モデルルームの裏側事情

このゴールデンウィーク、天候に恵まれているのですが
モデルルームをめぐっている方も多いと思います。

まず、受付でアンケートを書かされますね。
あれは、アンケートと言うよりも「客の値踏み調査票」なのです。
カンタンに言えば、
「コイツはマジメに接客するに値する相手かどうか」を、
確認するためのものといっていいでしょう。
いい加減に書くと「プレゼント狙い」とか「ひやかし」
あるいは「他業者のスパイ」とみなされて、マトモに相手されません。
こういうのをまとめて、業界では「参考見学者」と位置づけます。
ですので、こちらもマジメに検討する気があれば
「年収」や「現在の住まい」「自己資金」などは、
リアルな情報を書いておく必要があります。
ただし、奴らの個人情報管理は、会社によってかなりいい加減ですから
それなりの覚悟は必要です。
この「個人情報」管理という面で、
このブログの他で度々取り上げている野村不動産や住友不動産、
それに三井不動産レジなどはかなりマジメです。
その点はまあ、安心していいと思います。
こういう「コンプライアンス」に関して、財閥系などの大手は、
概ねマジメに取り組んでいるといっていいでしょう。
一部の販売会社や新興デベは割合いい加減な気がします。

さて、アンケートを書き終えて数分後、
クリップボードを小脇に抱えた「担当者」が登場します。
にこやかにあいさつをして、名刺を差し出すことでしょう。
彼らは、その数分間でアンケート内容を読み込み、
あなたに対する営業方針を概ね決めたと思われます。
そして、いよいよモデルルームを案内されます。
その途中、様々に雑談を仕掛けてくるでしょう。
今住んでいる住まいのこと、子どものこと、そのモデルルームを訪れたキッカケ・・・
すべては、彼らの営業方針(=どの住戸を売るか)を固めるためです。

モデルルームの見学が終わると、いよいよ商談コーナーへ。
ここで、アンケートや雑談の中から収集した情報を元に決めた、
担当者のおススメのプランを図面で見せられます。
すべてのプランが掲載されている「図面集」をもらえれば、
こちらでいろいろ選べるのですが、
最近はそのまま渡してくれることが少なくなりました。
特に、大規模物件ではそういう傾向が強いですね。

なぜでしょう?

それは、彼らが「最短距離」で契約に結び付けようと考えているからです。
すべては、連中の「勝手な都合」といっていいでしょう。
つまり、分厚い図面集を渡すと、みなさんが「迷う」からです。
例えば、1000戸規模の大規模物件だと、
ボリュームゾーンである「80平米の3LDK」を選ぶとすれば、
何十種類ものプランバリエーションがあります。
そんなのを一つひとつ客に検討されたら、いくら時間があっても足りない・・・
そのうち、選ぶのに疲れて他の物件に逃げてしまう・・・
というのが、彼らの「身勝手な言い分」です。
だから、どうするかというと、
「今販売しているのは、この2タイプしかございません」(本当はもっとある)
「そのうち0階と0階は契約済み(ウソ)ですので、
 お客様がお選びいただけるのは0階のこの住戸か、
 0階のこの住戸ということになります」(本当はもっと安い住戸も残っている)
という風に、どんどん選択肢を狭めて、客をコーナーに追い込むワケです。
みなさんも、みなさんで「そういうことかー・・・じゃあ、ここにする?」
なんていう意思の弱い方が結構多いので、
この追い込み方は結構効果的だったりします。

そして、連中はあなたの予算の上限を、アンケートから予想しています。
だから、買えるギリギリの住戸に「嵌め込もう」とします。
連中の悪しき習癖は、必ず予算ギリギリの高い住戸を買わせようとすることです。
その理由は「年収200万円からのマイホーム戦略」に詳しく書きましたが、
要は連中が「ラクしてたくさん儲ける」ためだと思って、ほぼ間違いありません。

図面集を全部見せないのと同じ理由で、
「価格表」もみなさんに渡さなくなりました。
少なくとも、印刷しなくなりましたね。
つまり、みなさんにとっては「いったいいくらで売っているのか」
実態が分からない状態を無理に作り上げるのです。
特に、最初の売り出し時に、この戦略を採る大規模物件が目立ちます。
最近の目立ったところでは

●シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル

●OWL TOWER

●ブリリア有明スカイタワー

●勝どきビュータワー

追記
有明スカイタワーは価格表をネットで公開中だそうです。
コメントをご覧下さい。

また、こういう大型物件でなくても
価格表をお客に渡さない傾向が一般的になってきました。

これは一体、どういうことなのでしょう?

彼らの意図としては
●価格を広く知られたくない→高いのが露見してしまう
●売れ残り住戸を知られたくない→不人気なのがバレる
●客にアレコレ迷わせない→ラクして契約に持ち込みたい

ということだと思います。
はっきり言って、志(こころざし)が卑しいですね。
堂々と
「この住戸は0000万円で販売しています」
「今00戸が契約済みで、残りはこの00戸、従ってここからお選びください」
「この00戸でしたら、いずれもご案内できます」

という風な営業方針に、なぜできないのでしょう?
コソコソと何種類もの価格表を作って、
客の年収や予算に合わせてチラ見せする姑息な営業・・・
それを恬として恥じないところが、この業界の後進性なのです。


2010/5/4 15:06 Comments (4)

4 Comments

☆訂正 【誤】5階が4900 【正】4990

2010/05/05 14:54 | by まる

☆物件のHPに公表してくれるのは、解りやすいですね。

私が見た物件は100戸ほどのものでしたが、それでも
>コソコソと何種類もの価格表を作って、
という風に感じました。

初め見ていた(例えばAtypeというお部屋だとすると)
最初に見ていた価格が、5階が4900、7階5010だったのに
次に行った時には公開していなかった6階がなぜか5030だったり..。
(↑眺望等条件はどの階もさほど変わりません)
最上階の広い部屋が、近所の人が聞いたときは1億割る位と言っていたというのに、実は7000弱だったり..
こんな話を聞いたり実感したりすると、すごく馬鹿にされている気になりますし、購買意欲がそがれてしまいます。
人によって上乗せしたり、当たり前に売ったり..消費者は馬鹿にコケにされているんだなぁと、今回ばかりは本当にそう思いました。

そういう点では、一斉にHPで公開するという姿勢は(値付けの事は別として)信用出来る方法だと思いました。

2010/05/05 14:52 | by まる

有難うございます。大変参考になりました。
やっぱりそうだったのですね..と思う部分が書かれていて、スッキリしました。
(あれれ?と思う対応は、なんか解ってしまいます。不信感だけが貯金されていくような..)

モデルルームで、参考にならない様な広い部屋を一部見せて、
他の図面で迷うな、10日で決めろと言われても通常無理なんです。
思うのは、すべての図面に玄関やキッチンLDだけでも
立体化したパースのようなものを参考資料として付けてほしい
のです。
プラス最低殆どの人が置くであろう家具の配置も付したパースが欲しい。
そうすれば、イメージしやすく物を置いた広さ感覚がつかめるのに。といつも思います。

設備などは進化を遂げるのに、売り方は客側に対して進化していない気がしています。残念です。

2010/05/04 23:18 | by まる

有明スカイタワーは、第一期の価格表をウエブ上で誰でも見られるように公開していましたよ。
情報開示については最も先進的ではありませんか?
姑息な物件の一つに挙げられていますが、間違いと思われ、ちょっと可哀相ですね。

↓価格表のリンクです。

www.ariake-sky.jp/htmlmail/pdf/ariake-sky-1_kakaku.pdf

2010/05/04 22:45 | by 匿名

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。