「パークタワー新川崎」で何が起きているのか?

南青山高樹町の欠陥事件がやっと落ち着いたと思ったら、
今度は「パークタワー新川崎」という670戸のタワーマンション。
4階あたりで一部コンクリートの打設もれがあって、
現在7階まで立ちあがっているけど「3センチ下がっている」なんて
具体的な数字を示したネット上の噂が広がっています。
ただし、これは公式発表があったわけではないので、未確認。
売主は三井不動産レジデンシャル。

もし、本当に噂されているような不具合が生じているとすれば、
これはけっこう大変なことになりそうな気がします。
コンクリートを打ちなおして済む問題なら大したことはないのですが・・・
もしかして、5階以上は工事のやり直し?

このマンションの竣工は「平成27年3月中旬」と表示されています。
常識的に考えると、47階建てのタワーマンションを、
あと12か月で40階分建ててしまう、ということ自体に
私としてはすごーく不自然なものを感じます。

マンションの工期というものは、業界内の常識として「階数+3」の月数。
ただ、最近では職人さん不足でやや長引いて「階数+6」だとか。
まあ、これは通常の板状型マンションの場合で、
タワーはもっと短くしないと事業採算にあわなくなります。
この計算方法だったら、「パークタワー新川崎」の建築には
丸5年以上もかかってしまうことになりますから。

それにしても12カ月であと40階分を完成させようというのは、
ちと急ぎ過ぎているように思えます。
もっとも今回の不具合事故がもし本当なら、
そのスケジュールも完全にぶっ飛ぶでしょうが。

さらにこの「パークタワー新川崎」には不思議なことがあります。
オフィシャルページの概要を眺めていて気が付きました。
竣工予定が「3月中旬」なのに、入居時期は
「(4階~30階)平成27年3月下旬、(31階~47階)平成27年5月下旬」。

なんと30階までの住戸は3月下旬に入居してもらおうというのです。
これって、普通に考えればどう考えても無理筋です。
だって中旬から下旬までの間は、最大で10日しかないでしょ。
そんな短い期間に何百戸の契約者内覧と補修と最終確認と引越しを
全部終わらせようなんて、物理的に無理ですよ。

だいたい、マンションというのは竣工してからまず竣工検査があります。
そのあと、こわーい施主検査が待っています。
それであっちこっち補修する工事を経て、理論的には
「これで引渡しできる」という状態で購入契約者に内覧させるのです。
もちろん、そこでもアレコレと指摘事項が出てくるので、
さらなる補修工事が必要になるのが常識。
それが全部10日でなんか終わるわけがないじゃない!

「3月中旬竣工、3月下旬入居」などという乱暴なスケジュールは、
3流ステイタスの中小デベロッパーなら時々やっています。
それを天下の三井不動産レジデンシャルが、イケシャーシャーと
オフィシャルページの概要に表示していること自体、ちょっとヘン。

と思っていたら、30階以下は今年の12月から契約者内覧を始めるのだ、
知らせてくれる方がありました。感謝。
しかし、まだ工事中の建物に契約者を入れて内覧ですか。
いかにも強引という気がしますね。何を焦っているのでしょう?

勝手に邪推します。
きっと来期の売上が足りないので、30階までの住戸を
無理やり期内に計上しようとしたのでしょう。
もしそうなら、まったく企業側の勝手な都合ですね。
こういうことを、一流デベはやるべきではないと思います。
また、なんとか期内に間に合わせようと現場にはっぱをかけた結果、
今回の不具合が起こっているとすれば・・・・・

この「パークタワー新川崎」は私のレポートでも取り上げています。
「まあ、なんとか買っていい範囲」に入っています。
武蔵小杉があれだけ高騰してしまったので、
川崎の内陸よりエリアでタワーを選ぶのなら、まあコレでしょうね。
それだけに、噂が事実に近ければ誠に残念。
来年3月の新生活を夢見て契約された方にとっては悪夢。
もっとも、私はこの「パークタワー新川崎」よりも
「リヴァリエ」の方がもっと「買っていい」に近いと思います。
コストパフォーマンスが全然違います。
また資産価値低下リスクもかなり低めですから。

この事件、もっと詳しい内容が分かれば、また追いかけます。

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2014/3/19 16:23 Comments (6)

6 Comments

井上さん

ごまかしようのない欠陥だったみたいですよ。
大成のチョンボはあまり聞きませんが、
清水は市川のIリンクの事件や、
新浦安の液状化マンションの施工者。
私は油断していません。
ま、これも余計な話ですね。

