このバブルの終わりの始まりは、今?

最近、日常業務の何割かが「メディア対応」になってきました。
夕刊フジへの連載原稿を書く日が、必ず週に1日はあるのですが、
最近では毎日のようにどこかのメディアの来訪取材を受けたり、
あるいは電話取材に対応しています。
また、フィールド調査が大好きなので、
時々テレビ局と一緒に取材にも出かけます。
依頼があれば、雑誌等の原稿も書きます。講演もします。

なのですが、今週はさらにメディア対応が多くなりました。
先週号の週刊現代が「不動産大暴落」で第一特集を組み、
今週号の週刊東洋経済が「バブルが来る」とブチかましました。
これでは、他のメディアもザワめき始めますね。
特に「バブル」とか「暴落」というワードは、
関係者以外の胸にもグサッと刺さってきますから。
そのうちきっとテレビでも取り上げるはずです。
私が呼ばれるかどうかは別にして(笑)。

何度も書いていますが、今の都心不動産市場はバブルです。
私は、「バブルである」という基準を投資利回りで考えています。
4%を切ると危険水域で、3%未満になるとバブル。
今の都心の新築マンションは「実質」で3%を切っているはず。
マンションデベが示す嘘八百の「予定賃料表」で計算する
表面利回りでも、せいぜい5%程度ではないですか?

例えば、話題のブリリアタワー目黒で坪単価600万円の住戸を、
坪2万円で貸せたとして、年に24万円。表面4%ですよ。
そこから管理費や広告費、フリーレントに坦ボー、税金を
引いたらいったい何%になるのでしょうね?
だいたい、坪2万円で貸せるのでしょうか?

「富久クロス」が分譲している時に相談を受けたことがあります。
「現在3戸を押さえました。来週6戸、再来週にもう6戸・・・」
全部買いたい、という超リッチなお方からでした。
「この物件は、引渡し時には多分値上がりしています。ですから、お買いになるのはいいでしょう。でも、なるべく早くに売却してください。周りのタワー中古は、坪単価200万円台の中後半が相場観です。したがって、ブームが去ったあとには値下がりすることは確実ですから」
以上が、その時にお答えした内容です。

さて、今のブリリアタワーはさらにリスクが高まっています。
このマンションの引渡しは平成30年の初頭です。
今から約2年半先。その時までバブルが続いているでしょうか?
私の答えは、かなり悲観的です。
少なくとも、平成29年の4月に消費税が10%になれば
その9か月後あたりは完全なリセッションに入っているはず。
不動産取引も一気に冷え込んでいる可能性が高いと思います。

逆に、安倍君がうまく財務省を交わして消費増税を
うやむやの延期に持ち込んでいれば、これはバブル継続。
ブリリアタワー目黒の坪単価は1000万円をめざしているでしょう。
まあ、そんなことは十中八九ないと思いますが。

現状、メジャーな経済誌が「バブル」を特集したということは、
今がひとつのピークである可能性が出てきています。
バブルというのは、人間の心に支えられている「気分的」なもの。
「明日は今日よりも高くなる」という気分が蔓延しているからバブル。
冷静な投資尺度で計れば買えないものを買っているのも「気分」。

人びとがその「気分」を「変だ」と思いはじめることは
「バブルの終わりの始まり」なのです。
そして、それは現状のマーケットについて、メジャーな経済誌が
「バブル」と呼ぶことで世に広く「バブル」だと認識されます。
それは、私のような三流言論人がしつこく叫ぶよりも
何十万倍もの効果があるのです。

ザワザワと世の中が動き出したのかもしれません。
ただ、まだ何とも確定的なことは言えませんね。
銀行の資産勘定には、今も大量の現金が唸っていて
「いくらでも貸します」と不動産屋に擦り寄っているのが現実。
バブルを継続させるあらゆる条件は整っているのです。

しかし、これから起こるであろう「東芝事件」の帰趨や、
シャープさがかけらも見られないシャープ経営陣の愚鈍な
資本補強の様子を見ていると、ザラザラとした嫌なものを感じます。
明るい材料は、調子よく値を戻してきた株価くらい。
まあ、これも多分に政府系の臭いを感じさせます。
純粋に投資資金が流入しているようには見えませんね。

最後に少しだけマンション市場のお話し。
先日、不動産経済研究所が、この4月の首都圏での
新築マンション供給戸数が前年よりも約7%減ったと発表。
まあ、こういうのは業界内では「誤差の範囲」なのですが、
実際にマンション市場をウォッチしていると、
それをありありと感じますね。
また、エリアによって供給数にかなりの濃淡があります。

例えば、私が「バブルエリア」に認定している世田谷区では
新しい物件の供給がけっこうたくさんありました。
ところが、バブル化がさほど進んでいないお隣の杉並区。
この3カ月でまともな物件の新規供給がゼロ。
完全な「実需エリア」である川崎市川崎区もゼロ。
また、バブルエリアでも賃貸空室率35%の千代田区もゼロ。
いったいどうなってしまったのでしょう?

