マンション市場は局地バブルから3分化へ

先週は内外の新聞3社から取材を受けましたが、今週はゼロ。
その代わりかどうか知りませんが、面談による有料相談が4件。
まあ、週に4件は多い方ですよ。
イレギュラーな電話もかかってきましたね。

申し上げておきますが、電話での相談は承っていません。
いきなりだとこちらも準備ができていませんし、
資料も見ないでお答えできるものでもありません。
メールなら初回は無料。面談は10800円です。

しかし、こんな時期にでも買いたい方は買いたいのですね。
私のように長年市場を眺めてきた人間からすると
今はどう考えても買い時ではなく売り時です。
しかし渦中にいる人間はそうとは思えないのでしょう。
熱くなっていますから、見えるものも見えません。

実は、新築マンション価格はまだまだ上がりつづけます。
なぜなら、デベロッパーが今仕込んでいる土地の価格が上がっていますから。
必然、それは高く出さざるを得ません。値上がりですね。
このままいけば、都心は来年も上がりつづけます。
港区は坪単価800万円や900万円もザラに出てきそうです。

仮にそれで売れたとしても、それが健全な価格だとは思えません。
バブルで膨れた分はいつか弾けるのです。
それでも、業界はバブルに踊り続けるしかないでしょう。
行くところまで行かないと、終わりは来ないようですから。

私は従前、このバブルを「地域限定」あるいは「局地バブル」と
呼んでまいりました。今、その枠はジワリと拡大しそうです。
でも、ものすごーく危険なにおいを感じます。
港区や新宿区、千代田区でマンションを買う人は、
その半数以上が「自分で住むため」の目的ではありません。

しかし、江東区の深川エリアや杉並区、大田区などは、
だいたいが「自分で住むため」の購入だと考えられます。
別のいい方をすると、都心は仮需、近郊・郊外は実需。
実需を支えているのはエンドユーザーです。ほぼサラリーマン。

実のところ、アベノミクスが始まってからも個人所得は減少中。
公共料金や消費税が上がったので、可処分所得は実質減。
それでも、新築ンションの価格は少し上がりました。
私が見る限り、郊外の100%実需物件の販売は芳しくありません。
むしろ、「低迷」といっていい水準ではないでしょうか。

近郊エリアでも、竣工までに完売しないケースの方が多いでしょう。
中には、公然と値引きをしている物件もあるくらいです。
それでも、デベロッパーたちは供給を止めませんね。
彼らも社員を食わせるためにやらざるを得ないところはあります。

私が見ていると、最近のマンション市場は2極化ではなく3分化しています。
まず、局地バブルが過熱する山手線周縁&城南、武蔵小杉エリア。
京都の御所・下鴨エリアもバブル。仙台市も地価高騰だそうです。
ただし、仙台市に限っては実需に支えられているのでバブルかどうか疑問。
これからバブルの影響を強く受けそうなのが中央線近郊、
横浜都心、江東区深川、台東区など。大阪なら環状線内。
そして、その他のエリアは平常の範囲内。やや上がったかなという感じ。

一方、海外に目を向ければ東アジアの主要都市はソウル以外バブル。
シンガポールや香港もバブル。こちらには大陸マネーが押し寄せています。
ロンドンも一部でバブル化しているようですね。
要は、世界中でお金が余っているのです。
しかし、利回りが1%とかになっている香港、台北、上海は異様。
1%だったら、安定利回りの債権を買った方がよほど安心。

アメリカで金融引締め(利上げ)があると囁かれています。
アメリカ人というのは、私たちが考えているよりストイックです。
無尽蔵に借金を増やすことに対して強く抵抗していますね。
その点、日本は「どうにかなるだろう」のラテン型に陥っています。

金融引締めは、バブル退治にもっとも効果的。
でも、中国のように政府がバブル崩壊を嫌がっている国は
それこそ「行くところまで行く」しかありません。
彼らに強力な金融引締め、という選択肢はないのです。

