富士山は死んでも中国に売らないよ

ギリシャがデフォルトになるかもしれません。
デフォルトって、分りやすく言えば「借金を返しません」と開き直ること。
すると、ギリシャにお金を貸している銀行にとって
とってもやばいことになるわけです。
影響は「リーマンショックの二乗」なんて言っている人もいます。

人間、のど元過ぎれば熱さを忘れます。
いろいろ思い出しましょうね、過去に苦い経験を。
僕もジジイになったので昔のことをジメジメ語れます。
まずは、あの平成大バブルとその後の惨劇を思い出しましょう。

あの時、不動産の値段がガンガン上がっていたので
銀行が不動産担保融資をユルユルにしました。今とよく似ています。
例えば、10億で取引された土地に12億の融資をつけたのです。
まあ、常識では考えられません。

それでどうなったかというと、その土地は今1億5千万円くらいです。
リーマンショック前は実勢で8千万円くらいでしたね。
すると12億円融資したけれど11億2千万円は不良債権です。
そういった不良債権をいっぱい抱えて我慢できなくなった
銀行が次々に破綻しました。大半、消えて今はありません。
都市銀行では北海道拓殖銀行。その他、日本長期信用銀行。
日本債権銀行というのもありました。
りそな銀行も破たん寸前で国有化されました。
そのうち、山一證券も破たんしましたね。
日本は「失われた20年」という冬の時代を過ごしたのです。

次に、2008年のリーマンショックを思い出しましょう。
リーマンブラザーズという、アメリカの大和証券みたいな会社が倒産。
「アメリカの証券会社が倒産したぐらいで・・・」
なんて言っている人もいましたが、たちまち世界大不況。

個人的な話で恐縮ですが、私が四半世紀顧問をお願いしていた
税理士の先生は「こんな不況は初めてです」といっていました。
もう、未曽有の大不況。でも、死人が出ないのは日本が豊かだから。
昔の不況と違って、人が死ぬほどではないのです。
まあ、その話は置いておいて。

リーマンブラザーズの倒産は、サブプライムローンの破綻から来ています。
サブプライムローンというのは、日本の平成バブルの構図と同じ。
本来の信用以上に過剰に貸し付けた結果、お約束通り焦げ付いたのです。
その債権をリーマン君がうまーく世界中の金融機関に売りつけていました。
中身はよう知りませんが、聞けば聞くほど詐欺みたいな金融商品です。
でもまあ、そんなことは過ぎたことです。

今度のギリシャはどうでしょうか? あの国がデフォルトになると・・・
一番の問題は、ギリシャ国債を持っていて破綻する銀行が出そうなこと。
普通に考えれば、ギリシャ国内の銀行の何割かは破綻します。
ヨーロッパのいくつかの大きな銀行の経営も怪しくなります。

そもそも、ユーロの加盟国が発行する国債がデフォルトになる、
ということは想定されていない事態です。
4年前の流行語では「想定外」。だから何が起こるかわかりません。
当然、日本にもその影響が及びます。
実のところ、直接には大きくないのですが連鎖的にあります。

直接には対ヨーロッパへの輸出が滞ります。
自動車や電機、機械部品、船舶などはダメージを受けます。
しかし、もっと大きい影響を受けるのは中国です。
中国はアメリカとの政治的な衝突を想定しているので
ヨーロッパへの外交と経済の攻勢を深めていました。
じつは、ヨーロッパと中国の経済的つながりはかなりのもの。
ドイツやイギリスは中国政府との関係をものすごく重視しています。
それこそ、日本などは「用済み」扱いですね。

だから、ヨーロッパ経済がダメになると中国にも多大に影響します。
その中国の対欧州輸出は日本製の基幹部品が欠かせません。
すると、日本の産業のすそ野である機械分野に影響します。
そうやって日本も再び大不況に見舞われる・・・というのが最悪シナリオ。

まあ、悲観論ばかり書いても仕方ありません。
ちょっとだけ楽観的な話をしましょう。
実のところ、ギリシャが財政破たんでデフォルトするのは
「借金が返せなくなったから」というのが最大の理由。単純な話。
国家の税収の何倍も借金をしてしまったのです。
それにくらべて日本はどうでしょうか。
日本の財政悪化度は数字にするとギリシャの軽く数倍です。
借金総額は、税収の軽く20倍はあります。
つまり、客観的に見れば日本政府は絶対に借金を返せません。
未来のいつかまでに日本国債を最終的に全部買い戻すなんて、ありえないことです。
韓国が黙って竹島を返してくれる1万分の1の可能性もありません。

では、なぜ世界の人々は日本の財政破たんを真剣に憂わないのか。
あるいは日本のデフォルトの可能性を議論して、日本国債を売らないのか。
その理由は、たった一つしかありません。
それは、日本政府が発行した国債は全部「円建て」だからです。
そこがギリシャ政府の借金との根本的な違い。

日本の政府は、いざとなったら円を刷って自国の借金を返済できます。
現に日本銀行の黒田君はそれをやり始めています。
だから、円は信用を無くして円安になっているのです。
本格的にやり始めれば、もっと円安になってハイパーインフレです。

