日本には原発が必要な理由がある。

日本人にとってはほぼ「他人事」みたいに思えるイランの騒動。
実はちっとも他人事ではなくて、
恐ろしい影響があるのではないかと危惧しています。

イランが主張しているように、ホルムズ海峡が閉鎖されると
ほぼ100%の確率で戦争になります。
戦争自体はアメリカが主体となって行われるので、
日本はせいぜい事後処理のために掃海艇を派遣する程度でしょう。

しかし、間違いなく原油価格は高騰します。
場合によっては1バレル200ドルを突破することさえ想定できます。
原油価格が上がると、当然LNGや石炭も高くなります。
日本経済にとっては「コスト高」になること間違いなし。
特に、今のように原発が稼動できていない現状では
ますますおかしなことになりそうですね。
安全な原発まで停止しているこのヒステリックな状態を
早く正常化させてもらいたいと願うばかり。
この不況下で、なおさら経済を停滞させる大きな原因です。

さて、いつもの通り「そもそも論」をいたしましょう。
そもそも、イランはなぜああまでかたくなになっているのでしょう?
その大元はやはり宗教的な問題にあると私は見ています。
イラン革命が起こったのは1979年。もう33年も前のことです。
それ以来、イランは「イスラム原理主義の国」といっていいでしょう。
何事もアッラーの神の教えを忠実に守る、というのがイスラム原理主義。
当然、現代の文明とは相容れません。
現代文明の象徴であり、かつ異教徒の国であるアメリカは敵。
そして、イスラム教徒を迫害するイスラエルは獅子身中の虫。
そのあたり、時代遅れの金王朝を擁する北朝鮮とよく似ています。
だからかどうか、あの両国はとっても仲良しですね。

しかし、イランが北朝鮮と決定的に違うのは
石油を産する「資源国」であるということ。
北朝鮮にはわずかな鉱物資源があるだけで、
あとは1500万人ほどの飢えた人々が住む厄介な国。
アメリカとしては、できることなら「かかわりたくない」存在。
しかしイランには石油資源があるので、できれば「勢力下」に置きたい国。
当然ながら、なんやかんやとイチャモンをつけています。
そのあたり、傍から見ていると如実に違うのでおかしいばかり。

もうひとつ、イラン問題が北朝鮮のそれと決定的に違うのは
そこに「イスラエル」という予測不可能なプレイヤーが関わってくること。
先日も、イランの核技術者を「暗殺」していました。

いつかも書いたとおり、イスラエルという国は
自分の国が抹殺されるのではないかという恐怖感を、
その存続のエネルギーにしています。
実際、まわりのイスラム教国は、可能であれば
イスラエルという国を滅ぼしてしまいたいと願っているでしょう。
また、50年100年というスパンで考えれば、
イスラエルは滅ぼされる運命にあります。
そもそも、あんなに周辺国に嫌われていれば、
100年も国を存続させるのは無理です。

しかし、イスラエルのユダヤ人たちはあの地に国を持つ
正当な権利があると思い込んでいます。
そのあたり、世界が滅びるときに自分たちが選ばれて救われる、
という珍妙な教理を信じきっている
ユダヤ教徒ならではのKYさがよく表れていますね。
しかし、そのせいで彼らは国際社会のルールを無視したり、
ダーティな手段を用いても構わないと確信しているから、ちょっと厄介。
まあ、日本には余り関係ありませんが。

そのイスラエルは、周辺の敵対国が核武装をすることを容認しません。
イランの核開発はかなり進んでいるようですが、
「実用化」される段階になればイスラエルは必ず破壊しに行くでしょう。
なぜなら、イランの核兵器の対象は間違いなくイスラエルですから。
場合によっては、イランの核兵器を破壊するために
自分たちの核兵器だって使いかねませんね、あの国は。

翻って、わがニッポン・・・呑気なものです。
北朝鮮はすでに核兵器を保有しているとみなされています。
実のところ、私はあまりそれを信じていませんが、
ここでは北の核が「あるもの」という前提で論を進めます。

そもそも北はなぜ核を持っているのでしょう?
一番の理由は、核保有国となることで大国の仲間入りをしたいのでしょう。
核を持っているとアメリカや日本がビビッていうことを聞くのではないか、
お隣の宗主国である支那にもなめられないのではないか、
などという幼稚な発想が核保有へとあの国を走らせたのでしょう。

さて、北がいかなる理由であれ
「核をもっている」というのは恐ろしいことです。
何といっても、あの国には失うべきものが何もありません。
人民を満足に食べさせることさえできない、最貧国のひとつ。
自国民が何人死のうがまったく気にしない人々が統治しています。
彼らは、ただ核を持っているだけで満足するでしょうか?

あの狂った国が、日本に対して核兵器を使用しない、
というテーゼがあるのなら、その元になっていることはたったひとつ。
それは、日米安全保障条約です。
日本が核攻撃を受けると、アメリカが北にたいして核兵器で報復する・・・
本当にそうするかどうかは分かりません。
ただ、北はそう考えていることは間違いありません。

さて、日本は平和でボケた国です。
そもそも、多くの日本人は日本が戦争に巻き込まれたり、
核攻撃を受けるなどということをコレっぽっちも考えていません。
でも、世界でもっともオカルトな国が隣にあり、そこは核武装しています。
しかも、その国はイランがイスラエルを憎むのと同レベルかそれ以上に
日本という国を憎みきっています。
なのにどうして、この国の人間はノホホーンとしているか、不思議ですね。

日米安全保障条約は、未来永劫継続されるものではありません。
アメリカは日本を守ることに自国の利益があると考えているから
この条約を継続しているだけです。
いずれ、日本は自分自身の手で自らを守らなければならないでしょう。
核兵器も保有すべき時が必ず来ます。
というか、今でも日本は核武装すべきだと私は思っています。
現実的には、核拡散防止条約などの障壁がありますが。

であるにもかかわらず、日本は原発を止めようとしています。
今の世論では、「原発なんてないにこしたことがない」というのが
大きな流れになっているのではないでしょうか。
実は、私も「無いに越したことはない」とは思います。
でも、そういった情緒的な問題ではないのです。
代替できる有力なエネルギー源があるわけでなし。
また、将来の核兵器開発の技術を保持する必要もあります。

地震と津波は、2万人ほどの命を奪いました。
原発事故は何十万人もの人々に避難生活を強いています。
でも、未だに放射線被爆が原因とされる死者はゼロです。
多大の経済損失を生じさせましたが、
それでも原発の発電コストはペイするそうです。

「原発は危ないからなくそう」とか「戦争をしてはならない」
というのは、きわめて情緒的かつ幼稚な議論です。
いってみれば両方とも、「その通り」です。
その趣旨には誰も反論できないでしょう。
でも、「だったらどうすればいいの?」という視点が欠如しています。

CO2を大量に排出する火力発電に戻るのですか?
だまって北からの核攻撃を受けるのですか?
「そんなこと、絶対に起こらないよ」なんて考えている方は、
どこかの電力会社の偉いさんが地震の直後に繰り返した
「何分想定外のことだったもので」という言い訳を思い出しましょう。
30メートルの津波がやってくることに比べれば、
あのオカルト国家がトチ狂って日本に核兵器を運び込むことなど、
十分に「想定の範囲内」ではないですか?

あえて言います。
日本は原子力発電を続けるべきです。
これは、タワーマンション以上に「必要悪」ですから。


2012/1/15 20:46 Comments (0)

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