SNSが日本人の劣情を刺激する

インターネットを巡る世界と言うのは日進月歩で変化しています。
私のような50過ぎのオッサンには、ほとんどが理解不能の世界。
しかし、分らないのは言葉の意味やシステムの中身、
あるいは使い方であって、動かしているのは所詮人間です。

ここ数年の著しい変化は、スマホの急速な普及とSNSの浸透。
ガラケーが「進化した電話機」であったのに対して、
スマホは「電話機能を備えたコンピューター端末」のイメージ。
まあ、やろうと思えばたいがいのことができてしまいます。

我々中高年にとっては、指先を動かすのでボケ防止に最適(笑)。
私なんか、手先が器用な方ではないので日々悪戦苦闘しています。
多分、備えている機能の0.1%くらいしか使っていないのではないでしょうか。
時々、イライラして投げつけたくなりますね。
ああ、なんとガラケー時代が平和であったことか。

SNSはツイッターとフェイスブックをやっています。
半年くらい前までは、ツイッターを割合熱心にやっていたけれど
最近は意欲を失ないました。フェイスブックは数年前からテキトー。
ともに、無駄話を交わすのが基本のシステムだと理解しています。

特にツイッターは匿名がほとんどなので、無価値なやり取りが多そうです。
結局、偏った話題でいつもの仲間が群れて世間話をしている構図。
まあ、中にはそこから面白い情報を取り出せる場合もあります。
しかし、そんなの1か月に1回もあるでしょうか。

ツイッターには、何とも無政府的な世界を感じてしまいます。
いつも対話するグループを作り、世間話やうわさ話を交わす。
そこには独特の用語や言い回しが生まれて、基本排他的。
大の大人がやっているとしたら、実に気持ちの悪い
じゃれ合いさえ見ることができます。

ファイスブックは、実名が主体だからツイッターよりも大人の世界。
投稿される内容も、日々の日記的なものから役所の広報、政治的主張、
あるいは宗教的な勧誘、飲食店の広告まで含まれています。
こちらの方が上品だけど、発信する場合はプライバシーへの配慮が必要。

私の印象では、ツイッターの匿名参加者は比較的卑しくて下品。
実名参加者は「俺は俺は」的。広告・広報目的はただの情報発信。
それぞれのベクトルがばらけてしまっていますね。
今後はエントロピーの法則にしたがって、どんどん無秩序化するでしょう。

フェイスブックは実名性のハードルを今より上げれば媒体としての
パワーを強化することができますが、匿名参加を許している限り
エントロピーの法則にしたがうことになるでしょう。

ラインは、極めて女子高生的な世界に思えます。
あそこで交わされている会話の99%は意味がなさそうです。
充電池の消耗を早めること以外に、GDPにはあまり貢献していません。
無駄話とバカッ話の経済価値は0です。0は何乗にしようと0でしかない。
しかし、精神的な意味や、そこに+なにがしが加わればプラス。

私は、昔から時間にケチです。
人生に残された時間も少なくなってきました。
なるべく、無駄な情報をインプットしたくないと思っています。
そういう私にとって、SNSは半ば「どーでもいい」もの。
私は自分の名前売ることが必要な仕事をしていますが、
考えや好みを捻じ曲げてまでそれをしようとは思いません。
つまり、心にもないことは言いません、書きません。

セミナーや飲み会に来てくださる方の中には
「いつもツイッターを読んでいます。面白いです」
なんておっしゃって下さる方が多くいらっしゃいます。
今までに接したメディアの方々にも、そういった方が多かったですね。
だから、あまりアホなつぶやきはできません(笑)。

よく考えることは、どちらも「人間がやっていること」。
SNSやインターネットもなかった時代を私の世代は知っています。
主な通信手段は電話だけでした。メディアはテレビ。
紙媒体の新聞や雑誌が今では考えられないほどメジャー。

あの時代、情報収集はメディアを細かくチェックして、
色々な人の話を聞くことでした。
「顔が広い」というのは、それなりに重要。
それは今でも変わりませんね。
ネット上で拾える情報は、うわべだけのものがほとんど。

さて、SNSは我らの社会に、どのような意味で
コミュニケーションの進化をもたらしたでしょうか?
スピードと伝播性においては申し分のないイノベーションです。
しかし、中身はどうでしょう?

