虚しい「承認の要求」

人間には「承認の要求」というのがあります。
アブラハム・マズローという心理学者の説だそうです。
カンタンに言うと誰かに自分の価値観を「認めて欲しい」という欲求。
誰しも、自分は「それなりに価値がある」と思いたいのです。
まあ、そんなものでしょう。

しかし、これって結構やっかいです。
タワーマンションでは、ママたちはグループ内でいさかいを起します。
パパたちはマウンティングを行います。
マウンティングとは、どっちがエライかはっきりさせること。
ちょっと露骨な行為ですね。しかし、それは虚しい営み。
「すごいですね。私なんか全然かなわない」と言われても、
その人が本心からそう思っているとは限りません。

上品な方々のコミュニティでは、マウンティングはありません。
というのは、お互いに序列をしっかり叩き込んでから社交を始めます。
でも、そういった序列を意識させる言動をしないのがマナー。
マウンティングとは猿のように下品な人種のやること。
文明人の行いとしては、真実味がなく虚ろです。

まあ、タワーマンションのパパコミュニティではよくあることだそうです。
ただ、仕方がないとは思います。プチ成功者のコミュニティですから。
ここで階数ヒエラルキーやマウンティングと言う下品な
社交が行われる心理的な側面には「承認の要求」があると思います。

大金を手にしてタワーマンションの最上階を購入した人は、
「自分の方がお金を儲けたエライ人間だ」ということを
下層階の人々に明解なカタチで認めさせたいワケです。
何とも下品ではありますが、それが人間の本能というものです。
我らは所詮はサルの亜種でしかないのですから。
そして、亜種猿の住むタワマンでは表面的なマウンティングが横行。」

それに付随して、ママ達も「アタシの方が高い階に住んでいる」という
「勝利感」をハッキリさせて虚栄心を満足させようとします。
逆に、下層階に住む人は「承認の要求」の逆を味わうことになります。
「自分たちは負け組なんだ」と、気に病み、ウツやノイローゼに。

まあ、人間の社会なんてそんなものです。
「砂の塔」というTBSドラマが、そこをあぶりだしました。
もっとも、階数ヒエラルキーがえげつかったのは最初の2話だけ。
あとは犯罪スリラーものに衣替えしています。

日本という国は、私のような庶民がボーと見ていると
分りにくいのですが、ほぼ完全な階層社会です。
頂点に立つのは天皇陛下と皇族の方々。次が宮家。
その次が旧華族。その周辺が戦前からのお金持ち。
まあ、財閥家系の方々もそこに入るでしょう。
分りやすく言えば麻生さんとか堤さん。

その下が戦後になりあがったお金持ちや門閥。
そのまた下が・・・・と、何層も何層も下ってやっと
「最近、IT系で起業・成功した・・・」というところに来ます。
そこはもう、旧華族あたりから見ると庶民と変わりません。

タワーマンションに好んで住んでいるのは、そういうお方たち。
「砂の塔」で、ボスママが「生まれ育ちですものね」なんて言いますが、
そんなもの、我らは同じ有象無象ではおまへんかいな(笑)。
そこいらがあのドラマ、ものすごく私にはウケました。

私はしょせん庶民です。
お金は儲けていませんが、たとえ何百億円の資産を築こうとも
旧華族の社交界には正式メンバーとしては絶対に迎え入れられません。
仮に学識があれば、敬意を受けることはあるかもしれません。
例えば、ハーバードの博士号を持っているとか、ノーベル賞を取ったとか。
東大で博士を取りました、くらいではただの庶民です。
「まあ、優秀でいらっしゃいますのね」で終わります。
庶民の私が、左様なことを望んでも仕方のないこと。

「生まれ」というのは、努力では絶対的に変えられません。
まあ、庶民に生まれれば割り切って生きるしかないですね。
「我が家は由緒正しき貧乏人」というのが、私の矜持。
下手に見栄を張ろうという気持ちはさらさらないどころか、
「そういうみっともないことは嫌だ」と思っています。

ただ、世の中にはこの「承認の要求」が過度に強い人がいます。
自分が「何者であるか」を、誰かに認めさせようとします。
そのカタチは様々。分りやすいのが会社での出世。
課長か部長か知りませんが、そういうのを異様に欲します。
そんなの、実に表面的。もろいガラス細工みたいなもの。

あるいは、メディアに出たがります。
テレビに出たり、新聞で取り上げられたり、ということを望みます。
実は、私も割合それを望んでいますが、私の場合はビジネス。
目立った方が何かと有利なのが私の商売です。
広告屋の時は黒子に徹しました。自分がでしゃばることはなし。
そういうことはあまり好きなほうではないのです。
今はこれで食わねばならないのでやっていますが。

あと、ネットの場合はよく知りませんがブログとかSNS。
私はネットを足掛かりにしましたが、この世界はわりと苦手。
かといって、既存メディアに頼っているわけではありませんが、
SNSなんかチョーテキトー。フォロワーの数とか気にしません。
これも実質的には虚しいものだと思っています。

しかし、「承認の要求」が強い人は、そこを異様に気にします。
「どれだけ人に承認(フォロー)されているか」の数値化にこだわるのです。
これって、けっこうくだらないことだと思います。
まるで意味がないのではないでしょうか。

アメリカ大統領に当選したトランプ君は、
ほとんどのメディアからの支持を受けませんでした。
テレビ、新聞、雑誌、ネット・・・それでも当選。
あの凄まじい現象をどう解釈すればいいのでしょう？

トランプ君は、アメリカの全メディアに「承認されていなかった」のに、
投票者の半分近くに、行動で明解に「支持された」のです。
人間社会にはびこる「表面的な承認」が、いかに意味の無い物か、
今回の大統領選挙は雄弁に証明してくれました。

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11月19日 (土)榊淳司の不動産売却ご相談会

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わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。

開催日時：11月19日（土）13時～17時
開催場所：セトル　4階会議室
（東京都中央区日本橋横山町４−１１　「馬喰横山」駅より徒歩1分）

11月19日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

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