世界で損ばかりしている日本人、の話

京都という町には、人付き合いにおいて
やたらと面倒くさいところがあります。
「言葉の意味がその言葉通りでない」みたいなルールです。
よく言えば「婉曲な言い回し」が好まれます。

YESはいいのですがNOをはっきり言いません。
まあ、これは日本人全般にいえることですが、
京都人はめったに「NO」に類することを言いませんね。
日本語でいうなら「お断りします」とか「要りません」みたいな。
多分、生粋の京都人は1年に1回も言わないかもしれません。

この前、その京都で祇園の芸妓さんがやっているバーへ行きました。
そこで京都弁についての話をいろいろしていていたのですが、
舞妓・芸妓が「これさえ覚えとけば大丈夫」な3つの言葉。
それは、「すんまへん」「おおきに」「おたのもうしします」。
この3つのどれかを使えば、だいたいの場面はしのげるそうです。

そういえば周防監督の「舞妓はレディ」でも出てきました。
「おおきに」「すんまへん」「おたのもうしします」
「お断りします」というときには「すんまへん」でしょうか。
まあ、それで済めば便利なものです。

実は私、そういう京都風の物言いが大の苦手です。
YESとNOは、割合はっきりいうほうですね。
また、言葉はその字義通りの意味で使います。
変な遠回しは大嫌い。それを使われるのも大嫌い。
「はっきりせんかい。どういうことやね?」と
すぐに言いたいタイプです。だから京都人は苦手(笑)。

東京というところは、京都人からすると田舎者の集まりです。
これは見下しているのではなく、ホメているつもりです。
私のようなYESとNOをはっきり言うタイプには生きやすい街。
何がいいかというと、言葉はおよそ字義どおりです。
断るときも、はっきりとは言わないまでも昨日や一昨日東京に
やってきた田舎者でも分かるようには言ってくれます。

だから、私にとっては京都よりも東京の方が
ビジネスはやりやすい、という感覚を持っています。
今でも京都で何か仕事をしたいとは思いません。
やるとしても、せいぜい大家業でしょうか。

ところが、この東京の感覚よりも諸外国はもっと
YESとNOがはっきりしているらしいですね。
今は私もほとんど英語を話すことがなくなりましたが、
20代の前半は職場にいたアメリカ人と
よくつるんで遊んでいました。もちろん、会話は英語。

半端な語学力しかなかったせいもありますが、
英語で話すときはあいまいさがほとんどなくなります。
物事の主体もはっきりさせなければなりません。
IとYOUは完全に区別されます。
自分がどうしたいのか、どう思うのかも、英語だといいやすい、
という感覚を持っていました。

だから、けっこう私の性格にはあっていると思いましたね。
いつか外国で暮らしてみよう、なんて考えながら
気が付いたら日本語の文章を書くことが商売になっていました。
最近では英語力を使うのはもっぱらニュースを読む時だけです。
こちらはあまり衰えません。18歳の時よりも今の方が強いかも。

大学生の時に、同じゼミに英語がペラペラの女の子がいました。
結構仲が良かったので、卒業後もよく大阪で飲んでました。
彼女は完全な大阪人なので、二人の会話は関西弁です。
そのうち私は東京に居を移し、彼女はカナダの大学院に
留学した、という噂を聞いていました。
以来約30年、会っていません。

そんな彼女と、30年ぶりにフェイスブックでつながりました。
メールのやり取りをしていることで、彼女も本を書いたと知りました。
2011年ですから4年前。あの大地震のちょっとあとですね。
さっそくアマゾンから取り寄せて、読んでみました。

関本さんの本

彼女のキャリアは、カナダの大学院で修士を取得後、
ILO(国際労働機関)、FAO(国際食糧農業機関)、
さらにOECD(経済協力開発機構)、ADB(アジア開発銀行)。
今はWB(世界銀行)の職員で、リクルーティング担当。

