新築マンションの価格が下がらない理由

先週末に新宿、中野、板橋、練馬の4区を回ってきました。
順次、資産価値レポートを最新情報に更新しています。
しかし、身に染みるのはマンション業界の劣化という事実。
新しい物件がほんの少ししか市場に出てきません。
そのわりには、既存の物件の販売が進んでいません。

新しい物件が出てこないのは、土地が買えていないから。
既存の物件が売れていないのは、価格が高すぎるから。
だったら、まず土地が安くなればいいようなものでしょ。
ところが、都心や近郊ではちっとも土地が安くなりません。
理由は、高くても買っていく奴がいるから。

都心ならワンルーム業者やホテル業者が買います。
特に、ホテル業者は容積緩和もあるので
普通のマンションデベが太刀打ちできない価格で買えます。
ワンルーム業者は、新築ワンルームマンションという
ある意味「不具」な投資商品を買うバカがいるから、
今も世間で幅を利かせています。

板橋や練馬と言った近郊エリアであっても、
駅に近ければワンルームでもホテルでも事業化が可能。
土地の値段は当面下がりそうにありませんね。
それでもって、建築費も高止まりしたまま。
これは人手不足という構造要因によるものなので、
当面は続きそうです。というか、外国人労働者を
もっと入れないと安くなることはないはず。

実のところ、建築現場では今でも外国人がいっぱい。
だから、最近の工事は施工精度が荒くなっている可能性大。
マンションなら、これが数年後に欠陥となって表れてきます。
「2010年代後半に竣工したマンションは買うな」
みたいなことを10年後、20年後にはいわれそうな。

既存のマンションが売れないのは、価格が高すぎるから。
だって、板橋や練馬でもまともなマンションは6千万円超ですぜ。
そう言った物件を見るたびに思い出す自分内のエピソード。
14年くらい前に鎌倉で販売された新築マンションの
広告制作を請け負っていました。
鎌倉駅から若宮大路を海に向かって10分くらい歩いたところ。
売主はメジャーセブンにも入っている大手。
まあ、「まとも」な物件ですよ。

そのマンションの広告を作っている時に、
広告代理店の若い担当営業がしきりに、
「だって、このマンションは5千万円ですよ」と言っていました。
つまり「5千万円だからもっと高級感を出さなきゃ」ということ。

ハハハ、今は5千万円ぽっちなら安物マンションしか買えません。
さて、14年前と比べて今は普通のサラリーマンの所得が
「5千万円ぽっち」と言えるほど上がったでしょうか?
なわけありません。むしろ下がっていますね。
消費税や社会保障負担、その他公共料金もあがったのに、
給与水準はむしろ下降気味じゃないですか。
下がったのは住宅ローンの金利くらいのもの。
それじゃあ、「まとも」なマンションは買えませんよ。
だから、都心近郊でも郊外でも新築マンションは売れません。
状況を冷静に眺めれば当たり前のことなのです。

マンション業界というのは、構造的にバブりやすい体質です。
土地が高くなっても、一定数の事業用地は買わざるを得ないのです。
「高くなったから、1,2年はお休みしようか」
ということにはならないのです。
「高くなれば高いなりに」買わざるを得ません。

私が懇意にしている業界では最も土地情報が集めっている
という企業の幹部は「アハハ、こんなに高いとしばらくお休み」
なーんて言いながら、他社に聞くと「買いまくっている」とか。
「あかんやろ、それ」の世界ですよ。

その結果、高く売り出して売れない。値引きに突入。
財務体質が悪化。倒産の危機。本当に倒産。
というのがマンションデベ業界のパターンでした。
今回は倒産するほどおバカ物件をバカ高で買いまくっているのは
私が見る限り大手を除きほんの2、3社でしかありません。
倒産しても、せいぜいそれくらいのものですね。

しかし、マンションに関してはほぼ完全に中古市場が
新築市場を凌駕する存在になりました。
これからマンションを買う人は、新築ではなく中古を
メインにお考えになる人が多数派になるはずです。
新築マンションは前述の事情から価格が下がりません。
今後はお金持ちの趣味的な商品になっていくはずです。

しかし、中古市場も新築の高騰に引きずられて
今は「高止まり」的な状況です。
需要と供給の関係から見ると、圧倒的な供給過多。
もっと下がっていいはずなのに下がらないのは、
需給が両すくみ状態になっているからだと思います。
この状態、大きな事件がなければ来年までは続きます。

年内に何か大きな事件がるとすれば、北朝鮮か東芝。
トランプ君が面子にかけて斬首作戦を実行するとか、
東芝のアホな経営陣と勘違いの経産省がなし崩しの
倒産劇を手をこまねいたまま見ているとか。
そうなった時には、下落へのキッカケになりそうです。

では、その資産価値レポートの更新情報ですね。
今回はまず、新宿区と中野区のレポートを最新情報化。
新宿区ではさすがに局地バブルがピークアウトしたことを、
天下の住友不動産さんも実感なさったようで、
やけに市場に合わせた値付けも見られるようになりました。
中野区では旭化成系の再開発案件がちょっと面白いですね。