私から見ていると、今の30代40代の連中が、
我らの世代よりもコミュニケーション能力が高まっている、
とはどうしても思えないところがあります。
当たり前ですが、言葉を紡ぐのは人間そのものですから。

もっとも「SNSがコミュニケーション能力を低下させた」なんて
ひがみっぽい主張をするつもりはサラサラございません。
むしろ、文章を紡ぐ能力はボトムアップされていると思います。
アナログの時代に比べて、手段はともあれ「文章を作る機会」は
格段に多くなっているはずですから。

反作用もあります。
それは、コミュニケーションの中身が劣化していることです。
あまりにも野卑な言葉が飛び交う世界の存在を許してしまっています。
何年か前に芸術研究の一分野で大家と言われる教授と話した時、
ある掲示板サイトのことがふと話題に出ました。
「あんな汚らわしいところは見たこともないし、絶対に行かない」

ちと笑いました。行って見たから「汚らわしい」と判断できたのでしょ。
でも、その判断に僕も賛成します。ネット上のスラム街みたいなところ。
よほどの必要性がない限り、私も近づきません。
そこに巣食っている人々は、心が貧民な方ばかりなのでしょう。

昨日、NHKの番組でジョセフ・グルーを紹介していました。
1941年12月の日米開戦まで、駐日アメリカ大使を務めた方です。
赴任後間もない頃、子犬を連れてお堀端を散歩していました。
子犬が誤ってお堀に落ちてしまいます。今にも溺れそう。
グルー氏はパニックになります。回りに人が集まってきました。

その時、一人の青年がお堀に入って子犬を救いました。
グルー氏は大感激。青年に「あなたのお名前をお聞かせください」。
青年は「私は誰しもがやるべきことをしただけです」。
そういって立ち去ったそうです。美談ですね。

およそ80年前の話です。
満足な暮らしをしていなくても、人は美しく振る舞えます。
同様にあふれる情報の中にいなくても、正確に事象を見極めて、
正しいと思える判断を下すこともできます。

グルーの時代から今に至るまで、日本人の生活は驚くほど豊かになりました。
物質的な面はもとより、インターネットの普及によって
情報面でもほとんどのことを「何でもすぐに知りえる」状態が今。
しかし、日本人の精神性はそれによって進歩したでしょうか?

産経新聞の前ソウル支局長を朴大統領に対する
名誉棄損で訴えた事件の公判で、韓国の検察庁は
「産経の記事が日本の世論に与えた影響」の証拠として
2ちゃんねるの書き込みを提出したそうです。

まあ、世界の常識外れ国家・韓国のやることですから驚きません。
しかし、もし同様のことを日本の検察が行ったら袋叩きでしょ。
その検事は世論の総スカンを食って辞表提出でしょうね。
一方、あれを証拠採用して有罪判決を下したら、韓国の司法は終了。

中国の共産党政府は、日本の2ちゃんねるにあたる百度に対して
異様に神経質です。都合の悪い書き込みはすぐに消去。
それをチェックするために何十万人ものチェッカーを
雇用しているそうです。異常ですね。なぜでしょう?
それは、あんなものにまで気を使わねばならぬほど、
共産党政府の正統性が脆弱だからです。

日本の国会で2ちゃんねるの書き込みを元に質問した議員がいたでしょうか?
そんなことをしたら、まずメディアの集中攻撃を受けて落選確実。
週刊誌のようなゴシップメディアでもほとんど取り上げません。
しかし、恥ずかしながら日本に2ちゃんはまだ存在し、
日々犯罪の温床として使われています。

3流の不動産屋世界は別にして、お金持ち社会はもちろん、
いわゆるエリートや富裕層だけでなく、私の身近な人々の間でも、
2ちゃんねるを話題に取り上げることは人格を疑われる雰囲気ですね。
いわゆる表社会から抹殺された感じがします。

振り返って、今のツイッターはまさにその道を歩んでいませんか?
私が見る限り、ツイッター世界は匿名ワールドと実名ソサエティに
分離されつつあるように思えます。
実名ソサエティでは、それなりの発言がなされています。
しかし匿名ワールドは、限りなく2チャンネル化している気がします。
あの世界にどっぷりと浸かることは、時間と精神の健康を
失うことにつながるのではないでしょうか。

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2015/7/31 12:27 Comments (5)

5 Comments

まろたんさん、おはようございます。

確かに、北朝鮮から人質を奪還すると支持率は上昇するはず。
しかし、南北会談に200億円払ってノーベル平和賞をもらった
金大中みたいに、後味の悪いことにならないか心配。
あの貧乏タレの北朝鮮がタダで人質を返すとも思えません。
考え得る最大の譲歩は「制裁解除」。
その程度で、人質を帰すでしょうかね。

中国の市場は確かに共産党が最大限の努力を行います。
最悪は市場閉鎖か、露骨な株価捻じ曲げ。
人民元相場みたいなことをやりそうです。
そんなの、すぐにバレるので・・・というか
現状やっていてもうすぐバレるかもしれません(笑)。
そうなったときに世界の笑いもので、AIIBも自然崩壊。
まあ、高みの見物でいいでしょう。
しかし、今や日本経済は中国経済と密接に絡んでいます。
リーマン程度の不況は避けられないでしょうね。
私も影響を受けざるを得ません。
これを何とかビジネスチャンスにしたいものですが。

