今、そこにあるマンションの「危機」とは?

何だか今年の冬はとても寒いですね。
東京は雪こそ積もっていませんが、
体感的にはかなり寒い日が続いています。
「地球温暖化って、本当?」といいたくなります。

私と言う人間は、誰もが信じて疑わないようなことも一応は考えてみるタイプ。
そもそも「CO2が地球温暖化の原因」というのも、あまり信じていません。
というのは、中学生くらいのときに
「エネルギー不滅(保存)の法則」というのを習った覚えがあるからです。

私たちが日々費消している化石燃料は、
元はといえば太陽の光で育った植物のはず。
それが石油や石炭になって、その中に過去に地球が浴びた
太陽エネルギーが保存されていたものだと私は解釈しております。
その間、何億年も時間は経っていますが・・・

それを現代人が掘り出して燃やしたからと言って、
地球全体のエネルギーの総量は変わらないんじゃないの?
という素朴な疑問をもっているワケです。

それで、そもそものことを言えば、
この地球は核分裂を繰り返す太陽から日々、
巨大なエネルギーを浴びせ続けられているワケでしょ。
もうかれこれ40億年にもわたって・・・・
なのに、なんでこの地球はアッツアツにならないのでしょう?

そのあたり、誰かこのおバカな私に教えてください!

とまあ、文系榊が抱く理科の初歩問題はおいといて・・・
今日は日本の住宅問題の中で、最も深刻なテーマについて考えてみましょう。
それは何かと言うと、
「800万戸の余剰住宅」でもなく
「日本的サブプライム問題」でもなく
「新築住宅を作りすぎる」というのでもなく・・・・

「マンションの老朽化問題」なのです。

この50年ほど、日本の大都市はマンションを作り続けてきました。
今や「築30年」「築40年」という老朽マンションが、
そのへんにゴロゴロしています。

今の日本社会は、新たなマンションを作り出すノウハウは
げっぷが出るほど蓄積しています。
しかし、古いマンションを平和的に「ご臨終」に導いたり、
生まれ変わらせて新たな生命をプレゼントする手法は、
ほとんどなにもない、といっていいでしょう。

とはいえ、ここ数年ポツポツと「建替え事業」なるものが
世の中に現れ始めました。
古いマンションを取り壊して、新しく建替えるのです。
私がレポートで紹介した、
渋谷の「センチュリーフォレスト」なんて、その典型。

「そのノウハウがあるじゃないか!」

と、思われる方もいるでしょうが、実はゼンゼン。
ああいうのは、すごーく恵まれた老朽マンションだけに可能な手法。
具体的に言うと、次の2つの条件をクリアして初めて可能になる手法なのです。

1 容積率に余裕がある
 →建替えると、元の老朽マンションよりもたくさん住戸を作れる
2 都心の人気立地にある
→その住戸を売るお金で建替え費用が賄える

つまりは、都心かそれに準ずる位の「いい場所」にあって、
建替えると元の倍以上に住戸(床面積)が
増やせるマンションのみに可能な方式なのです。
そういった条件に恵まれた老朽マンションは、
全体の2%未満だと私は推測します。

もっとも悲惨なのは、駅からバス便で
容積にもほとんど余裕なしの大規模マンション。
建替えどころか、売るに売れず、貸すに貸せず・・・
それでいて、住民は少しずつ減っていき、
管理費や修繕積立金にも大幅な不足を来たし・・・
住む人も高齢化して管理組合に活力もなく・・・
下手をするとゴーストタウンになりかねません。
すでにそうなりつつあるところもあります。

その昔・・・いや、今もそうですが
どこでもここでも「作ればいいや」「何とか売れるよ」という
実に無責任なノリで郊外にドッカンドッカンと
大規模マンションが作られました。
長谷工コーポレーションという、
日本で№1のマンション建設業者の得意技です。
作って売ってしまえば、あとは購入者の所有物です。
30年後にゴーストタウンになりかけていても、
「それじゃあ当社で何とかします」なんてことには、絶対になりません。

では、そういうゴースト化しつつあるマンションは
どうすればよいのでしょう?

コレだ! というような解決策はありません。
他国の例を見てみると・・・
旧東ドイツでは「減築」ということが行われています。

www.c-moon.co.jp/category/1395219.html

でもね・・・コレはどちらかというと、まだ「街の中」のケース。
郊外の不便な場所にドカンと建っている、
日本の長谷工型大規模マンションに適用できるかどうか???
それに、権利関係の調整がかなりめんどくさそうですね。

あと、ゴースト化が進む老朽マンションの諸問題は
「高齢化問題」とも密接に絡んできます。
デイケアや訪問介護などのサービスが受けられる場所ならよいのですが、
「あまりにも郊外」の場合はそれさえも危ぶまれます。

私として、今申し上げられることは、
出来る限りそういう「遠く」「古い」マンションは、
値が付く間に売却し、駅の近くに引っ越されるべき、ということ。
もう5,6年たつと、郊外のバス便マンションは
値が付かなくなる可能性さえ想定できます。

また、これからマンションを購入されようとする方は、
その手のゴースト化しやすい物件は、できる限り避けること。
マンションと言うのは、基本的に都市型の住まいであり、
バス便立地などには本来「作るべきでない」というのが私の考えです。

あと、ゴースト化の解決には、行政が乗り出すしかないでしょう。
そのために、権利関係を調整するための特別法の整備や、
減築をスムーズに行うための行政側のシステム作りが必要。
今の民主党政権は党内抗争に明け暮れていて、
そういった建設的な政策の採用・実行は絶望的。
かといって、自民党は長谷工的な「開発利権」が大好き。
裏金もらって用途地域を変更したり、
容積率を高めたりするような「実績」を数多く残したといわれています。

老朽マンションの問題は、近未来に確実に社会問題化します。
もうすぐ、テレビなどのマスコミでも取り上げられるはず。
各政党あるいは政治家諸氏は、今から対応策を考えておくべきです。

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2011/2/1 13:23 Comments (1)

1件のコメント

「地球」という枠組みでエネルギー収支を考えるから、そうなるのです。
宇宙、という枠組みで考えたら、均衡がとれてるのではないかと思います。
ただ、ダークマターやダークエネルギーなどの新しい概念がどう影響するかは計りませんが。

物事をどういった枠組みで捉えるか、どういった考えでくくるか、といった問題に通じるかと思います。不動産も?!

いつも楽しく読ませてもらってます〜。

2011/02/02 22:40 | by むんらん

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