました。まずは、キリスト教会の威を借りた神聖ローマ帝国。
次は、図らずもヨーロッパを征服してしまったナポレオン。
最近では「ローマ帝国」の後継者を自認したヒットラー。
ローマの後継たる「第三帝国」を名乗っていました。
しかし、いずれもあえなくとん挫。
今回のユーロは、まさに歴史的なチャレンジだったのです。

ところで、私たちは今、世界の共通語として英語を学びます。
コンピュータの基礎言語が英語なので、ますます世界は英語化します。
日本人にとってこれは大きなハンディキャップです。
でも、世界の流れに従わざるを得ません。

しかし、この英語化はせいぜいここ百年くらいの話です。
明治維新の時、世界はここまで英語化していませんでした。
当初、陸軍はフランス式でした。
明治初期に少年期から陸軍の教育を受けた柴五郎という人は、
日本語よりもフランス語の方が使いやすいと自著に示しています。
まあ、その割には日本語もかなり立派ですが。

この前の戦争に負けた時点でも、帝国陸軍の高級将校は
英語派よりもドイツ語派の方が多かったのではないでしょうか。
第二次世界大戦後、世界は急速に英語化したのです。
それを、今や誰もが当たり前だと思っています。

アメリカ大陸という新世界がヨーロッパ史に登場したのは15世紀。
16世紀はスペインとポルトガルが「世界征服」した時代。
17世紀はオランダの商船が世界貿易を席巻した時代。
その後は、パクスブリタニカ。つまり、英国の台頭ですね。

でも15世紀までのヨーロッパは「地中海の時代」です。
貿易も、文化も、すべての中心は地中海にありました。
主役はヴェネティアやジェノバなどのイタリアの都市国家。
対岸にはイスラム系の国々。

その時代、イギリスやドイツはただの辺境国家です。
いってみれば、わき役もいいところ。端っこの存在です。
イギリス人やドイツ人は懸命にラテン語を学んだはず。
なぜなら、それが当時のヨーロッパ世界の共通語だったから。
あるいは、古典ギリシャ語を学んだのでしょう。

実のところ、キリスト教関係の文献はラテン語が中心ですが
ヨーロッパ的な「古典」はほとんどがギリシャ語です。
その位置関係は今でも変わらないはず。
だから、今でもヨーロッパやアメリカの出来のいい高校では
ギリシャ語が必須科目になっています。

長々と書きましたが、ヨーロッパ人が最後にはギリシャを
「見限れない」のには、そういう精神的ベースがあります。
特に、ドイツ人には「ヨーロッパコンプレックス」があるのです。
それは、ドイツ人であるゲルマン民族は、最後の最後まで
「ローマの敵」であったという歴史的事実です。

例えば、スペインはフランスよりも早くローマの内側でした。
イタリアは、ローマの本家本元を継承しています。
彼らは「野蛮な」ゲルマン系のドイツやイギリス、北欧に対し
抜きがたい優越感を持っているのは、そのせいです。
多少経済的に劣っていても、ちっとも気にしていませんね。

逆に「蛮族の地」であるイギリスは「孤立」という姿勢を示し、
「俺たちは旧ローマのお前らなんか気にしていないぞ」という
ポーズを取りたがります。まあ、地理的影響もありますが。
ドイツはヒットラーの例もあるように「俺たちはローマだ」と
いいたがる傾向があります。ちょっと哀れ。

こういう関係は、朝鮮半島の連中が「東方礼儀の国」なんて、
中国の下僕であることを日本に対して自慢しているのと
どこか似ていますね。実に虚しいポーズです。
日本は島国である点、英国と似ていますね。

イギリスはヨーロッパの一員であるようなないような。
今でも自国通貨ポンドを守っています。
ユーロから離脱しようなんて議論も盛んです。
日本も今では中国や韓国と同じ文化圏だなんて考えません。
むしろ、自分たちの独自性を誇る傾向が強くなっています。

さて、これからギリシャや中国がどうなるのか?
結局は「なるようにしかならない」のが現実です。
理想は常に現実の前に敗北します。それが歴史です。

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2015/7/20 18:49 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

本日昼飯を食べながら、いただいた雑誌をツラツラ。
佐々淳行氏と荻野アンナ氏の項を読んで、ニヤリ。
私は佐々氏の本はよく読んでいます。けっこう好き。
荻野氏はややはなにつきますが、まあ嫌いじゃないですね。

老いと死というものは避けられないもの。
しかし、昔のメディアは他人事扱いでした。
読者層の年齢が上がったから、こうなるのでしょうね。

日本人の変質はコンクリートにありますよ。
木造住宅よりもコンクリート製のマンションの方が
病気や犯罪の発生率はうんと高いのですよ。
ましてやタワーマンションでは流産率まで高い。
ヨーロッパでは禁止されているタワーに
アホな日本人どもは喜々として暮らしています。
まあ、俗物の極みですね。

まあ、今のギリシャが古代ギリシャとは別物なように
100年前の日本人と今のそれは別もの?
そういうことを考えながら、今日も過ぎていきます。

ではまた。ごきげんよう  榊淳司

2015/07/21 12:39 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

今日のお題は私には難解ですな。手ごわい。

やはりヨーロッパは「文化・文明」として、日本人には「遠い」。
交通網・通信網が発展して「地理的・物理的」に近くなっても。
靴のまんま寝室に入るという文化には、やはり馴染めまへんわ。
生活様式が、いくら欧米化しても「これはダメ」というものがあります。

しかし和服を捨て、マゲを切り、ベッドに馴染んだのに、
靴を玄関で脱ぎ、畳に懐かしさを感じるのは、なんでしょうか?
木造住宅の安らぎ。落ち着き。忘れがたい。
戦後、日本人の変質はコンクリートにあり、と睨んでますが。
言い掛かり、八つ当たりでしょうか。(笑)

あと、榊さまも書かれていた「方言」について
トシを取ると「先祖返り」ですよ。
方言には、じわっと沁みるものがあり捨てがたい。

今や「方言」つかいは減りましたが、やはり「抑揚」「くせ」は、隠せませんから。
それくらいでも、ほっとするものが、有馬温泉。

失礼しました。
ごきげんよう。

2015/07/21 00:16 | by まろたん

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