新宿区総集編
価格 6,690

■ブラントン神楽坂、■ディアスタ早稲田 諏訪通り、■ザ・パークハウス 山吹神楽坂、■ローレルコート新宿夏目坂、■プレミスト新宿山吹、■ジオ新宿若松町、■グラン レ・ジェイド若松町レジデンス、■イニシア新宿早稲田、■ウエリス新宿早稲田の森、■プラウド神楽坂マークス、■エクセレントシティ目白、 ■スカイフォレストレジデンス、■スカイコートヒルズ北新宿、■シティハウス四谷津の守坂、■ パークホームズ四谷 ザ レジデンス、■アトラス市ヶ谷、■ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森、■ジオ四谷荒木町、■ジオ四谷三栄町、■シティハウス四谷坂町、■サンクレイドル御苑内藤町

中野区総集編
価格 3,690

■アジールコフレ中野坂上、■シティハウス笹塚レジデンス、■ザ・パークハウス 中野タワー、■リビオ中野坂上パークフロント、■ピアース中野坂上、■プラウド上鷺宮、■グランドメゾン江古田の杜、■パークリュクス中野、■ヴォーガコルテ中野坂上、■アトラス中野南台、■Brillia(ブリリア)東中野 Station Front


7月22日 (土)榊淳司の不動産売却&投資相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。

開催日時:7月22日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

7月22日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回の参加者は4組様。
ただ、10分ほどお待ちいただいた方もおられました。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

購読料 1ヵ月 1,590
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2017/7/17 15:22 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんにちは。

暑いですね。
高齢者の劣情に接するとあんぐりします。
しかし、雀百まで怨み忘れず、ですか。
何とも寒々しい現実。

ところで、まろたんさんは男の更年期を経験されましたか?
おもな症状は
●理由はわからないが不安感がある
●ささいなことで周囲に当たってしまう
●パニックになりやすい
●夕方、急に眠くなることがある
●趣味やスポーツをするのが億劫になった

だそうです。
私は何も思い当りません。
しかし、同年代で「ああ、そうかいな」という
御方が何人かいらっしゃいました。
何なんでしょうね。

今日もアクセクと働くこととします。
ではまた ごきげんよう

榊淳司

2017/07/19 10:45 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

そうですか。
団塊、遥か彼方。アンドロメダですか。(笑)
そろそろ団塊ジュニアが50とはね。
やはりお遍路しかない。(笑)

トシを取りますと、老いさらばえて来ますと、
煩悩たるや、変わらないどころか、
ますますミガキが掛かって来ます。
猜疑心。嫉妬心。
老いて、ますますミガキが掛かって。
もちろん、人によりますよ。

ですからね。
老人に近寄らないようにと、先日もお話しました。
ドロドロ・ギラギラ・ですよ。
老人の「ツラ=ご尊顔」を御覧下さい。
あーあ。(笑)

我が人生を呪っておる老人の多さ。
不幸だよなあー。
今、こんなに豊かな国なのに。

そして今。不寛容。不機嫌。の時代。
他人に不寛容。
とにかく他人が気に入らない。面白くない。
で「妬み・嫉妬」し、攻撃する。
これ、百年くらいは変わらんでしょう。このまま。

明るく楽しく生きましょう。
今日も明日も、飄々と。
ベランダでひとり、冷えた麦酒を飲みながら。
ごきげんよう。

2017/07/18 20:15 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

お隣さんの入居が決まってよかったですね。
今の若い方にとって団塊の世代なんて、
「はるか彼方の人々」ですよ。
そろそろ、視界からきれいに消えてなくなる方々。
団塊ジュニアですらもうすぐ50歳ですから。

最近気づいたこと。
人間というのは歳をとっても煩悩はなくならん。
猜疑心や嫉妬心という劣情も衰えん。
つまり、嫉妬する人間は80になっても嫉妬している。
それが見えると老醜ですわな。
今からせいぜい枯れておこうと思います。

お遍路は10月ですか。
まあ、いちばんよい季節かもしれませんね。
楽しみではないですか。

ではまた ごきげんよう 榊淳司

2017/07/18 14:11 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

やっとこさ、隣の住戸に入居あり。竣工1年半。
夫婦子ども4人家族。40才位の夫婦。
女房のほうが年上。かなり。
ま、さまざま、さまざまです。

団塊世代。だけでなく年金世代。
今、後進世代からどの様に見られておるのでしょう?
小生、クルマは持たず、並みのマンション暮らし。
ま、中流層、といったところでしょうか。

高齢者の経済格差。極めて大きい。
ですから高齢者を十把一絡げには語れません。
であるのに、世に、いわゆる「世代間格差」の論調。
うーん。なんか、モヤモヤしますね。

7年後、2025年には団塊世代が75才に突入。
なんと、5人に1人が75才以上という人口構成に。
各世代でますます経済格差が開くでしょう。多分ね。
腹にイチモツ、手に荷物、となるような。ますますね。

1945年。敗戦。その後の20年のニッポン。
誠にヒドイ労働環境であったと本で知りました。
ここまでとは、小生、不勉強でありました。

トキオをはじめ大都市も、イナカモンの吹きだまり。
でしょう。
あか抜けない、野暮ったい、ビンボウ臭い。
湾岸のタワマンの悪趣味。ここに尽きた感ありです。

何を言いたいのか分からなくなったところで。
ま、こんなふうに過ぎてゆくのでしょう。
泣いても笑っても。
明るく暮らしてゆきたいものですなあー。

小生のお遍路。10月下旬を予定。
ごきげんよう。

2017/07/17 18:25 | by まろたん

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