新豊洲の歓迎できない未来図とは?

一度でも本を書いたことがあるお方なら分ります。
新しい著書が出た後で、もっとも待ち遠しいのは担当編集者からの
「増刷が決まりました!」という電話。
私、恥ずかしながら今まで3回しか経験がありません。
その3回目が昨日でした。
今回は初版の部数も過去最高だっただけに、嬉しさひとしお。
「いやあ、講談社現代新書はすげーなあ」
(ごめんなさいね、今までの3社様。みな、大変感謝しています)

先週金曜の16日に、日本経済新聞の全国版に半5段の広告。
私の著書だけのために、新聞紙1ページの6分の1を買ってくれたのです。
多分、私の中では過去最高の広告費がかかっているのではないでしょうか。
もちろん、講談社さんは拙著が売れることで利益を得るわけですから、
純粋な経済行為なのかもしれませんが、そのご期待に感謝、感謝。

今、日本で一番の本屋さんはいうまでもなくアマゾンです。
16日に日本経済新聞の広告が出て、一気に総合で30位台まで上昇。
そのあとじわじわと順位を下げていたのですが、なんと1日で品切れに。
折り悪く三連休でそのまま品切れが継続。
多分、今日か明日あたりに「在庫あり」に変わる予定。

今まで6冊の本を世に出しましたが、どれも自分の子どものようなもの。
ひとつとして手を抜いたことがありません。それぞれ、全力投球。
それでも、結果が出たものと出ないものに分かれます。
ある出版社の社長さんはおっしゃいました。
「良書だからと言って売れるとは限らない」
救いのような、諦めのような、お言葉ですね。

今回の拙著もかなり気合を入れましたよ。時間はかけていませんが(笑)。
例えば「特別付録」。これは今まで他にはない過激な企画。
マンションデベロッパー主要12社の特長を書き連ねました。
チラ見せしますね。

三井不動産レジデンシャル 業界のリーダー的存在
・・・・・社内は大まかに2層に分かれている。上位は三井不動産からの出向組。彼らは慶応閥が強いエリート集団。優秀だけれども怜悧。めったにエンドユーザーの前には出てこない。主体は、プロパー採用組と旧三井不動産販売社員。彼らにしたところで「業界の雄」という意識が強い・・・

住友不動産 在庫を厭わない高収益追求デベロッパー
・・・・その一方で、最も多くの在庫を抱えているデベロッパーであることも間違いない。その理由は、「在庫を厭わない」という事業方針にある。逆に、竣工までに完売してしまうと、事業担当者が上司から「なんでそんなに安く売ったのだ。もっとしっかりと利益を確保しろ!」などと叱責されるという・・・・

大京 かつては業界のダントツのトップ
・・・・すでに昔日の面影はない。社内もオリックスからの出向組が実権を握り、生え抜きの社員は次々と去っていった状態。
かつては、業界随一の営業力を誇った。そして、マンション業界の人材供給元となって、OBたちが・・・

大和ハウス工業 ひとことで言えば「大企業」
・・・・この会社が開発分譲するマンションは、ずっと「泥臭い」イメージで見られてきた。また、用地仕入れにおいても大企業ならではの鈍重さが災いしてか、上手に買えていない印象が強い。市場の動きに周回遅れとなる・・・

こんな感じで各社に1ページと半分くらいの分量で書いています。
ここに上げた以外では、
東急不動産 東急電鉄の子会社だが……
野村不動産 竣工前になると値引き開始
三菱地所レジデンス 三井に次ぐブランド力
タカラレーベン ただ今迷走中?
東京建物 時にはマドンナも呼んでしまう
近鉄不動産 首都圏でもわりあい老舗
一建設 プレシスが大量繁殖
大成有楽不動産 マンション建設は親会社に発注しない

といった感じです。
とある大手シンクタンクで長らく不動産を担当なさっていた
業界ではかなり知られた元アナリストさんからメールをいただきました。

デベ側に不都合なことに触れない住宅ジャーナリストには絶対に書けない本ですね。知人にも薦めておきます。

業界の権威にこういっていただくと、うれしいですね。
もちろん、その他にも多くの方々から賛辞をいただいています。
ただ、私の読者さんはネットで書き込みをする習慣がないと見えて、
アマゾンのレビューは少ないですね。
しかも品切れ。それでも売れています。
「マンション」カテゴリーで「ベストセラー1位」。

書影

ここのところ、この話題ばかりで恐縮です。
少しだけ、時事的なことを書かせていただきます。
他ならぬ「豊洲の市場問題」。大騒動ですね。
僕には関係ないや、と思っていたら・・・・

夕刊フジの「豊洲マンション暴落」とか、今朝のTBS「白熱ライブ」に
コメントを提供させていただきました。
実際のところ、豊洲駅徒歩圏のマンションについては、影響は軽微でしょう。
この「オリンピックバブル」で上がった分くらいは落ちるでしょうが。

問題は新市場に近いスカイズとベイズでしょうね。
オリンピック決定以前に私は「実力値坪150万円」と評価していたのが、
一時期流通価格で300万円を優に超えていました。
市場のブレというのは恐ろしいものです。
かなり高いゲタを履いた状態でしたね。しかも、外国人が大勢。

