亡国の受験制度改悪を憂う

そろそろノーベル賞が発表される季節ですね。
今年は日本人の受賞があるのでしょうか?
僕が子どもの頃、日本人のノーベル賞受賞は
4人しかいませんでした。

湯川秀樹に朝永振一郎、川端康成に江崎玲於奈。
川端氏以外はすべて京都に関係する人。
湯川さんも朝永さんも私の京都の実家のご近所在住でした。
多分、死んだ親父がやっていた古書店にも来られたはず。
よく学校の先生は「東大は役人作る学校、京大は学問や」と
まるで京大の方がエライみたいなことを言っていました。
今は大して変わりませんね。東大は相変わらず役人養成ですが。
まあ、それはいいとして。

今の中学校3年生が大学を受けるときには
センター試験が無くなる、というのをご存じですか?
ああいうのではなく、「物事を考える能力」を問うような
問題形式にするそうです。
みなさん、ちょっと想像できないでしょ。
実は私もイメージできていません。

今までの日本は、学校秀才型の頂点に東大があって、
その下は偏差値順のピラミッドが形成されていました。
私の属する「私立文系数学無し」カーストが最底辺です。
それでいったい何が問題だというのでしょう?
私にはとんと分かりません。

受験問題で高い点数を取れる人間というのは、
社会に出てもおおむね仕事もよくできます。
ともかく、課題を与えると解決能力に優れているのが受験秀才。
この社会にはそういう頭脳ロボットみたいなのが
大量に必要なのです。その生産システムが受験制度。

そして、その頂点に立つのが東京大学ではないですか。
あの大学の卒業生は「答えのある問題」を解くことに関して
おそらく日本で最も優秀な集団であるわけですよ。
だから、「答えのある問題」は連中に任せておけば安心。
役人仕事はおおむね答えがありますから、連中の得意分野ですね。

ただし、答えのない問題について連中はやけに不得意です。
身近なところでは営業。私は東大卒の優秀な営業マンを知りません。
営業というのはどの分野でも製品を説明する能力よりも、
取引先の担当者に好かれる才能というか人柄が勝負です。
そういうことは受験勉強のメニューにはありません。
もちろん、東京大学でも教えてくれないでしょう。
まあ、そんなこともおいといて。

ともかく、今の日本の学科の筆記試験重視の受験制度を
ワケのわからん「考える能力」で判定、みたいな制度に変えると
日本の社会秩序がむちゃくちゃになりそうな気がします。
そもそも、「考える力」というのはその辺の有象無象にはありません。

何回か前の更新でInformationとIntelligenceの違いを書きました。
言ってみれば、今の受験制度はInformationをどれだけ頭の中に
ため込んで、それを上手に引き出せるかを問う選別法です。
凡百の中から問題解決能力の高い人間を選び出すには最適です。

そして、Informationの整理収集能力の優れた人間の中から
Intelligence機能の高い人材を選んで適所に配すればいいのです。
今までの日本はInformationの整理収集能力だけで人間の
能力を判別しようとしていたから、歪になっていたわけです。
東大を出て難しい試験にうかっても、無分別にエラぶったり
他人の不倫なじりながら自分は週4回も情夫にあう選良が好例。

この世の中、誰も彼もにIntelligence機能の高さは求めていません。
高い役職に付く公務員とか、イノベーションを起こす経営者とか、
ブームを仕掛ける各種プロデューサーとか、ある種のクリエイターや
ノーベル賞級の研究成果を上げようとする人々には
高いIntelligence機能が求められます。
しかし、その辺の上場企業の社長程度には
特別なIntelligence機能は必要ないでしょう。
むしろ、下手なIntelligence機能は足を引っ張りそうです。

つまり、高いIntelligence機能なんて
1万人に一人くらいが持っていれば十分。
その人物が、その能力を活かせる部署に付いていればいいのです。
そこいらの凡百はInformationの整理収集能力だけで十分。

だから、大学の受験における選別法はInformation重視で正解。
よく、日本は受験ですべてが決まるからいけない、
アメリカには日本の受験制度みたいなのはない、という議論があります。
アホかいない、の世界です。向こうにも統一試験があります。
ハーバードやイエールに誰でも入れるわけではないのです。
統一学力テストで一定以上成績を出し、高校での成績も勘案。
さらに人物評価を経て入学許可が下りるのです。
日本のAO入試みたいなインチキ制度とは似て非なるもの。

だからハーバードやイエールにはバカはいません。
むしろ、日本の東大にはInformationの整理収集能力だけしかない
どうしようもない「受験バカ」が一定割合いますが、
ああいうのを排除するのがアメリカの制度だと私は理解しています。

