局地バブルがデフレを助長している

今日は早稲田大学オープンカレッジの3回目の講義でした。
テーマは「マンションの管理」。難しい問題です。
まあ、うまい方法はありませんね。
来週は講演が2本も入っています。
1本は不動産市場の未来がテーマ。もう1本は管理です。
最近、そういうお呼ばれでお喋りすることが多くなりました。
自分でセミナーを開かなくなって久しいですね。

マンション市場は12月に入ると動きが鈍ります。
新築も中古も取引が少なくなるのです。
不動産屋さんたちは長い休暇を取ったりします。
儲かっている人ほど長く休みますね。

さて、2018年の不動産市場はどうなるのでしょう?
株価は一時の勢いはありませんが、下落基調にもあらず。
私は景気を判断するときに見る指標は圧倒的に株価。
その次は、やはりGDPでしょうか。あとは金利。
まあ、ここ何年か金利は指標としてまったく役立たずです。

来年3月期の企業業績は絶好調でしょう。
過去最高益の更新が目白押しかと予測します。
しかし、もっとも肝心な個人所得は、
いっこうに伸びる気配を感じません。

経済学というのがちっとも役に立たないことは、
このブログで再三申し上げて着た通り。
過去のデータに基づいて未来の動きを予測しても、
常に「想定外」の事態が待ち受けているのですから。

現在、日銀は過去のデータに基づいて金融緩和を行っています。
その結果、局地バブルというものが起こりました。
そして、日銀の黒田君が望んだインフレはやってきません。
それどころか、世の中デフレ傾向にあるではないですか。
なぜなのでしょう?

それは、金融緩和は経済成長を助ける、という理屈が
まったく過去のものになりつつあるからです。
お金を増やしても、それが個人所得に反映されないと
モノの消費量は増えないという結果がハッキリしました。

現時点で、もっとも説得力のある経済政策は、
「ヘリコプターマネー」ではないかと思います。
お金をヘリコプターで撒くような経済政策が
不況から経済成長につながる、という理屈。

バーナンキという前のFRB議長がこれを主張。
彼はファーストネームがベンだったので、
俗に「ヘリコプターベン」と呼ばれています。
私は最初「アホかいな」と思いました。
しかし、最近ではすっかりその考えを受け入れています。

人類は貨幣というもっともらしい幻想を作り上げました。
そして、お金は働いて稼ぐもの、というのが不文律。
しかし、現実を見ると働いて稼いでいないお金持ちや
お金自体を勝手に作って使っている組織があります。
前者はだいたいが地主、後者は各国の政府。

つまりは、働かない人がお金を使って何が悪いの?
という発想もあり得るわけです。
現に日本では生活保護を受給している人が大勢。
アメリカでも貧しい人々はみな政府発行の
食品クーポンで暮らしています。

世の中、AIというのが進んでいますね。
そのうち、人間のやることの大半をAIがやってくれるはず。
その時、仕事を失った人は飢えに苦しむのでしょうか?
いいえ、そんなことはないと思います。

だって、人間が暮らすに必要な食糧や様々な工業製品、
それに住宅だってAIが作ってくれるかもしれません。
人間は単なる消費者になって消費するだけ、
という社会の到来だってあり得ます。

そういう時代にはベーシックインカムという名目のお金を
国民一人一人に行き渡らせればいいのです。
それ以上に贅沢で暮らしたい、と思う人間だけ
額に汗して、あるいはアタマを使って働けばいいのです。
いわば、国民全部を基本的に生活保護で養うわけです。
理論的には十分に可能。

サウジアラビアという、最近話題の多い国がありますね。
サウジアラビアの国籍を持っている方は、
ここ何十年も働かなくても贅沢に暮らしています。
世の中が石油を消費している限り、それは続くはず。
いわば、日本もサウジみたいになれるかもしれません。

「日本には石油がないじゃないか」
「日本の人口はサウジの何十倍だぞ」
その通りです。でも優秀なAIは優れた製品を
人間の手を借りずに大量生産して外国に売ります。
AIが国民を豊かにするだけの生産活動を行うのです。
アハハハ、そんな世の中が来るでしょうか?

理論的には可能ですね。
ベーシックインカムというのは荒唐無稽に思えますが、
私は十分にあり得る現実的な政策だと思います。
むかしの経済学では、お金を増やすとインフレが起こる、
ということになっていました。
黒田君は就任前の5倍近くに円を増やしましたが、
対ドルで4割ほど円安になっただけ。
理論的には8割安にならねばならないはずです。

つまり、昔の経済学はとんだ役立たず。
黒田君は早く金融政策を転換すべきです。
ただ、ひとつだけ昔の経済学のテーゼ通りに
お金の価値が下がっている分野があります。
それは局地バブルエリアの不動産市場。
そこだけはインフレが起こりました。
その理由は、供給が限られているから。それだけです。

反対に、世田谷や川江東区、川崎市の一部などの
実需エリアでマンションの価格が高騰したことにより、
消費には冷却効果が発生していると予測できます。
なぜなら、住居費に回る分が多くなったので、
一般消費財が売れなくなっているからです。

黒田君の政策は一部でデフレを助長しているのです。
そのことにさえ、ご本人は気づいていませんね。きっと。
バーナンキさんは「ヘリコプターベン」でした。
黒田君はただの「局地バブラ―」ですね。
間違っても「ヘリコプター・ハル」にはならんでしょう。