ギリシャもそれをやればいいようなものでしょ?
でも、ギリシャ政府にはユーロを刷る権限がありません。
ユーロを刷れるのはECB(欧州中央銀行)だけです。
ECBはドイツを中心とした国に支配されています。
だから、ギリシャは「ユーロ建て」で発行した国債を買い戻せないのです。

ギリシャがデフォルトを宣言してユーロを脱退するとどうなるか?
元のドラクマに戻ったらきっと欧州最貧国に転落です。
冗談かどうか知りませんが、
「パルテンノン宮殿を13兆円ほどで中国に買ってもらったら」
なんて話も出ているとか。

よかったですね、日本は。
困ってもインフレの混乱を乗り越えればいいだけ。
間違っても「富士山を100兆円で中国に買ってもらおう」
なーんて話にはならないと思いますから。

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2015/2/18 0:02 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんばんは。

2通目の封書も受け取りました。
いやあ、まことに興味深い内容。
まず、後妻業を書いた方は、かつて親しかった方の妹の旦那。
逢ったことはありませんが、よく話を聞いていました。
それだけに、すごいですね。中身も、この人も。

ジジイはみんな寂しがり屋ですからね。
ババアはだいたい強欲。
私も気を付けます(笑)。

確かに、若者への賃貸補助は必要です。
「若者よ、街に出ろ。金を稼げ」の世界。
家賃はこれからどんどん安くなりますから
家を出るにはフォローなのですが・・・

今日は朝から雑誌の取材電話にTVディレクターの訪問。
有料相談に連載原稿の送稿、夜は新聞からの電話取材。
疲れました。他人と交わるのは楽しいけれど体力気力を使います。

ではまた。おやすみなさい。ごきげんよう。 榊淳司

2015/02/20 00:09 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

お送りしました「後妻業」の記事、読まれたでしょうか。
後妻業。もしかして、ご存知でしたか。
これからは、小金持ちのジサマが増えますから、
市場としては「有望」かと。(笑)

これも「貧困ビジネス」のひとつでしょう。
仮に結婚紹介所とツルまれた日には、イッパツでアウト。
やられホーダイですね。
あな、オソロシヤ!です。(笑)

今日は良いお日和になりました。
これから、近くの内科クリニックに行ってきます。
慢性の便秘症なので、緩下剤を処方してもらってます。
薬局の売薬でも良いのですが、同年輩の医者が気易い人で、
ま、半分、散歩がてらの、ひまつぶしですね。

ごきげんよう。

2015/02/19 16:09 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

昨日、郵便が届きました。
ありがとうございます。
忙しくて、まだ読めていません。ごめんなさい。
今日読めると思います。

ご存知の通り、今のギリシャはソクラテスの時代とは違います。
どちらかというと、ラテン気質の国民性。
悪く言えば「いい加減」(笑)。
ギリシャ正教とカソリックが同根であるので、まあ仕方ないですね。

ユーロはプロテスタント的なストイックさでルールが作られ、
そこにカソリックの国々が多数加盟しています。
うまくいくはずがありません。
そのうち、トルコのようなムスリム国家まで加盟しそうです。

日本は武士道国家で韓国と中国は儒教国家。
これがことごとくに対立するのと似ています。
日本の武士道にも儒教が多少まっじっているから
彼らの言わんとすることも多少理解できるのが厄介。
カソリックVSプロテスタントと多少同じ。

曾野綾子さん、横綱的発言ですね。
あれを批判するのは左翼的軽薄人士でしょ。

それではまた。ごきげんよう。 榊淳司

2015/02/18 10:33 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

曾野綾子さんが、産経新聞での発言についての非難に対して、
次の様にコメントされたようです。

>私は、アパルトヘイトを称揚したことなどありませんが、
「チャイナ・タウン」や「リトル・東京」の存在は、いいものでしょう」

「横綱」ですね。かる~く、いなす。格が違う。
そもそも、曾野綾子さんにツブテを投げるなんぞ、
「恩をアダで返す」ような、人として最低の恥ずべき行ないでしょう。

さて。
ギリシャ問題。ギリシャだけでは収まらないような。
スペイン・ポルトガル、そしてイタリアも、ですか。
まさに「ドミノ」になりそうな。

シナが怖ろしいですね。
EUの波及に限らず、シナがシェイクし始めると、米国も揺れ、
わがニッポン国も揺れ出すでしょうから、オソロシイ。
アベノミクスもへったくれも、なくなるのでは有馬温泉。

それにしても、ギリシャのタミ草にも困ったものです。
ソクラテスは、いったい何をしているのか。(笑)
昨今、わがニッポン国にも「ギリシャ的」なタミ草が、
増殖中みたいで、伝染しますからね。
ヒトゴトとも思えませんわ。

18歳から選挙権。来年から実施、ほぼ決まり。
240万人増えるそうで。
そのうちの5-6割が投票するとして、120-140万人。

大した人数ではありませんが「意識変革」効果はありかと。
18歳も、応分の責任を負うことになりますから。
バカは、やっぱ、変わりませんけどね。(笑)

不動産の下落ですけど。
日本の場合、金融機関は、
不動産をタンポに貸付けているケースが多いのでは。
で、不動産が大きく下落するとタンポ不足なんてことにも。
地価の下落は、金融にも波及しそうですよね。

ときどき、吠えてみたくなります。
「責任者を、出せい!」(笑)

ごきげんよう。

2015/02/18 08:21 | by まろたん

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