崩れ始めた「昔の価格」

もう30年以上前でしょうか、
小林旭という人のヒット曲に
「昔の名前で出ています」というのがありました。
今、私が首都圏のマンション市場を眺めていると、この歌を思い出します。
なぜかというと
「昔の価格で出ています」
という物件が、まだまだ残っているからです。
場所は、主に都心ですね。

「昔の価格」というのは、もちろんミニバブル価格。
2004年ころから、不動産価格は本格的に高騰し始めました。
そのピークは2007年ではなかったかと思います。
2008年には、早くも崩壊しました。
近藤産業、ゼファー、ノエル、ナイス、アゼル、モリモト・・・
そういった企業が次々に倒産したのも、この年。

ところが、今都心で販売されているマンションの中には、
このミニバブル期に土地を仕込み、設計を固め、
高値でゼネコンに建築工事を発注した物件が、
まだたくさん残っているのです。
当然、ミニバブル時の市場を基準に価格が設定されています。
いってみれば「昔の価格」のままです。

前から、このブログでは指摘していることですが、
こういった「昔の価格」で出ているマンションを昔の価格のままで買うと、
いきなり「今の価格」とのギャップに遭遇することになります。

代表的な物件名をいくつかブログに上げておきます。
どうぞ、よろしければこの続きはブログ記事をお読みください。

実は、「今の価格」というのは、
これまで、あまりはっきりとは表れていませんでした。
というのは、例えば「シティタワーズ豊洲」みたいなマンションが
意固地になって定価販売を続けている周辺では、
中古マンションの相場も、それなりに「昔の価格」が維持されていたのです。
しかし、所詮はミニバブルという異常事態がもたらした価格。
いずれ、市場の波に飲み込まれるのは自明の理なのです。

例えば、私が「住友・大崎 Vs. 三井・五反田 タワーマンション対決」
というレポートで取り上げた大崎・五反田エリアでは、
最近「ザ・ヒルトップタワー高輪台」というマンションが出てきました。
五反田から一駅離れていますが、地下鉄「高輪台」徒歩1分。
まだ、はっきりしたことは分かりませんが、
レポートで取り上げている2物件

「大崎ウエストシティタワーズ」
「パークタワーグランスカイ」

よりも1-2割安くなっていそうな気配です。

もし、その気配が正しければ、市場化のひとつの波でしょうね。

ミニバブルという現象を冷静に考えてみれば、
それがいかに「特異」なものであり、「一時的」なのかがよく分かるはずです。
前回、マンションの価格が底値であったとされる2002-03年ころに比べ、
その後の日本の経済状況は確実に悪化していますし、
マンション需要のキーとなる個人所得も減少しています。
なのに、販売されているマンション価格だけが
今もミニバブルの「高値維持」というのは、
誰がどう考えてもおかしな現象です。

市場化は、遅かれ早かれやってきます。
「昔の価格」で販売を続けているマンションを契約するのは
何とも合理性にかける購買行動といわざるを得ませんね。


2010/6/15 19:35 Comments (1)

1件のコメント

シティタワー麻布十番も「昔の価格」ですか?

2010/06/16 01:09 | by チープチット

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。