今の「豊洲問題」がどう収束するのか見えなくなりましたが、
1年以上の延期や、あるいは計画撤回にでもなったら、
実力値への収斂が時期的にぐっと近づいてきます。
まあ、この問題をどう収めるかは小池君の胸先三寸。
あのオバサンは自分が非難されるような終わり方はしないはず。
つまり、「ごまかしてウヤムヤ」はなさそうなのです。
そして、ほじくれば埃がまだまだ出てきそうですね。

オリンピック決定前、スカイズははっきりと販売不振でした。
確か、新築時の販売価格の平均坪単価は260から270万円です。
その頃、有明エリアのよく似たリゾート仕様の中古マンションは
坪単価100万円台の中後半で取引されていたと記憶しています。

オリンピック後、東京の人口は減り始めます。
市場にジャブジャブお金を流してくれる黒田君も、もういないはず。
アメリカの金利が上がれば、日本の金利も引っ張られます。
マネーの世界が正常に戻れば、キャップは5から8%に戻るはず。
すなわち、リアル不動産の価格は今の半分程度に下がります。

まあ、これは今のところ机上の空論ですが、
いちおうはまっとうな理論だと私は考えます。
プールや温泉付きのマンションは、設備劣化への対応が大変。
修繕積立金は、最終的に今の3倍くらいになりそうです。
流通市場での魅力はさらに薄れてしまいますね。

スカイズやベイズは、駅から離れているので豪華設備が命。
でも、築10年になると派手なタワー好き人種からは
「アレは10年物の中古じゃない」という目で見られます。
そう考えると、もの凄いハイリスクだと思います。

見えているのは「坪単価150万円」への道か、
中国人にどんどん買ってもらってのチャイニーズ化。
どっちにしても今買った人には歓迎できない未来ですね。
でも、今ならまだ逃げられますよ。

10月1日 (土)榊淳司の不動産売却ご相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。
開催日時:10月1日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

10月1日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

購読料 1ヵ月 1,590
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2016/9/21 13:27 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんにちは。

3万人の街で新築マンション!
相続税対策の賃貸用でしょうかね。
分譲だったら、アホかいなの世界。

昨日は事務所で大宴会。
6時間ぶっ通しで飲み、誰かと話していました。
私の世代が最年長。
あと何年こんなバカができるのか。
「生きているうち はたらけるうち 日のくれぬうち」

まあ、せいぜいはばかります。

ごきげんよう 榊淳司

2016/09/22 14:49 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「若さは、人生最強の武器である」
が、最大の弱点は、
「いつまでも若くない」と言うことです。(笑)
ナンピトにとっても、時間は残酷ですわ。

井上さん。
「老成・達観」と、身に余る御言葉。
ただただ「小心者の小市民」の処世に過ぎません。(笑)
で、井上さんも67才と。
団塊もエートシに成りましたなあ。(笑)

本日、訪ねて来ました。わが生誕地を。
まさに「浦島太郎」。
センチメンタル・ジャニーなんて、吹っ飛びます。
ここでも、また「時間は残酷でんなあ」と。(笑)

今、人口3万人余の小さな町です。
更に、人口は減り続けています。
増加に転じる要因は、ゼロ。
であるのに、
「新築マンションがアチコチで」という現状。
いったいこれはー!
「分からん。分からんことが多過ぎる」(笑)

ごきげんよう。

2016/09/22 04:52 | by まろたん

井上さん

あはは。さっき飲み会から帰ってきました。
ビビットに出ていたそうですが、そんなに言ってませんよ。
昨日、Vを撮りにTBSが来ました。
まあ、私の言うべきことは言いましたけど、
自分の主張から外れることは言いません。
まあ、ケチョンケチョンに受け取られればそれまで。

不動産の価格がどう決まるかは、
来週金曜日の夕刊フジのコラムに書きました。
再来週の日曜日にはzakzakで見れますよ。
金曜には週刊ポストと現代に痛烈なコメントも出ます。
サンデー毎日には出ています。
おかげで、原稿制作が捗りません(笑)。

スカイズ、下がりますよ。
日本経済の仕組みの中では上がりません。
黒田君、結局バズーガは撃てなかったし。
まあ、結果はおのずとわかります。

おやすみなさい ごきげんよう 榊淳司

2016/09/22 01:02 | by Sakaki Atsushi

榊さん、どうも。

今朝のビビット見ました。
おおお・・榊さんだぁーっ!!出たぁーっ!!
まあ、SKYZに関しては、榊さんは、もうケチョンケチョン。
でも、私はいつも楽観的・・上がって行くものと見ています。
あくまでも、数字的裏付けなしの
動物的感だけの見方ですけどね・・
でも、これが良く当たる。

まろたんさんが、私とおなじ67歳とは・・
私なんかより老成した感じで、
いつも私などよりは達観してる感じ。
恐れ入ります、
恐れイリヤのクリヤキン・・もとい・・恐れ入谷の鬼子母神!

2016/09/21 20:40 | by 井上@打浦橋@上海

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