このバブルは「買いたい病」が支えている

山高ければ谷深し。
久しぶりにマンション市場について書きましょう。
ハッキリ言って、異常です。
前二回のバブルと比べて、かなり異なる中身です。

第1回バブルは1990年が頂点。俗に「平成バブル」。
あの時の主役は団塊の世代でしょうか。
ちょうど40代の前半だったと思います。
1985年くらいからすごい盛り上がり。
約5年続きました。まあ、実需が主体でしたね。

第2回のバブルは2008年に崩壊しました。
盛り上がったのは2005年頃から。約3年ですね。
主役は内外のファンド。実需では団塊ジュニア。
ちなみに、この時に金融緩和はありません。
またバブルは不動産だけ。株はさほどでもなし。

第3回は只今進行中。
ちなみに、ここで私がバブルと言うのは不動産のみです。
2000年頃に「ITバブル」なんてのがありましたが、それは別。
あくまでも不動産です。

今回のバブルは2013年のアベノミクスでちょろちょろ始まり、
2014年10月の黒田バズーガ2で、一気に膨らみました。
今もまだ膨張を続けています。
現状を見る限り、弾ける気配は感じられません。

何度も書きますが、特徴は「地域限定」。
東京の都心とその周縁部、湾岸エリア、武蔵小杉、
みなとみらい、京都の御所周辺、仙台市一帯。
その他のエリアは、まあまあ、という状態ですね。

さらに、仙台と武蔵小杉以外は、実需以外が主役。
相続税対策、不動産投資、外国人のそれぞれ「個人」買い。
これらが今、大量に賃貸市場に供給されています。
だから、賃貸市場はゆるゆるのダブダブ。

それでも、都心の新築マンションは調子よく売れています。
私から見れば、この先必ず下落局面がやってくるのは自明。
まさに「山高ければ、谷深し」なのです。
それでも「買いたい」と考えている人は多いですね。

どちらかというと、こういう市場が熱くなっている時には
そういったムードに乗せられて「今買わなきゃ」と
惑わされてしまう人が出てきている感じがします。
火傷に気付くのは、今ではなく数年後です。

ただ、このバブルはまだ続きそうな勢いです。
理由はいろいろあります。
何よりも、世の中お金が余りすぎています。
「私のところは足りないぞ!」という声が聞こえてきそうですね。
実のところ、私もそう叫びたい(笑)。

しかし、実際は余っています。すごく、余っています。
日本の個人資産は1600兆円もあります。
国家予算の真水32年分です。
過去に、日本がこんなに豊かであったことはありません。

さらにいうなれば、世界中でお金が余っています。
その理由は、円もドルもユーロも、人民元もこぞって
「通貨安戦争」を繰り広げているからです。
円は周回遅れでこれに参加して、今先頭に来ている感じ。

ただし、間もなくドルがこの競争から「いちぬけた」になりそう。
アメリカの金利上昇を世界の投資家は恐れています。
早ければこの秋。あるいは突発的にこの夏・・・・
そうなれば「世界同時株安」なんてこともありますね。
日本の不動産も、いきなりハイリスクな投資先になってしまいます。

まあ、そういう外部要因はひとまずおきます。
今回のバブルはチャイニーズ系の買いも何割か入っていますが、
やはり主体は日本人の富裕層です。
けっこう層が厚いのですよ、あの方々。

彼らの多くも今、やや焦り出しています。
「今買っておかなければ、買えなくなるかも」なーんて。
そんなこと、全然ないのに(笑)。
不動産なんていつでも市場にゴロゴロしていますよ。
これからは、さらにゴロゴロ、ゴロゴロと出てきます。

日本人はとりわけ不動産に熱くなりがちですね。
我々のDNAには先祖代々「土地は大事にしよう」と
かなり濃密に刷り込まれています。
先祖から受け継いだ土地を「売ってはならない」。
これが基本的な価値観ですよね。
自分の代で売ってしまったらご先祖様に申し訳ない。

逆に、新たに「家を建てれば一人前」という価値観もあります。
都会風にいえば「マンションを買う」でしょうか。
だから、多くの人がマンションを「買いたがる」のです。
冷静に眺めると、実におかしな現象です。

私の世代は、住宅を手に入れることは「人生の目標」でした。
20年後、住宅を持つことはせいぜい自家用車をもつ程度の
感覚になっているでしょうね。
実際、地方では200万円も出せばある程度の家が買えます。
それが、東京や大阪の近郊まで迫ってきています。

この地方では果てしなく無価値化している住宅が、
都心ではバカ騰がりしていることが本当に不思議。
別に都心の住宅需要が旺盛でも何でもないのに、です。
だから、賃貸住宅はダダ余り状態です。
東京でも空室率20%エリアはザラ。

このかなり不自然な現象はいつまで続くのでしょう。
「王様は裸だ!」と、叫んでいるのは、
見渡す限り今のところ私一人のようです(笑)。
このままいけば、来年も新築マンション価格は騰がります。
中古価格もそれに引きずられます。
それを「買いたい」病の富裕層が買います。
だから、何もなければバブルは続くのです。

しかし、そもそもがかなり不自然な現象ですから、
崩れる時は一気に崩れるでしょうね。
毎日暑いのですが、私は背筋をヒヤヒヤさせています。
中国の証券市場、アメリカの金利、欧州の財政・・・
心配事の種はたくさんあります。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

購読料 1ヵ月 1,590

※購読料金のお支払いはクレジットカードのみとなります。

お申込みは コチラから  次のページの右下「カートに入れる」をクリックしてください

メルマガ


2015/7/27 8:57 Comments (0)

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。