ごきげんよう 榊淳司

2016/06/03 16:19 | by Sakaki Atsushi

榊さん、回答、どうも有難うございます。
12時前に電話にて昨日の販売員にそのこと聞きました。
欠陥が分かった時は7階まで建ち上がっていたので、
その後、3階より上部を建てなおしたそうです。
欠陥を見つけた施工者の清水建設が工事やり直しを申し出たそうです。
清水さんも三井さんも、なかなか良心的。
二俣川も三井さんが関連してますが、施工業者は私がいた大成建設(私は土木でしたが)。
大成も良心的なんです。はい余計な話でした・・。

2016/06/03 14:18 | by 井上@打浦橋@上海

井上さん、こんにちは。

パークタワー新川崎の事件については、ブログでお読みいただいた通りです。
2年くらい販売活動を停止していました。
半年くらい前に再開したようですが、
価格は「ちょいのせ」程度にしか上げていません。
だから現時点ではお買い得なマンションです。

7階まで作っていたのを一旦事故のあった4階まで
戻して作り直したのではないかと推測しています。
しかし、キチンとやり直していれば問題ありません。
ですので、悪くないと思いますよ。

ではまた ごきげんよう 榊淳司

2016/06/03 12:19 | by Sakaki Atsushi

昨日、最近知ったパークタワー新川崎を見学。
駅直結感はここ2カ月で知ったグレーシア二俣川の方が上ですが、
パ・新川崎はロケーションが最高。新川崎駅と鹿嶋田駅の中間地点にあり、
どちらへも、歩いて3・4分。駅までは屋根がありますので傘なしで行ける。
周りを見渡すと、今後、これだけのタワマンは出来そうにない。
つまり、2駅へ歩いて10分以内というマンション建設敷地が確保できそうにない。
二俣川より都心へのアクセスは断然上。
鹿嶋田商店街も昭和感がありそうで、面白そう。
二俣川には地元感が強いことと、駅直結感が上なので、それに後ろ髪は惹かれますが、
気持ちは新川崎に幾分傾いてきました。
しかし・・先ほど、「パークタワー新川崎」で検索書けましたら榊さんのブログが・・・
こんなことあったんですか・・。
ブログには平成27年3月下旬入居となってますが、昨日の販売営業の方の話では、
平成29年2月以降になるとか・・
2年遅れたということは、やはり、欠陥に対して大規模手直しをしたということなんでしょうか?
いや、これに関して、後程、電話で問い合わせしてみますが・・

2016/06/03 05:40 | by 井上@打浦橋@上海

まろたん様

こんにちは。お久しぶりのコメントをありがとうございます。
今回も趣のある内容ですね。
私も異端者の1人にしてくださって、大変光栄です。
近藤さんの著書は恥ずかしながら1冊も読んでいません。
さっそくアマゾンで何か注文してみます。
ありがとうございました。

榊拝

2014/03/24 17:01 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

パラダイム・シフトと、戦後レジューム。
昨今、気になる言葉です。

パラダイム・シフトの中核は、
「非連続」の革命的な転換にあると言われます。
今までの価値観の延長上の転換ではなく、
「非連続」、断絶している点こそが、キモだと。

そのようなパラダイム・シフトが起きている分野は、
幾つかありますが、顕著な分野は医療でしょう。
その筆頭として挙げるべきは、ご存知と思いますが、
慶應大学医学部講師の近藤誠さんです。

「異教徒は打たれないが、異端者は叩かれる」
と言われます。
二〇年超の長きにわたり、医療界を相手に孤軍奮闘、
まさに異端者として、見事な闘いぶりです。

私は、彼がデビュー以来、二〇年来の読者で、
上梓された著書のすべてを読みました。
そして多くのことを学び、啓蒙されました。
彼の言わんとする論の根底思想こそ、まさに、
パラダイム・シフトのすすめです。

彼の著書で、己の「無知」を思い知らされました。
高度に拡大・膨張した現代社会にあって、
「無知」なる者は、奴隷に等しい存在です。

ネット全盛の時代ですが、そんな時代だからこそ、
書籍の大切さを再考したいものですね。
出版不況と言われて久しいですが、今こそ、
知の伝道者として、出版人の奮闘を求めたいものです。

そして榊さまには、不動産分野の「異端者」として、
タブーにこそ挑戦し、筆を執っていただきたいものです。
この国は、暗闇が多い、まだまだ「暗黒時代」です。
21世紀のルネッサンス。
再生のためには、これしかありませんわ。

他の分野でも異端者が続出し、風穴を開けています。
ほんの一例ですが、証券分野でも、
松井証券社長の、松井道夫さん。
異才・異端、捨て身で、大きくレヴォルブしました。

奇しくも、ご両人は団塊オトコです。
ごきげんよう。

2014/03/24 06:43 | by まろたん

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