若き日に受けたノブレス・オブリージュの恩恵

今日も与太話です。
忙しい方はスルーしてください。

私は父が46歳の時の子どもです。
父親と遊んでもらった記憶はほとんどありません。
何度か書いたように、私の実家は京都大学の近くの古本屋。
うちの店はお正月の三が日以外は休まず開けていました。
営業時間はだいたい朝は9時過ぎから、夜は10時前まで。
だから、家族で旅行や外食をした思い出も、一度か二度のみ。
まあそれでも、特に不満はありませんでした。
「そんなもんだ」と思っていたのです。
学校の友達の様に、旅行や外食をするのなら
「一人前になってから」自分の甲斐性でやればいいと思っていました。
ただ、父親が他のお父さんの様に若くないのは嫌でした。
また、古本屋というのもなんだか「かっこ悪いな」と感じていました。

ただ、ウチの父親にもいいところがありました。
それは「何を聞いても教えてくる」というところ。
毎日、彼は自分の店で本ばっかり読んでいるのです。
そうでなくても、父は子供のころからの本好きで
自分で稼ぐようになってからも本ばかり買っていたそうです。
そのほとんどは大阪の大空襲で焼かれてしまいました。
復員した父は僅かに残った本を持って大阪から京都へ移住し、
それを基に古本屋を始めたのです。

私は小さい時から好奇心が旺盛で、
その頃から世の中のいろいろなことについて
「なんで」「どうして」と聞きまくっていました。
今、そんなガキがいればさぞうるさいことでしょう。
しかし、うちの父は365日24時間、ほぼ家にいました。
それに、古本屋の仕事なんて、ほぼ座っているだけ。
小学生くらいの私がそばに行っていろいろなことを訪ねても、
それに答えるだけの時間はたっぷりあったわけです。

結局、私の価値観の多くが父との対話で形成されました。
典型的なのをひとつあげると「サラリーマンはくだらない」。
簡単に言えば「鶏口牛後」みたいなことです。
父は17歳から10年間、昔でいう「勤め人」でした。
28歳の時に陸軍の嘱託(軍属)となってシンガポールに派遣され、
そこで終戦を迎えて、半年間はイギリス軍の捕虜に。
イギリス軍は捕虜にした日本兵に満足な食糧を支給せず、
父は栄養失調で死にかけたそうです。
何でも、日本軍の捕虜になったイギリス兵と同じ目に遭わせる
復讐的な意味合いがあったそうです。
その話を何度も聞かされたので、
私も英国に対しては複雑な感情があります。
まあ、それはどうでもいい話ですが。

話を戻して、サラリーマン。
父親は、自分が自営業であることを誇りにしていました。
いわく「誰に頭下げんでもええ」。
まあ、本を買ってくれた客には「ありがとうございます」
くらいは言っていましたが、言い方が無愛想(笑)。
実際、父が誰かに頭を下げるのをほとんど見たことがありません。

私は学校を出てから通算4年と6カ月間サラリーマンをやりました。
それで、やっと父が言っていたことが実感できました。
「サラリーマンはくだらない」
しかしつくづく思うのは、その根底に実の父親と、
あとで述べるもう一人の精神的な「父」といっていい
ある人物の影響を色濃く受けていること。

ここのところの大不況で、私のまわりには様々な理由で
サラリーマンを辞めなければならなかった人がゴロゴロ。
年齢が50近くになれば、まともな再就職は望めません。
それで、仕方なくフリーランスになっている方が多いのです。
うまく出来ている人もいれば「向いていない」方もいます。

先日、偶然街角で会った旧知のクリエイターさんは53歳。
3年前に勤めていた会社がなくなって、仕方なくフリーランスに。
私の顔を見るなり「どこかいい就職先を紹介してくださいよ」。
そうおっしゃる表情がとてもくたびれていて、ちょっと気の毒。
できることなら何とかして差し上げたいですね。
でも今はちょっと無理。なんとも残念です。