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12月2日 (土)榊淳司の不動産売却相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。

開催日時:12月2 日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

12月2日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回の参加者は5組様。
待ち時間が多少発生しましたが、
次回も同じようになるかどうかは分りません。

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2017/11/25 15:25 Comments (5)

5 Comments

まろたんさん、こんにちは。

今日はちょっと寒いですね。
それでも、ランチにビール飲料を2缶開けました。
世間はさほど騒がしくありません。
11月の最終週ですね。

「労働者諸君!」
あのセリフは最高ですね。
だーいすき。

ここのところ、講演用のレジュメばかり作っています。
早稲田の講義にお呼ばれの講演。
使いまわせない悲しさ。
90分喋るのに、レジュメ作成に3時間。
まあ、仕方ありませんね。

お会いできることを楽しみにしております。

ごきげんよう 榊淳司

2017/11/27 13:37 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

世は、インフレかデフレか?
CPIのカウント方法にも依るでしょうし。
ただサラリーマンの可処分所得は減っているような。
労働者諸君の気分・マインドが冷えるでしょうね。

フーテンの寅さんが講釈を垂れる。
「中小企業で働く労働者諸君!
フーケン的(封建的)になってはいかん」と。(笑)
こんなしょーもないギャグで笑えた時代が懐かしいですね。

ま、日々、笑って暮らしてゆきたいものです。
ごきげんよう。

2017/11/26 02:47 | by まろたん

「世の中デフレ傾向にあるではないですか」
いいえ、インフレです。
ガソリンも灯油も上がっています。
宅急便もゆうもパック値上がりです。
当然、すべての輸送費も値上げです。
公共料金も上がっています。
食料品も、価格が同じでも、どんどん中身が減っています。
原材料のほとんどが輸入ですので、当然、円安で値上がりです。
勿論、自動車をはじめとする工業用材料も値が上がっています。
豊作の米でさえ、値上がりです。
家畜の餌である、くず米が人間の食用に回され、2,3年前は30キロが1000円程でしたが、今年は3000円を越えています。
くず米が、外食産業や、介護施設などで使われています。
人間が、豚や鶏の餌を食い、家畜が人間用のコシヒカリ等を食べています。
飼料に廻されているのは、人間用のコシヒカリ等です。
ここでも、税金が補助金として流用されています。
米の値を吊り上げるために、品不足にして、家畜の飼料に廻しています。
TPPを口実に、すでに農協に1兆6千億円からの、補助金が投入されています。
GDPはカウント方法を変えたので伸びているだけです。
日本政府は国民を馬鹿扱いして、マスコミとぐるになって、嘘を垂れ流しにしています。
安倍のお仲間の、大阪の橋下徹らの手口を同じです。

2017/11/25 21:39 | by インフレ

奏子さん、こんにちは。

あいかわらず小気味のいいコメントですね。
私もずる賢いの大好き(笑)。
逆に、正義感を気取っているタイプは大嫌い。
エンドさんのため、とか未来のなんちゃら、
といったフレーズが出てくると
途端にインチキ臭さを感じ取ってしまう性分。
みんな基本的には自分の利益のためにやっているのでしょ。
私だって、このブログこそタダで書いていますが、
これは私の集客ツールですからタダで書くのです。
他で書いたり話したりすることには、しっかりお金をいただきます。
自分はプロでありお金をもらうよ、
という当たり前のことを前面にだして何が悪いのかと思いますね。
キレイごとの裏には必ず下心が隠れているのが世の中。
だったら下心を上手に伝えましょうよ、
というのが私のスタンスです。
まあ、あまり上手ではないかもしれませんが(笑)。

局地バブラ―君、まだ2年くらいやりそうな気配。
早く辞めないと500兆円の後始末がたいへんですぜ。

ではまた ごきげんよう 榊淳司

2017/11/25 17:32 | by Sakaki Atsushi

こんにちは。
最近仕事でAIの今後をテーマにスピーチさせられました奏子です。
よくできたAIは使えない人間より余程こちらの仕事を楽にしてくれますね。

我が家のAI(ルンバ・安売り)は、キッチンに立つと足元に纏わり付くわ
バスマットを巻き込んで風呂場に侵入するわで決して賢くはないですが。
自分が適当に掃除機かけるよりは余程部屋を綺麗にしてくれます。
(これはデータでも実証済みだそうですね)
もはや、アレルギー持ちの自分にとって可愛いペットと化しています。

…実用ロボットの愛玩化はさておき。
働かない人がお金を使っても…のお話には共感します。
というか、汗水垂らして働いて貰えるお金なんてたかが知れてますよね。
個人的に過去一番キツかった仕事は皿洗いのアルバイトでしたが、
当時高校生だった私の時給は800円でした。。
それから20年。現在のスタンスは「口先だけで生きてます(笑)

清貧主義(というか奴隷思考)の方に「ズル賢い」と言われますが。
ズル賢くて何が悪い。法は侵していないし人様に迷惑もかけていない。
これからの世を生きる人は更にズル賢く得できるか大損するか二極化するでしょう。
そんな時に大損したくありませんから。ねー黒田さんっ。

P.S.局地バブラーがツボに入りました(大笑)

2017/11/25 16:42 | by 奏子

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