マンション選びに「PER」は必要か & 「大津市」レポートをリリース


とうとう9月になってしまいました。
なのに、この暑さ・・・いったい何なのでしょう?
きっと何分の1かは小沢一郎君のせいだと思います(笑)。

この暑さでやや更新をサボっておりました。すみません。
今日は、久しぶりに「マンション特集」を組んだ「週刊東洋経済」について。

ダイヤモンドやアエラもたまにやってくれますが、
やはり主役は東洋経済でしょうね。
わりあいキチンと取材していて、あまりヘンなことはいっていません。
「この秋が買い時で需要爆発!」なんて煽りも一切なし。
ただ、「都心回帰」や「底入れ」観測はちょっと平凡。
まあ、エンドユーザーさんには読み応えがあるかもしれませんが。
「ライバル沿線 人気対決」の企画は、シングルヒットでしょうか。

「貸しても売っても損しない駅 3大都市圏主要604駅」
データ元はあいかわらず東京カンテイ。
うーん、こういう企画、どっかで見たよな・・いや、いつも見るよなァ。
あとはお決まりの管理が大切ですよ、という話と管理会社のランキング。
これもいつものことで、もう決まりごとみたいですね。

それにしても・・・この「貸しても売っても損しない・・」という企画。
エンドユーザーさんはこれを見ながら「やっぱり・・駅にしようか」
なんて感じで、マンション選びに活用されるのでしょうか?
PERなんて株価を計るみたいにマンションの価値を云々なさっています。
あのねー・・・マンションって基本的に一物一価だから、
そうカンタンに「高い」とか「安い」といえるものではないんですよ。

それに、過去「数年」のデータを基に出している数値のようですが、
これから新築マンションを買おうとする方のほとんどが「数年」後に
中古で売却しようとか、賃貸に出そうなんて考えていないはずです。
まず、10年以上。たいていが20年、30年というスパンでお考えです。
だいたい、ほとんどの人が35年という無謀なローンを組むわけですから。
だから数年先しか読めないような指標は、ほぼ無意味なのです。
では、なぜそんな数値を出して記事にしているのか?
それは、専門家といえども、せいぜい数年先くらいまでしか読めないからです。
例えば、「マンションPER」とやらが最低の京急線「子安」。
家賃16.年分ちょっとでマンションが買えるから「割安」駅だそうですが、
10年後に「賃貸」に出したときにはどうなっているのでしょう?
20年後は、あるいは30年後は?
今と同じ家賃がいただけるのでしょうか?
そんなことはありません。
こういうのは、いたって「一時的」な指標。
「私は30年住むのだ」という方は、
こんな指標を参考にする必要はありません。

東洋経済さんはまだ一度もありませんが、
雑誌社がこういう特集を組む場合、
私のところにも時々「編集協力」の依頼があるので
作り手側の事情もある程度は推測することが出来ます。

彼らはまず、最初に「編集方針」なるものを決めます。
つまりマンションは「今が買い時だ!」と煽るのか、
単純に「上手な選び方」を指南するのか、
はたまた「掘り出し物件」を紹介するのか・・・あるいはそれら全てか。
この場合、重視されるのは現実のマーケットの姿よりも
いかにたくさん「雑誌が売れる」か、ということ。
つまり、読者が飛びつきやすいテーマをぶち上げるワケです。
その方針に従って、「どこ」の「誰」に取材するのか、
編集協力を求めるのかを決めていきます。
まあ、最初にある程度結論が決まっていて、
それに沿ったデータを集め、協力者を求めるワケです。

最近の傾向としては
「マンション市場は落ち着きを取り戻し、値ごろ感が出てきたよ」
「だから、みなさんも本格的に検討してみてはどう?」
というスタンスが多くなりました。
その背景には、この春あたりから「即日完売」するような
「話題の」マンションがいくつか出始めたことがあります。

もっともよく引き合いに出されるのが
野村不動産の「プラウド池袋本町」。
785戸の内、729戸を5回に分けて販売し、すべて「即日完売」
今は「最終期」だそうです。
でもね・・・あの物件、「TOKYO UPPER WEST」というワードで
華々しく広告をぶちかまし出したのは、
去年のまだ早い時期だったと思います。
ということは、1年以上かかって、やっと完売が見えてきたということ。
低迷しているわけではありませんが、
とんとん拍子というほどでもなさそうです。
野村不動産は「今年に入り、首都圏で12物件、関西で5物件が即日完売」
だそうですが、首都圏なら「金町」、関西なら「におの浜」なんていう
「問題物件」も抱えていることは、一言も書かれていません。