しかし、世界的に様々なマグマは溜まってきている感じですね。
近々、ギリシャのデフォルトは現実化しそうな気配。
逆に、ここでECBが妥協すると他の国が舐めるでしょう。
この際、ギリシャはデフォルトしてユーロを脱するべきです。

よう分からないのが中国です。
着実に経済成長が鈍っているようです。
しかし、それが不景気と呼べる状態なのかどうかが不明。
今や世界第2位の経済大国なのに、正確な統計すらありませんから。
そして、巷では自由経済ですが、上の方は統制経済に近い状態。
資本主義国の景気サイクルの法則が当てはまるかどうか???
また、人民元は今や世界的通貨であるにもかかわらず、
市場の法則で為替レートが動かないのも不透明なところ。
さらに言えば、その中国マネーが今の都心バブルを支えています。

前回の「ミニバブル」あるいは「不動産バブル」の時には、
主要プレイヤーは最初海外ファンド、次に国内ファンド、
さらに国内の不動産屋さんたちでした。
今回は外国人に相続税対策。それぞれ個人単位です。
特に外国人は「一斉に」動くことが習いの中国系が中心。
弾ける時はパチンッと行きそうに思えます。

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2015/6/18 16:13 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

半値ならまだいい方ですよ。
何をお買いになったかは知りませんが。

その名コピー、よく知っています。
時代の流れに身を任せつつ、どこか冷ややか。

世の中を冷静に見ることができる人はごく少数。
だから、私の「眼」がビジネスの種になります。

繰り返しますが21世紀前半は「通貨の時代」です。
誰も言いませんが、管理通貨制度は危機に瀕しています。
これからの経済学は、この通貨と言う化け物を
人間がどう制御するかと言う方策を探る営みが主流になるはず。

現在のドル、ユーロ、円、人民元はすべてがインチキ化しています。
逆に、平等にインチキ化しているから崩れていないのでしょう。
まともなスイスフランが急騰するには、十分理由がありました。
また、円と人民元とユーロは現状インチキから脱する道が見えません。
今後はジワジワのドル独歩高ではなかろうか、
そんな気がしております。FXはやりませんが(笑)。

ごきげんよう。 榊淳司

2015/06/19 13:35 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

大都市のマンションは3極化ですか。
実需層であるサラリーマンは、概ね「可処分所得」が減っています。
にも拘わらず「買う」動機の根っこにあるのは「幻想」でしょうか。
現実は、容易には「見えない・見たくない」もの。

超低空飛行の金利も背中を押しているでしょう。
ニンゲン、その気になり、さらに「前のめり」になると、
そのまま突っ走ってしまいがちのようです。
これは、住宅購入に限りませんね。

よほどの「冷やし玉」がなければ、この「衝動」は止められません。
「衝動」が「確信」に変わることに、ニンゲン、無力です。
特に、若いときは。
だから「バカゾウ」、もとい「若造」と呼ばれる。(笑)

2年ほど前、作家・橋本治さんが新潮45に投稿していました。
彼は、八〇年代のバブルの末期、マンションを購入したそうです。
誰かに勧められたようですが、買ってまもなくバブルがはじけ、
残ったのは、毎月・50万円のローン返済だと。

先日やっとこさ、このローンを完済したと書かれておりました。
このローン返済のために、20年間、小説を書きまくったと。(笑)
ま、半分はジョーダンでしょうが。
でも、20年間、年・600万の返済はキツかったでしょう。
なにしろ、肝心のマンションは「半値以下」ですからね。

> 止めてくれるな、おっかさん。背中の銀杏が泣いている。
> オトコ東大、何処へ行く。

全共闘の大暴れしていた時代。
当時、東大生であった橋本治さんの「名コピー」です。
有名ですから、榊さまもご存知かと。

「円安」が気掛かりですわ。
あまりの円安は、インフレになるのでは、と。
何事も、極端とか激変とかは、こまわりくん、ですわ。(笑)

ごきげんよう。

2015/06/19 09:44 | by まろたん

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