ひとつ言えることは、マンションデベにとっては非常に
「ビジネスがやりにくい」状況になっているのです。
特に郊外で実需向けに新築マンションを開発分譲すること自体が、
もはや不可能に近くなっている気がします。

というのは、土地は買えても建築コストを加えた売価では
「売れないだろう」というプロジェクトばかりになっているから。
個人の所得が実質的に減少しているのに、
マンションだけが値上がりしても売れるはずがありません。
だから、今の新築マンション供給は「バブル頼み」の都心供給中心。

すると、今度バブルが弾けた後にはまた供給が激減しそう。
一部上場企業でも、倒産の危機に瀕するところが出るはずです。
これは「いつか来たあの道」なのです。業界は凝りません。
ますます嫌な感じになりますね。

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2015/5/20 0:30 Comments (6)

6 Comments

井上様

コメントをありがとうございます。
上海は完全バブルですね。
でも、あの国はバブルを潰せば政権も崩れますから
なかなか正常化しませんね。
世界的な金融緩和は、世界中でバブルを生んでいます。
それぞれの事情を考えれば、みな条件が違うはず。
でも、投資する人は詳しく見ていません。
だから、引き上げる時も精査せず「空気」だけ読むのでしょうね。
また、いろいろ教えてください。 榊淳司

2015/05/21 18:07 | by Sakaki Atsushi

まろたんさん、こんにちは。

ちょっと汗ばみますが、過ごしやすい季節ですね。
私はといえば、毎日のようにメディア対応で忙しくしています。
ちょっと疲れ気味でしょうか。

字が上手か下手かは、どちらかという手先の器用さで決まります。
不器用な人は、どれだけ練習してもあまり上達しません。
私は、一定の速さで読んでいて不快にならない程度の
字が書ければよいと考えるタイプです。
ただし、字にはその人の性格が宿っていますね(笑)。

これからの時代、ペン字はどんどん廃れますね。
私も最近、普段使わない漢字が書けなくなりました。
ちょっと困っています(笑)。

いろいろお知らせいただき、ありがとうございます。
忙しくて、なかなかすべてに目が通せません。
そのうちまとめて、なんて思っていますが・・・

季節柄、ご自愛ください。
今日も美味しいお神酒でありますように。 ごきげんよう  榊淳司

2015/05/21 18:04 | by Sakaki Atsushi

春日の局様
セミナーへのご参加をありがとうございました。
次回は9月の予定です。
あと、招待されて6月にも講演をおこないます。
明日にでもブログで紹介しますので、
よろしければご参加ください。    榊淳司

2015/05/21 17:58 | by Sakaki Atsushi

先日のセミナーに参加させていただきました。
売主や管理会社に不利なことはネットで検索しても
でてきませんので大変勉強になりました。

参加者皆さんが講師のお話に真剣に耳を傾ける
様子が印象に残っております。
次回(9月?)のセミナーも濃い内容で
お願い致します。

2015/05/21 13:07 | by 春日の局

榊さま。

なんとも蒸し暑い気候で、からだが重い感じですわ。

数日前、書道の師範の方と話す機会がありました。
七〇才の男性で、日本書道美術館と言う財団法人の役員で、
小学生から八〇才位までの生徒に教えられておられる。

因みに、この財団法人の名誉職に皇后陛下が就かれていて、
毎年2回ほどお出でになるそうです。
ご高齢にも拘わらず、誠に感心し頭が下がりますわ。

本題です。
折角の機会でしたので、その師範に訊ねました。
「小学生・中学生は、筆ではなく、ペン字はどんなもんですか?」と。
回答は「丸文字か、カナクギ文字のどちらか。ほとんどの子が」でした。

ウーン、やっぱりと言うか、何というか、言葉が続かなかったですわ。
「丸文字」はともかく「カナクギ文字」は、考えされられます。
はっきり言いますと「カナクギ文字」は、イビツではないかと。
精神に何か問題があるのでは。例えば「抑圧」とか「萎縮」とか。
もちろん、私の偏見を含んだ私見ですが。

私が、初めて「カナクギ文字」を見たのは、あの「宮崎勤」の日記です。
新聞紙上に写真が掲載されていて「絶句」し「見入って」しまいました。
こんな文字を書くヤツがいるのかと。
まるで「定規をあてて」書いたような文字で、これは「何なんだ」と。

次に見たのが、あの「サカキバラ少年」です。
まったくと言えるほど同じ「カナクギ文字」で書かれていました。
見た瞬間「宮崎勤」を思い出したほどです。
何か分かりませんが「病んでいる」精神を、
「カナクギ文字」は表象しているのではと思ったものです。
くどいようですが「個人的な偏見」ですよ。

で、初めの師範の言葉、小・中学生のほとんどが、
「丸文字」か「カナクギ文字」を書いていると。
私の感想・意見は長くなりますので、割愛します。
ただ「何か引っ掛かる」ものを感じましたわ。
少年・少女は、大丈夫かいなと。

榊さまは、最近の子ども達の文字を、見たことがありますか?

ごきげんよう。

2015/05/20 14:57 | by まろたん

日本のマンションに興味を持ちだしたのは、ここ2・3年。全くのど素人。ここ15年は北京と上海に住んでたので、興味がなかったということ。でも、実感してることは東京は上海や北京より安いということ。私が買った豊洲のSKYZは人民元では300万元行かない。300万元じゃ、上海では何も買えない。驚いてしまうのは、1990年代初頭に建てられたエレベーターなしの6階建てのアパート。いまやボロ・アパートですよ。そんなところの1LDK・60㎡が日本円で4500万円。アンビリーバボー。日本人が見たら500万円でも買わないでしょうね。でも、東京のほうが質が良くて安い、東京を買った方が利口だと思ってるのは、まだほんの一部。そういう連中が東京のマンションを買い漁り始めてる。今後、ドンドン東京買いは増えるでしょう。東京はロンドン、ニューヨークの3分の1だとか。香港、シンガポールの半分。上海や北京より安い。外国人の東京買い、ますます増えるものと見ています。バブルは始まったばかり・・バブルはこれからだと、素人の私は思うのであります。

2015/05/20 10:29 | by 井上@打浦橋@上海

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