それに、かの住友不動産は豊洲の「ザ・シンボル」も「出足はいい」
なんてコメントしていますが、本当でしょうか?
だいたい、デベロッパーが「このマンションは販売が不調」などと
マスコミに向かってコメントするはずがありません。
「不人気物件」なんて、誰も買いたがらないのですから。
だから、基本的にマンションデベのコメントは「大本営発表」なのです。

こういう雑誌のマンション特集というのは、
取材先の協力なしには成立しません。
だから、取材に協力してくれた企業には、ついつい甘い内容になりがち。
この東洋経済の記事では野村不動産と長谷工コミュニティが
「好意的」に紹介されているような印象を受けました。

あと、ご注意いただきたいのは、マンションについては
信頼できる「統計数字」が意外に少ないということです。
特に、新築マンションについては「実勢価格」を表す統計はどこにありません。
表に出ている数字は、デベロッパーが付けた「定価」であり、
実際には値引きされていても、それは統計数字には出ません。
したがって、実勢価格とは1割以上も違う事だってありえます。
そういった表だけの数字で、様々な指標を出して
「割安」とか「割高」といっても、ちょっと虚しいところもあります。

マンションを選ぶ場合に大切なことは、次の2つ。
●自分にとって、家族にとって、住みやすいのか?
●そこに住んで、家族が幸せになれるのか?
マイホーム選びの基準の第一はそこにあって、
「貸しやすい」「売りやすい」などというのは、その次でいいのです。

そんなお話をさせていただく
「幸せな住まいと出会う」セミナー9月12日(日)
お昼3時30分より市ヶ谷で開催します。
まだまだお席に余裕がありますので、
どうぞお申込みになってください。
参加費2500円です。
参加者には私のレポートの中でもかなり過激な
「買ってはいけないタワーマンション東京都心編」(3960円相当
のモノクロプリント版を進呈します。
そのほか、私や大友さん、建築家の大村さんの「無料相談」も
受けていただけるので、かなりのコストパフォーマンスです。

詳しい内容とお申し込みは コチラから。

もうひとつお知らせ。
先ほど野村不動産の関西での「問題物件」でチラっと触れた

「プラウド大津におの浜」についても詳しく書かせていただいた

榊淳司のマンションレポート011
「大津市」買っていいマンション 買ってはいけないマンション

価格2,990

をリリースいたしました。
今回は私の故郷「京都市」のおとなり、滋賀県の「大津市」。
こちらは近畿エリアの「穴場」的な存在。
風光明媚にして、気候温暖。
それでいてマンション価格は京都市の半分から7割程度・・・
だったのですが、ここ数年のミニバブルとその崩壊で
市場はちょっと混乱気味。
そんな中での「買っていい」「買ってはいけない」を
私なりに明解に判断させていただきました。
大津でマンション購入を検討されている方は
ぜひお読みになってください。


2010/9/1 17:56 Comments (2)

2 Comments

商売はすべてプラスから作り上げるというあなたの考えには賛成です。でも、あなたが何を言いたいのかよく分かりません。確かに、榊さんの批判は痛烈で、時に人の心を傷つけます。でも、「汚い言葉」ってなんですか? 私はちっとも不快に感じたことはありません。

2010/09/05 00:34 | by ビジネスマンA

いつもためになるブログをありがとうございます。

こちらのブログを参考にさせて頂き、昨年不動産を買わせて頂きました。

不動産に興味があるので勉強になるのですが、どうしても一つだけ言わせて下さい。

商売の基本は人や会社、物を批判することではありません。本当の商売は全てプラスから作り上げるものです。

もちろん、売り方には他を落として自分を引き立てる方法もあると思います。

最初は勉強になると思って実際本当に参考にさせて頂きましたがずっと変わらず汚い言葉で自分以外を否定するのは見ていていい気持ちがしません。

私としても悪い気分になることを言って申し訳ありません。

今後のご活躍を期待しています。

2010/09/04 17:55 | by 商売 の基本

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