中国や韓国では日本以上にInformationの整理収集能力重視の
受験システムと、それに偏向するいびつな学歴社会を形作っています。
日本のすごいところは、学部の入口はInformationの整理収集能力でも
大学院の入口はそのあたりがいい加減になっていることでしょうか。
いい意味では人物重視ですが、悪くいえば徒弟制度みたいなもの。
さらに、これは組織にもよりますが異端児に寛容なところがあります。
だから、時々高いIntelligence機能を備えた人間が現れて
誰も思いつかない成果を出してノーベル賞に上り詰めるのです。

考えてみれば、日本の歴史の中に登場する源義経や織田信長、
あるいは豊臣秀吉や高杉晋作みたいな人物は中国や韓国の歴史に
見出すことはほとんどできません。せいぜい諸葛孔明や李舜臣。
李舜臣なんてすばらしくIntelligence的な能力を持っていたのに、
結局はくだらない派閥争いで悲劇の最期となっています。くだらん。
韓国社会というのは異端児を認めないから硬直してるといえます。

まあしかし、今の受験制度で義経や信長を選び出すことは不可能。
そもそも、Intelligence的な能力はペーパーテストでは測れません。
その点、もっとも機能的な人物判定を行っているのは
アメリカの軍隊ではないかと私は考えています。

アメリカには主に3種の士官養成学校があります。
ウエストポイントにアナポリス、コロラドスプリングス。
そこに入るためには難関の試験をパスしなければいけません。
しかし、試験の点数だけでは昇進は決まりません。
連中のやり方は、何年もかけて一人一人の士官候補生の
適正を見極めて、もっともふさわしいと思われる専門家に育てます。
中には直接戦争に向かない適性もあるでしょう。
情報や軍政が専門になる人物もいます。
かつてのマハンのように、艦艇の指揮官には不向きでも
海洋地政学という不朽の業績を残したアナポリス出身者もいました。

その点、日本の旧陸海軍は学校の成績を重視。
海軍ならハンモックナンバーの上位者、陸軍なら恩師の軍刀組しか
最上位の階級には登れませんでした。これも敗因のひとつ。
かといって、成績を軽視していいものではありません。

まあ、グダグダ書きましたが受験制度は下手にいじっても
また数年で元に戻るだけ。いつかの「ゆとり教育」も大失敗でした。
なぜいつも失敗するかというと、そういう改革案を決めるのが
いつもInformationの整理収集能力に長けた東大出だからです。
彼らにはなぜか並以下のIntelligence機能しか
持ち合わせていない人が多いのですよ。なぜ?

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2017/9/25 0:05 Comments (6)

6 Comments

トスカ兄さん、こんにちは。

改革の方向性はいいと思います。
しかし、教師自体がモノを考えられない人間がほとんど。
それでどうやって生徒にモノを考えることが教えられるのでしょう。
一部には優秀な教師がいます。
でも、それは優秀な学校に固まっていますね。
文科省の方針が変わったからと言って、
いきなりモノを考える方向には進めないし、混乱するだけ。
人間の大半は兵隊向きです。
モノを考えるのはエリートの仕事。
だからといって兵隊階級出身者にも道を開いておく。
そのあたりが落としどころかと思っています。
そう考えれば、今の制度は悪くありません。
まあ、墨守するほどいい制度でもありませんが。

それではまた ごきげんよう 榊淳司

2017/09/26 12:57 | by Sakaki Atsushi

榊さん、こんにちは。

一説によると、明治以降の日本の初等中等教育は、つべこべ言わない従順な者を育てることを目標にして来たのだそうです。分かろうと分かるまいと、先生の話をじっと聞く。生徒達が自ら考えて意見を交わすなどという機会はほとんどない。日露戦争の203高地攻防戦で、日本軍は何回も銃剣突撃を敢行したようですが、ロシア軍の機関銃に蜂の巣にされることなど火を見るよりも明らかだったのに、数多くの兵士が命令に従って銃剣突撃して戦死したのは、そうした初等中等教育の成果(?)だったのでしょう。考えさせられる教育を受けていたら、銃剣突撃などという不合理な戦法に兵士達は反発して、上官の命令に従わなかったかもしれません。

現代では、従順な兵士予備軍を養成する必要はなく、氾濫している情報や偽情報をいかに選別・分析して自身の行動に役立てるかという能力が問われているでしょうから、物事を考える能力を培う教育は必須ではないでしょうか。お役人さんが何を考えているのかは分かりませんが、物事を考える能力を問うような問題形式にすれば、高校以下の教育は物事を考える能力を育てることに重点が置かれるでしょうから、大いに結構な改革だと私は思います。