まだ景気が今ほど悪くない頃、私はいろいろな方の
転職をアレンジしていたことがあります。
何か余得を期待してああいう面倒くさいことを
やっていたわけではありません。
私は庶民に生まれ、名誉も財産もありませんが
ご先祖様からはわりあい良質な遺伝子を
受け継がせていただいたと思っています。
だから、遺伝子のノブレス・オブリージュを果たす義務がある、
くらいの気持ちでしょうか。

少し話は変わりますが、私にはもう一人、
多大な父性的影響を与えてくれた方がいます。
高校時代の友人の父親で、お名前はカサイさんとおっしゃいます。
年齢は私の28歳上ですから、ちょうど私にとって「普通の父親」世代。

17歳から24,5歳の頃まで、このカサイさんが私のことを
まるで我が子の様に可愛がってくださいました。
それはもう、常識ではちょっと考えられないレベルです。
普通の大学生ではまず入れないような高級割烹のお店に、
「おい、メシ食いにいこか」と、連れて行ってくれるのです。
そこで、様々なことを教えてくださいました。
インテリではあっても、社会性にはやや欠ける自分の父親からは
絶対に学べない「世の中のいろいろなこと」です。

私は大人としての流儀を、ほぼカサイさんから学びました。
この方、容貌や物腰、ライフスタイルが妙に「貴族」っぽいのです。
現に、カサイさんの奥様は若くしてアメリカに留学された時に
まわりから「プリンセス」と呼ばれたほど、
「やんごとなき」ご家系の出身と側聞しました。
この奥様なんか、私から見るとまるで貴族そのもの。
時々、歌を詠まれたりします。
当時の自民党の大物政治家について
「・・ちゃんはね、小さい頃・・だったの」とか・・・
また、ふとなにげに皇室の内輪話をされたりするので、
ギョっとしたことを覚えています。
まあ、この方もよく私を可愛がってくださいました。

ただの貧乏な古本屋の息子にとって、あれらは得難い経験。
おかげで社会人になった後、大抵のことには物おじせず対処できました。
カサイさんご夫妻は、それこそ世間知らずの私に
ノブレス・オブリージュのようなお気持ちで
様々なことをお教えくださり、経験させてくれたのでしょう。

私が、他人様の就職のお世話をしてみたり、
その他のことでも「役に立つ」ことに喜びを感じるのは
やはりあの頃のカサイさんご夫妻からいただいた様々な恩恵・・・
に多大な影響を受けたから、といっていいでしょう。
つまり何の見返りも求めずに他人の世話をして、
それについて賛辞さえ求めようとしない生き方は
あの頃の私にはとてもエレガントでカッコよく映りました。
「貴族というのはこういうものか」と理解させてくれたのです。

逆に、常に小賢しく経費や接待でタダ飯やタダ酒に
ありつくことを考え、上司を上目づかいで見るサラリーマンは
就職したばかりの私の眼にはやたらと「卑しく」見えました。
もちろん、そうでない生き方をしている
先輩サラリーマン諸氏にも何人か出会いました。
ただ、自分らしくあり続ける人はサラリーマン社会で出世しませんね。
高い地位に上ろうとすれば小狡く立ち回り、
バカな上司にも躊躇せずにゴマゴマスリスリ。
そんなこと、「本物の貴族」を理解したつもりになっている
当時の若い私にとっては、すごく馬鹿げたことに思えました。
まあ、今でもほぼそうですが(笑)。

幸い、私はサラリーマンでない生き方を選択できる程度に、
世間を泳いでいくことが出来ています。
だからこんな私でも、ノブレス・オブリージの真似事ができれば、
あの頃のカサイさんたちに一歩近づけるかな、と思うワケです。

私は、もう20年前に死んでしまった
実の父のようになりたいとは思いません。
ああいう本ばかり読んでいる暮らしも悪くはないのですが、
そっちの道は「図書館小僧」の息子が辿ってくれるでしょう。
私の願うのは、経済的にはもう無理なので
精神的にでもノブレス・オブリージを果たす
「貴族」のような生き方ができないものか、ということです。
まあ、こっちもほぼ無理でしょうが、望みは捨てないでおきます。

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2012/11/9 19:38 Comments (0)

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