実のところ日本は今、不況です

世の中不思議ですね。
先日、日本の4-6月期のGDPが発表されました。
年率換算でマイナス1.6%という数字。
これだけ見ると、日本は大不況のはず、なのです。
でも、巷ではたいして不況感は広がっていませんね。

まず、失業率が少しずつではありますが、低下しています。
建設現場や外食産業では、人手不足が常態化していているようです。
私の周りを見ると、不動産屋さんたちはまだら模様。
マンションデベは目先の決算は飛び上るほど良好なのですが、
来年以降の事業展開に不安を隠せないご様子。
何といっても、土地がうまく買えていませんから。
また、もう買っちゃった土地で事業を行っても売れるか否か???
何といっても、今よりもさらに高く売らなければいけません。

一方、私の古巣である不動産広告業界の関係者は浮かない顔だらけ。
首都圏の今年の新築マンション供給数は4万戸に届くかどうか。
来年は3万戸台の前半もしくは2万戸台も考えられます。
あの業界に巣食う方々の4割ほどをリストラしなければいけないレベル。
なんだか、ものすごーく暗い未来がやってきそうなのです。

ブローカー系の方々は、今がウハウハみたいですね。
マンションデベですら「流動化事業」に精出しています。
「流動化」というのは、「土地ころがし」のことです。
どこからか買ってきては、同業者に転売するのです。
バブルの時は、これが簡単でいちばん儲かります。
いちいちマンションを建てて売っているより、ずっとお手軽。
その代わりに、潮目が変わったら不良資産を抱えたまま
倒産へまっしぐらに走るジェットコースター化します。
そこから飛び降りるには「死ぬ覚悟」が必要なのですよ。

話をマクロの視点に戻しましょう。
GDPはマイナス成長になっているのに、街は平穏です。
東京に住んで、東京のあちこちを回っていると
特に不況感といったものは感じません。
しかし、経済が成長していないことは確かです。

ただ、これが郊外に出たり地方に行くとひどいものです。
「この国はどうなってしまうのだろう」
暗然とした気分になってしまいます。
でも、東京に戻ってくると、そのうち忘れてしまいます。
まあ、人間とは「見たいものしか見ない」習性をもった生き物です。
でも、不都合であっても、見たくなくても、現実は現実です。

私は最近まで、かなり確信をもって考えていたことがありました。
次にリーマンショックのような不況の到来を告げるゴングが
なるとすれば、それは上海からだろう、と考えていたのです。
私が毎日、恐る恐る見ているのがココ。

stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=000001.SS

面白いですよ。
だいたい午前中は下げ基調なのですが、午後は上げ基調。
なぜかというと、午前の下げがきついと政府がヤバいと思って
午後にはあからさまに市場に介入してくるから。
昨日の動きが典型的にそれでした。

もうかれこれ2か月近くは、こんな動きを続けています。
おそらく、世界経済史上初めての「政府VS市場」の戦いです。
自由経済の国では、まずありえない情景だと思います。
そして、誰もが「政府は市場に勝てない」と考えています。
ただし、それは生まれた時から自由経済の国で暮らしている
我々のアタマが固定観念の奴隷になっている可能性があります。

最近、もしかしたら中国の共産党政権は、自国の株式市場において
「勝てる」のかもしれないと考えはじめました。
その理由は、我々の感覚で考えている「株式市場」と、
今の中国で運営されているそれとは、違うものかもしれないからです。
何といっても共産党が一党独裁の専制政治を行っている国です。
あとからどんなルール変更をしても許される国。
しかも、面倒な手続きなしにそれをやってしまえるのです。

ですから、上海総合は当面3千を割ることはないのではないか、
と最近は考えています。これには幾分か希望的観測が混じります。
そうだとすれば、中国経済が目に見えて崩壊することはなく、
リーマンショック級の「不況ゴング」が鳴らされることはない・・・
そうあってほしいものです。

しかし、いくら「何でもできる」共産党政府にしたところで、
強権を発動して崩壊を止められるのは「株式市場」まで。
国の経済全体を不況から脱しせしめるには無理がありそうです。
これまで、共産党政府は不況感が強まると大量のお金を
市場に供給することで無理やり好況状態を作り出していました。
そのお金は言うまでもなく人民元ですが、通貨供給の根拠は
なんと自国内の外貨準備高となっています。

つまり人民元は「金本位制」ならぬ「ドル本位制」なのです。
しかも、人民元はほぼ固定相場制ですから為替レートは
共産党政権の「思いのまま」といっていい状態。
まさにやりたい放題。なんでもできるはず、なのです。

しかし、共産党の中国といえども世界経済にはしっかりと
組み込まれており、そこでは市場原理が働いています。
ただ、中国共産党は世界一勇敢で無鉄砲な組織です。
世界経済を思いのままに操るべく、様々な施策を繰り出しています。
まず、人民元をドルやユーロと並ぶ国際通貨にしようと画策。
貿易を「人民元決済」にしようとたくらんでいます。