ごきげんよう。 榊淳司

2015/08/04 07:32 | by Sakaki Atsushi

まろたんさん、おはようございます。

安倍政権、いきなり風雲急を告げていますね。
おもしろいといえば、おもしろい。
もともと、彼自身はクリエイティブな人間ではありません。
まわりの言うことをよく聞く素直なタイプ。
「ブレーン政治家」とでもいいましょうか。
方向が「保守正統派」だったのが時代に合いました。

しかし、最近はブレーンの操り人形ですね。
派遣法改悪なんて、本人は何にもその意味を分かっちゃいません。
安保法案と憲法の関係も、学者を論破できるまで理解しているとは言い難い。
まあ、もともと無理はありますが。

最近は、まわりに足を引っ張られています。
何といっても、修羅場に弱い男ですから(笑)。
ここで中国のバブル崩壊、なんてなってしまったら。
しかし、それは目に見える形では起こらないでしょうね。
習君がそれをさせないでしょう。
共産党対市場の戦いは、目見見える形では共産党は負けません。
市場を骨抜きにしてでも維持するでしょう。

まあ、真夏猛暑の中、高見の見物といきましょう。
ちっとも清涼感はありませんが(笑)。

ごきげんよう。 榊淳司

2015/08/03 05:51 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

ご存知の通り、
「改正派遣法」が6月衆議院で可決され、参議院で審議中。
参議院でも可決され、9月1日から施行されるとの下馬評。

なにしろ「職種不問・3年シバリ」が主眼ですから、
この先、どのように変わってゆくのか?
経済・景気・労働・生活に与える影響は、如何?
私は、ヒトゴトながらフォローしようと考えています。

向こう10年超、国家レベルで見渡しますとリスクは2つ。
1つは「財政破たん」で、もう一つは「労働力不足」。
つまり「カネとヒト」こそが、リスクです。

「カネ」は置きまして「ヒト」の問題ですが、この突破口としては3つ。

ひとつは「ハケン」です。
これは、派遣法の改正でアガリでしょうか。
他の2つは「オンナ・高齢者」の労働力利用でしょう。
この3つで「労働力不足」を突破してゆくことでしょう。
「移民」は「とりあえず、ナシ」かと。

オンナの利用とは、ズバリ「主婦」を安く便利に「使い捨て」したいと。
「高齢者」も、ほぼ同じように。
これこそが、政府・財界の狙いだと見ていますが、如何でしょうか?

これを実行するため「さまざまな変更」を仕掛けて来る、
と、私見ですが。
その変更の具体策は、ここでは割愛しますが。

それにしても、株・不動産のバブルがハジケたら!
ま、時間のモンダイでしょうが。

ごきげんよう。

2015/08/02 20:13 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

アハハハ、そういうことですね。
くっさい便所に行くアホ、書くアホ、読むアホウ。
同じアホども、勝手にやっとれ、の世界ですか。
まあ、そんなアホな話はいいとして・・・

安倍君、先行き怪しくなってきましたね。
金融緩和以外、内政では何もやっていないと言えばやっていない。
強いて言うなら消費税先送りですか。
経済はいいのか悪いのか分かりませんが、
失業率が上がらずに会社も倒産しないので小康ですか。
この先、ドカーンときそうです。そんな予感。

まあ、このうだる夏を楽しみましょう。
ご自愛ください。

ごきげんよう 榊淳司

2015/07/31 15:53 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「便所の落書き」ですよ。

しかも底辺の巣くう飲み屋街のションベン臭いアレ。(笑)
いつの間にか消えてしまいましたが。

その現代版です。
バカ以下の底辺が、匿名でションベンまき散らして。
クサ~。(笑)
それがツイッターをはじめとする、匿名SNSですね。

社会学の切り口で見ると、底辺層の「ガス抜き」の機能を持っています。
いつの時代にも格差・階層はありました。そのため、
底辺層の不満・嫉妬を「骨抜き」にする仕掛けはありました。

それが、今はコレです。
だから「バカ以下」でも使えるように「レベル調整」してあります。
しかも一度ハマルと抜け出せないように。ドツボへ一直線。
「あんたも好きねえ」のカイカン・ワールド。(笑)

以上、すこーし語弊はありますが、概ねこんなところでは、有馬温泉。

7月も終わります。
景気指標がNGのようですね。
先行きも悲観的の予測が主流のようですが。

ま、とりあえず、エンジョイ・サマーですね。

ごきげんよう。

2015/07/31 13:18 | by まろたん

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