震災後の不動産は、基本「下がる」!

昨日、ネットで中継された参議院の公聴会を見ました。
京都大学の小出さん、元東芝の後藤さん、ソフトバンクの孫さん・・・
それぞれ、傾聴に値するご意見。
それに比べて、質問する参議院議員のアホぶりが際立っておりました。
ああいうお馬鹿に投票なさった方は、猛省してください。
そういう投票行動が、この国を滅亡に向かわせるのです。

それにしても、原子力の「専門家」というのはたくさんいますね。
神戸大学の石橋さんがおっしゃっていましたが、
原子力行政には「反対意見」を封殺する空気があったそうです。
まず、政府が推進して予算をばらまき、
大方の専門家を取り込んでしまっているので、
言ってみれば「推進派」が金も人事も握っていたわけです。
「だから、反対意見があってもせいぜい黙っているのしかなかった」
のが良識派だそうです。

フフーン・・・と思いました。
確かに、そういうシステムはよろしくないでしょう。
でも、高々その程度で「黙って」しまうのが「良識派」ですかい?
その「良識派」君たちがどこの学校を出て、
どこの大学で先生やっているのかしりませんが、
彼らを養成するためには国民の税金がいくらかは使われているのでしょ。
良識派と名乗るのなら、自ら国民のためにならん、
ということに正直であって欲しかったものですな。
原発事故が起こってから、コソコソでてきて
「実は俺は反対だった」などとほざいても、ちっとも説得力がありませんぜ。
「原発反対派」の専門家諸氏には、大方を敵に回してでも
「俺はこう思う」というサムライがおそろしく少なかったようですね。

その点、小出さんは立派です。
かれの論旨も明解でした。
説得力は抜群。
でも、「原発やめてどうするの?」という議論はゼロ。
化石燃料はあと800年もつとおっしゃいましたが、
日本にはもうほとんどありませんぜ。

さて、原子力のことは、私にとって専門外なのでこれくらいに。
私がもっぱらモノ申している住宅やマンションの世界にも、
それこそ多くの「専門家」がいらっしゃいます。
大学の先生もいれば「ジャーナリスト」の肩書で活躍する方もいます。
市場調査会社に籍を置く人もいますね。

それで、この震災。
世の中の多くの人々は、この震災が住宅市場に
どんな影響を与えるかを知りたがっています。
そりゃあ、そうでしょう。

高いローンを組んで買った家が、値下がりするかもしれない。
これからマンションを買いたいけれど、こんご値段は上がるのか?
今は賃貸だけれど、丈夫な分譲に買い替えた方がいいのか?
湾岸エリアで検討していたけれど、これからどうなるのか?
今持っているマンションは売った方がいいのか、持っていていいのか?

そんな不安をいだかれます。
そして、いろいろな方に尋ねていることでしょう。

先日、とある全国紙の記者が私のところにやってきました。
取材ではなく、純粋に「相談」です。
そして、真剣な顔をして「今後、どうなるのでしょう?」と
お尋ねになりました。

おっと・・・笑っちゃいけません。
全国紙の記者なら、私のようなチンピラジャーナリストより、
もっとたくさんの、質の高い情報を持っているはずです。
彼も、自社の経済部の知人に聞いたそうです。
答えは「分かりません」。

明日のことがある程度正確に分かれば、人間をやっている必要はありません。
立派に「神様」になれます。
まあ、神様がしんどければ大金持ちになることもできます。

ただ、私は一般の方に比べて毎日毎日住宅のことばかりを考え、
(ウソつけ、不動産屋の悪口とデタラメな政治経済談義を書いているだけだろ、という声も聞こえますがw)
市場の様々な現象を斜め横から冷ややかに眺めています。
すると、そこからおのずと見えてくることもあります。

このブログを本格的に始めてからまだ3年ですが、
その間市場を眺めていて、予想がズレたことはほとんどありません。
というか、不動産・住宅業界というのはひどく単眼的な発想で動くので、
非常に全体の動きが読みやすいのです。
それに、新聞を読めばわかる程度の日本経済全体の動きと政治動向、
ついでに世界的な動きを加味すれば、おおよその流れが見えます。
つまり、私がなんら優れているのではなく、
普通にモノを見る目を持っていれば、誰にでも読めてしまうほど
実に単純な基本構造になっているのが住宅産業とその周辺なのです。

でもね・・・いるのですよ。
この業界にも大きな組織に取り込まれている専門家が。
原子力の先生たちは、原子力保安委員会や電力会社に取り込まれて
本来の「良識ある」発言が封じ込まれてました。
同様に、この業界でも大手不動産会社と仲良しになっちゃって、
彼らに都合の良い見解ばかりののたまう専門家がいることも確か。
あるいは、肩書はジャーナリストなのに、
いつもペイドパブリシティにしか登場しないような専門家もいらっしゃいます。

まあ、仕方がないと言えば、仕方ありません。
人間、何かで食っていかねばなりません。
私は、かつて広告代理店を通してマンションデベから
広告作りの仕事を請け負う立場でした。
でも、いろいろ納得できないことも多かったので、方向転換。
今は、エンドユーザーさんに対して「良識」ある意見を発信することで
わずかばかりの収入を得る道を選択しました。
エンドさんの側に立てば、不動産会社とは利益相反になることもママあります。
それはそれで、致し方なし。
むしろ、他の専門家が発言しないようなことも、
エンド側も知っておくべきと判断すれば、積極的に語ってきました。
中には「このマンションは買っちゃダメ」。
「あのタワーマンションは必ず値下がりする」という
わりあい過激な発言やアドバイスも行います。

今回の震災後の市場動向については、
わりあいにハッキリと発言してきました。
詳しくは、別の機会にゆっくりと書きますが、大方は
「下がる」
です。
上がる要素はほんのわずか。3つあげれば
建築資材と職工さんの需給逼迫。
東北3県の賃貸需要急増。
あとは、わずかな復興需要。
いずれも、通常の経済活動の誤差の範囲かと思います。

とすれば、あとは下がるだけです。
人々の漠然とした不安感。
先行きへの不透明感。
そうでなくても経済不況。
少子高齢化。
住宅の供給過多。
老朽マンションの急増。
個人所得の減少。
雇用不安。
住宅賃料相場の下落。

これらはすべて、住宅価格の下落要因です。
こういったことは、普通に世の中を眺めていれば読み取れます。
専門家といえども「見たくないものは見ない」という人もいますが。
そうでなければ、ハッキリ言うか言わないか、だけの差。

ひとつだけ、要注意。
今年の後半、都心エリアに出てくる中規模マンションの価格は
去年よりも高くなっている可能性があります。
その理由は、単純に「土地を高く買ってしまったから」。
そして、一時的に建築資材の需給がひっ迫したから。
こういった物件には、決して手を出さない方がいいでしょう。
市場の流れから外れたKYマンションです。
もし迷ったら、ご相談ください。


2011/5/24 15:12 Comments (1)

1件のコメント

木の横に居る神様。だから榊様と言う。

不動産価格下がりますよう神に祈りを
(ー人ー)ナムナム…

2011/05/24 17:17 | by あ

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