そろそろ終わりにしたい持家政策

さて、たまにはマンションのことも書きましょう(笑)。
といっても、政治がらみで。

民主党は3年半ものあいだ、政権を握っていました。
当初「コンクリートから人へ」などという
一応は「政策」みたいなスローガンを掲げていましたが、
途中からそれどころではなくなりました。
地震や支那の侵略に対応するだけで手いっぱい。
なーんにも内政的なことはできなくなったのです。

もちろん、住宅政策についても無為無策。
自民党時代の施策をそのまんま官僚が続けてきたワケです。
で・・・自民党時代の住宅政策はというと、
これがもう旧態依然の「持家推進政策」といっていいもの。
一言で言えば「みなさん、家を買って幸せになりましょうね」。
そのために、いろいろな優遇策を講じてきました。

例えば、住宅ローンの金利が低いのも今は金融機関が勝手にやっていますが
そもそもは住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が始めたもの。
今でも「フラット35」は基本的に支援機構が債権を
証券化することで成り立っています。
つまりは、市民が住宅を購入することを公が支援しているのです。

住宅ローン控除という制度も同じく「持家支援政策」のひとつ。
家を買う時に住宅ローンを使ったら、
その残高の1%を税金から差し引くという、
極めてドラスチックな支援システムです。
実は、ついこの間まで私もその恩恵に浴しておりました。

さらにいうなれば、UR(独立行政法人都市再生機構)という組織は、
今ではさほど目立ちませんが、直接に住宅を開発して分譲してきました。
最近、地方で倒産が目立つ「住宅供給公社」も公の組織。

こういった直接・間接の支援策を通して、日本という国は
公の組織をあげて「持家政策」を支援してきたのです。
なぜでしょう?
もちろん、それは「貸家」に暮らすよりも「持家」の方が
国民の福利が向上している、という価値観が根底にあったのでしょう。
1945年の敗戦直後、日本は国全体で500万戸の住まいが不足している
と言われていたそうです。
まあ、そうでしょうね。
外地から引き揚げてくる人がいる一方、大都市はアメリカ軍が行った
国際法違反の無差別空襲で灰燼に帰しておりました。
住むための家が絶対的に不足していたのです。

しかし、戦後復興と高度成長期に住宅の数は急速に増加。
1980年代には日本の全住宅数が全世帯数を上回るようになったのです。
そして2008年の調査では、全住宅の13%強が「空家」になっています。
この数は、4年後の今ではもっと増えているでしょう。
何といっても、日本は毎年80万戸くらいの新築住宅を作っているのです。

さて、そもそも住宅数が絶対的に不足していた時代に
「持家政策」というものが始まりました。
今、全世帯の60%強が「持家」に住んでいます。
この比率は欧米先進国と比べてなんら遜色ありません。
つまり、今の時代「家を持つべき世帯」は、ほぼ持っている状態。
もちろん、賃貸住宅に暮らしていて「家が欲しい」という方は
いくらでもいらっしゃいます。
多分、このブログの読者の大半が「これから買いたい」方でしょう。
しかし、そういう方も「買えない」から買っていないのではなく
「どれを買うか」迷っているので買ってないだけでしょう。

極言すれば、今の日本国民は総じて「持家政策」を
絶対的に必要とはしていないのです。
むしろ、「持家」だけでなく「賃貸」で暮らす人への支援策も含めた
総合的な「住宅政策」というものが必要かと思います。
その中には当然、老朽化する住宅の処理も含めるべきです。
また、「高齢者の住まい」というのも、今後の大きなテーマ。
今のような単純な「家を買いましょう」的な持家政策は、
その役割をとっくに終えています。

しかし、この総選挙で自民党が大勝し、安倍政権ができると
再び「持家政策」への傾倒が始まる可能性があります。
なぜでしょう?
答は非常に分かりやすいものです。
持家政策を推進することで潤うのは住宅・建設・不動産業界。
そしてそれらは自民党の金城湯池。
さらには、国土交通省の管轄下にあって、有力な天下り先。
これら業界が潤うことで自民党議員への政治献金は増えるし
役人どもの定年後のポストも維持できるのです。

アホ臭い話ですね。
今の日本には6000万戸ほどの住宅があります。
毎年80万戸ずつ増やしていくと、10年で6800万戸になってしまいます。
まあ、建替えや取り壊しもあるので6600万戸くらいですか。
それでも、今よりも10%増えます。
今の空家率が13%ですから、10年後は20%超になりそうですね。
どうしますか?

そんなこと、住宅業界の人は何にも考えていません。
ただただ「今期の目標達成」のために作っては売っているのです。
特に、マンションデベロッパーは自転車操業的に
土地を買っては物件を建てて販売しているだけ。
連中が考えられる未来はせいぜい3年先。
10年先のことなんか、よその星くらいにしか想像できないでしょう。

そいでもって、自民党が政権に復帰・・・・
そうなれば、やたらとでかいマンションが出てきそうです。
政治権力は、土地の用途を変更できるからです。
容積率をドンと上げることで、それまで辺鄙過ぎてマンション立地として
ふさわしくなかったところでも、たちまちにして
大規模プロジェクト用地に早変わりさせられます。
でも、そんな無理やり大規模マンション用地なった場所に建てられた
住まいを35年ローンで購入した人は幸せになれるでしょうか。

安倍さん・・・多分、住宅政策なんて何にも考えていませんね。
もしかしたら、仲の良いアパの経営者に何か吹き込まれて、
デベロッパーに有利な施策を次々と行うかもしれません。

どちらにしろ、今の日本に新築住宅はさして必要ありません。
中古住宅をいかに活かすか、というストック重視の住宅政策に
転換すべきだと私は考えています。
ましてや、持家政策は完全な時代遅れ。
政治家さんたちは、早くその事実に気が付いてほしいものです。
そして、選挙の公約や争点に出して欲しいですね。


2012/11/30 16:48 Comments (0)

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