次に、世界のお金を集めて中国企業に吸収させようとするのが
AIIB(アジアインフラ投資銀行)です。
どうやら手前勝手な目論見を何か国かに見透かされて、
連中が望んだほどの好スタートは切れませんでした。
そのうち「孔子平和賞」みたいに消えてくれるといいのですが。

そうやって果敢に世界規模の市場経済に挑戦しているのですが、
そちらの勝ち目はいかにも薄いと思います。
つまり、上海の株式市場くらいなら腕力で操れるけれど、
「不況」という経済の病気には罹らざるを得ないでしょう。

ただし、それは上海総合の暴落、といった分かりやすい形ではなく、
何かジワジワとした不況感の蔓延みたいなものになりそうです。
というか、すでに今の中国経済は不況期に突入した、
といえるのではないでしょうか? その兆候はありありしています。

ある意味で「中進国の罠」に陥っている状態だと思います。
しかし、これまでの例には見られないほどの経済大国なので
この理論をそのまま適用することに専門家たちは躊躇しています。
でも、症状の一つ一つは「中進国の罠」そのものです。

非常に困るのは日本です。
この数年間で、日本にとっての中国は、生産拠点から
製品の輸出先へと変わっています。
分かりやすく言うと、使用人がお客さんに変わったようなもの。
日本にやってきて爆買いしている彼らこそ、この変化の象徴です。

日本企業の動きも分かりやすくなっています。
生産拠点は可能な限り手仕舞いして他国に分散するか
日本に戻る動きが顕著になっていますね。
いつ暴動の対象になるのか分かったものではありませんから。
でも、製品の販売拠点はどんどん増えているようです。
さらに、生産設備や機械をたくさん買ってくれる国です。
その国が不況になると、それは日本の経済へも悪影響を及ぼします。

おりしも、日本経済だって表面は平穏ですが、中身は脆弱。
儲かっている企業は儲かっていますが、ほんの一部です。
黒田君の金融緩和が効いているので大きな倒産こそありませんが、
青色吐息の企業は私のまわりにもたくさんあります。

不況というのは、多分に人々の心の持ちようみたいなもの。
数字上、今は完全な不況ですが、人々はそれを感じていません。
多分、普段通りに物を買ったり、外食したりしています。
ところが、みんなが「今は不況だ」と思い始めると、
財布のひもを締めて貯金を殖やそうとします。
あるいは、借金の返済を優先します。すると、物が売れません。
ちょっとしたキッカケで、世の中の空気はガラリと変わります。
いつも言うように「王様は裸」なのです。
多くの人は、それを見たくないから見ないだけなのです。

さて、資産価値レポートの更新情報です。
杉並区でも、めぼしい新物件は出てきませんね。
おや、これは・・・なんて思ったら幹線道路の角だったり。
しかし、既存物件もビビッドに販売は進んでいません。
そしてバブルの影はかなり色濃くなってきました。
市場をよくご覧になってください。

杉並区総集編
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2015/8/20 0:05 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

いやあ、養老さんの原稿が面白かったです。
お医者さんらしいものの見方に感心しました。
ありがとうございました。

今年の前半は世の中静かだったのに、
ここにきて騒がしいですね。
お隣の嫉妬ブタ半島もキナ臭くなってきました。
しかし、ニッポンはまだ平和。中身は不況で人手不足。
なんか、危うい均衡の上に立っているみたい。

それでも、国家はなんとなく回っています。
考えてみれば、世界でこんなにおとなしくかつお人好しで勤勉な
民族が作っている国家も珍しいはずで、
政治家が多少ボンクラでも「事なかれ」で続くのでしょう。
特に安全保障面では日米安保条約の貢献が大きいですよ。
ノーベル平和賞を与えるのなら、日本国憲法第9条よりも
日米安全保障条約でしょう。
こんなに地域の安全に貢献した条約は、
他に北大西洋条約機構くらいでしょう。

それではまた。 ごきげんよう。

榊淳司

2015/08/22 17:53 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

ニッポン経済は、どんよりと曇り空ですね。
ハッキリしないと言いましょうか。
チャイナがあんなでは、こんな感じなのでしょうか?
この先も。

総裁選は安倍晋三で決まりのようですね。
安保法案と改正派遣法は、嵐の中ですが決まりでしょうか?
株価が下げていますが、11月に郵便3社が上場予定とか。
10月からはマイナンバーの通知が始まりますが・・・。

来年は参議院選挙。
ですが、波高しの様相。
安倍自民が負けたらダッチロール、五輪どころでは・・・。
とは言え、野党が相変わらず「クルクルパー」ですから。(笑)

これで、よく国家が回っているなあ、と。
なんとかなるもんなんですねえ。

大阪で「胸くそ」がワルくなる事件が。
私が吠えても詮無いことですが。

ごきげんよう。

2015/08/22 00:22 | by まろたん

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