ごきげんよろしゅう。

2017/09/26 00:58 | by アル中のトスカ兄さん

まろたんさん、こんにちは。

今日の東京はちょっと暑いですね。
「暑さ寒さも彼岸まで」は昔の話でしょうか。

「艱難辛苦乗り越えて」という歌詞を思い出しました。
苦しい時のことはよく覚えていますね。
ある時「霊感がある」というお方に
「僕の未来はどう見えるの?」と聞いたことがあります。
その人は私の眼を見て
「諦めた人は落ちていきます。諦めなければ大丈夫」と。
その時、私は辛苦にあえいでいました。

またある時、私が応援している人の敵について、
その人が霊感のある人に尋ねたそうです。
「そいつはもうすぐ逮捕されるわよ」というご託宣があったとか。
それで間もなく、そのお方の車は警察が押収、
自宅はガサ入れを受けました。
ところがそのお方、がんばりとおしたみたいで
逮捕されずに帰ってきました。
そこで私、「運命はがんばり次第か」と思いましたね。
まあ、私も自身の経験に顧みるとそう思います。
「諦めたら最後」

家人に「あなたは本当に転んでもただは起きない人ね」
と言われて、振り返ると確かにその通り。
別に山中鹿之助みたいに
「我に七難八苦を与えたまえ」なーんて全然思っていません。
「できるだけ楽な人生を」
今も昔もそう。ちっともそうはなりませんが(笑)。

ではまた ごきげんよう 榊淳司

2017/09/25 13:57 | by Sakaki Atsushi

ゆもちんさん、こんにちは。

確かにホリエモンに林先生は素晴らしいですね。
でも、彼らは天才です。
学校秀才であることに加えて、
自らを演出する才に長けていますね。
しかも、まったく型にはまっていない。

アタマの硬い柔らかいと、
Informationの整理収集能力は、
別の性質ではないかと思います。
たまさか両方を備えた人は強い。

また、味のあるコメントをお待ちしています。

ごきげんよう 榊淳司

2017/09/25 13:28 | by Sakaki Atsushi

榊さま

東大卒に優秀な営業マンが居ない・・・

確かに、そんなイメージですが

ホリエモンさんや、林修先生のような方も居ますし

役者やタレントで活躍されている方もいます。

彼らは、自分という商品を売り込む(営業)ことに長けてると思います。

まあ、でもこれは、東大卒の中の数少ないサンプルですね

榊さんが指摘されるように、より多くの情報をインプットし、それに自分なりの解釈を加えてアウトプットする

言葉にすると簡単ですが、10,000字の論文を300字くらいに短く簡潔に纏める能力と、相手に分かりやすい言葉で説明する能力に加え、問題のコア(本質)を見抜く能力、最後に一番大事なのが独自性(オリジナリティー)。
なかなか難易度が高い能力であると言えます。

榊さんと、同じニュースを見聞きしているはずなのに、その発想がでてこない自分の愚かさが恥ずかしいです。

何歳になっても、勉強は大事ですね。

2017/09/25 11:40 | by ゆもちん

榊さま。

今、夜中の2時。ワタシ、すっかり夜型に。

或る本に触発されて、ふと過去を振り返ってみました。
就中、辛苦のときの事を。で、気付いたのですが、
楽しかったときよりも、辛苦のときのほうが、
「生きていたなあ」との感慨、実感がありますね。
トシをとったからでしょうか?
やはり深夜は内省のときですわ。

受験勉強も辛苦と言えば辛苦でありますが、
若かった時期でもあり、或る感慨もあります。
まあ、その受験制度ですが試行錯誤の繰り返しでしょう。
カンペキなものはありません。

それよりもニッポン人!
ニッポン人の「画一性」をナントカすべきでしょう。
戦後七〇余年を経て、年々、強まっているやに思考します。
「みーんな同じ」を求める息苦しいメンタリティ。
ここに至り先行き不安が高まり、ますます内向き、画一的に。

さらに「学校そのもの」をナントカすべきでしょう。
「みーんな同じ」を求めるメンタリティの元凶です。
「ドタマがカターイ!」ニンゲンをつくる、ガッコウ。
不登校が相当数いるようですが、学級崩壊という言葉も。
もう、ぜーんぶ「通信教育」でイイのでは有馬温泉!(笑)

人は、集団の中にいるとバカになる、と言いますから。
和気あいあいと沈んでゆく、とは言い得て妙ですね。(笑)

この辺で。
ごきげんよう。

2017/09/25 02:48 | by まろたん

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