もう15,6年前に本屋さんで「同志社」紹介のムックを
立ち読みしていたら「代表的な卒業生」として彼女が登場。
(おお、関本さん・・・国連の職員になっとるやないか)
なんて、ちょっと驚いたものです。(正確にはILO)

このブログでも何度か書きましたが、わが同志社大学法学部の
「麻田ゼミ」は、あの時代の学内「最強」であったと自負しています。
何が最強かというと「人材」という面において。
それはもう、いろいろ知的に「変な奴」が集まっていました。
そいつらがみな「変な奴」らしい人生を歩んでいます。

今の同志社大学の学長は村田君と言って、ゼミの2年後輩にあたります。
「朝までテレビ」などによく出ていました。最近も国会に呼ばれてましたね。
彼のように大学の教授になったゼミ卒業生は、一説には30数人。
確か、我が同期にも一人いたはず。1期上は知っているだけで2人。
関本さんのような国際機関の職員やキャリアの外交官も同期にいます。
まあ、多士済々。私などは世の中の端っこで
ただただうるさく吠えているだけですが(笑)。

この本は、そんな国際キャリアの彼女が大学院を出てから
数々の国際機関を「日本人」の「女性」というかなりマイナーな
立場で渡り歩いている間に経験した出来事を縦軸に、
日本人がその「あいまい」で「謙虚」な性格ゆえに
いかに損をしているのか、という
種々の厳しいご指摘を横軸に語られています。

僕は30年前とはいえ彼女と知り合いなので「おや、そうやったん」、
ふむふむ、はむはま「関本さんも苦労しはったなあ」という感想。
素直に言って、私は彼女の活躍を大変誇りに思います。
そして、彼女が「日本人の美徳を失うまい」と苦労しながらも
徐々にマインドも鍛えられたキャリアとして
成長していく姿を想像して、ちょっと感動。

来年あたり、30年ぶりに彼女と再会できるかもわかりません。
非常に楽しみです。ただ、忙しい彼女が僕と会う時間を
作ってくれるかどうかがちょっと心配ですが。

しかし、こういう昔の知り合いが書いた本を読む、
というのは中々に別の味わいがあっていいですね。
特にその方の人生をうかがい知ることができる内容だと、なおさら。
恩師である麻田先生のアメリカ留学時代の出来事をつづった
「リベラルアーツへの道」を読んだ時も、感動しました。

私はもう多分、日本以外のところに住むということはなさそうです。
関本さんが書いたこの本も、麻田先生の著書も、
直接的には私の人生の役に立ちそうにありません。
でも、私としてはかなり楽しめました。もちろん、教養にもなります。
特に私たちの子どもの世代にはうんとお勧めします。
まあ、このブログの読者にはほとんどいないとは思いますが(笑)。

さて、資産価値レポートの更新情報です。
今回は「新宿区」のレポートを更新しました。
相変わらず、新規物件の登場は低調です。
既存物件も値上がり前の物件はほぼ消えてしまいました。
選択がますます難しくなりました。
やはり、バブルは一度弾けるべきです。それもなるべく早く。
その方が、結局は消費者のためになるはず、と私は思います。

新宿総集編
価格 6,980

■ザ・パークハウス 西新宿タワー60、■リビオ新宿ザ・レジデンス、■ロイヤルシーズン新宿柏木、■ザ・ヒルズ市谷薬王寺、■ザ・パークハウス 市谷甲良町、■ブランズ牛込神楽坂、■グランスイート神楽坂ピアーズ、■インプレスト早稲田、■ザ・サンメゾン目白近衛町エルド、■スカイフォレストレジデンス、■ピアース高田馬場、■プレシス新宿柏木、■パークホームズ四谷三丁目、■プレミアスイート外苑の杜、■アトラス市ヶ谷、■ザ・パークハウス四谷若葉レジデンス、■ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森、■ジオ御苑内藤町、■プレシス新宿御苑レザリス

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2015/8/18 17:52 Comments (0)

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