注目すべきは、武蔵小杉のマンション市場

これを「珍現象」と呼ぶべきか、通常の「市場化」と考えるか・・・

このところ、首都圏では即日完売に近いカタチで売れている
新築マンションがいくつも出てきました。
もちろん、それらはある程度「売れそうな」価格で販売されたもの。
ただし、底値であった2002年頃と比べれば、まだ割高水準。

その典型例が、武蔵小杉で発売された「ブリリア武蔵小杉」。
この春で完売したようです。
もちろん、最初の数ヶ月間は「予告広告」で
「売れそうな」価格水準を探るマーケティング期間でした。
ただ、周辺相場を大幅に下回る「晴海レジデンス」式ではなく、
それなりの水準を維持しながら、ギリギリの完売をめざしたようです。
まさに「ストライクゾーン上目」を狙った手法。
それが証拠に、リエトコート武蔵小杉よりもやや高めのようです。

マーケティングというのは、なかなか難しいものです。
誰しもが多くの利益を狙って、上限ギリギリの価格を設定しようとします。
3年前の住友不動産のように、
「半年待てばもっと高く売れる」と強気の「売り止め」をしたばかりに
惨憺たる状況に陥る、という失敗劇もありました。

その点、今回の東京建物さんは実に見事な「売り抜け」でした。
マンションマーケットウォッチャーとしては、
素直に拍手を贈りたいと思います。
そして、「タラレバ」の話をすれば、
2年前にリエトコートを売り出したときに、
今の価格水準で出しておけば、同様に「半年で完売」できたかもしれません。
こちらの方は、大失敗とまではいかなくても、
中失敗あたりではないでしょうか。

武蔵小杉は、JR横須賀線の新駅開業という、
かなり強力なフォローの風が吹いているはずです。
なのに、パークシティは残り僅かな「高額住戸」が売りきれず、
リエトコートはブリリアにすっかり油揚げをさらわれた状態。
シティハウスは、そもそものスケールの小ささが幸いしたのと、
新駅開業の恩恵をマトモにうけたようで、ここも店仕舞い。
武蔵小杉のマンション市場は、
ミニバブル後の「第二段階」を迎えようとしています。

それにしても、この街・・・・・
首都圏では数少ない「発展のポテンシャル」を秘めていますね。
まだまだ用地はありそうです。
現に再開発は、まだ途中段階。
今後も多くのタワーマンションが計画されています。
東側は新街区、西側は旧市街、という見事な棲み分けもできそうです。

私の大好きな、街としての生命力は東側に宿り、
人工的な都市計画は西側で開花しています。
例えば、新宿の副都心は、猥雑な歌舞伎町と余りにも離れています。
タクシー移動なら、渋谷へ出るのと大差ありません。
それに比べて、武蔵小杉の新旧街区の接近感は徒歩5分以内。
まさに「指呼の間」といえるほどです。

それでいて、横須賀、南武という縦横のJR線と、
首都圏で最も「格式」が高い私鉄ラインの東横線が交差。
都市としての発展の条件をこれほど兼ね備えた街は
ちょっと他では見当たりませんね。

ただ、田園調布や成城のような「静寂の住宅地」として熟成するのではなく、
吉祥寺や自由ヶ丘の猥雑性と、幕張や豊洲の人工都市観が同居するという
世にも珍しい発展形態を辿るように思えます。
だからといって、「川崎市」であることには違いなく、
そのステイタス性は山手線沿線よりもワンランクは下にあるべきです。

「ブリリア武蔵小杉」は、そのあたりの微妙な感覚を
見事に読みきって市場の支持を得ました。
リエトは欲をかいたおかげで、未だにあえいでいるようです。

榊が注目する武蔵小杉のマンション市場・・・
今後の展開がますます注目されます。

参考レポート
徹底分析 どうなる、武蔵小杉の マンション市場【2010年5月改訂版】

※現状の市場情勢に合わせて改定しました。
 ぜひ、ご参照ください。


2010/5/12 15:06 Comments (0)

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