マンション価格は急激に下がっているけど・・・

昨日ツイッターでも書いたのですが、私は今、
東京アドレスの大規模マンションを片っ端から調べ上げて
それぞれについてのコメントを書く作業をしています。
来週あたりに「東京の大規模マンション 全解説」なんていう
レポートにしてみなさんにリリースする予定。

そこで鮮烈に得た感想は「マンションの価格が下がっている」ということ。
それはもう、ビビッドに下がっています。
前回のマンション市場の底値は2002年と言われていますが、
今まさにそのレベルをめざして猛烈に下がっています。
多分、あと1年位で大まかには2002年レベルに達するでしょう。

なぜ下がっているかというと、マンションデベが
「売れる価格」まで調整しているからに他なりません。
もちろん、用地の買収額が下がったことも大きいでしょう
しかし、それでも飛ぶように売れているワケではありません。

実際、後から考えれば「底」であった2002年や2003年の時も、
それほど好調に売れたという記憶はありません。
そして、今回・・・この「底」が割れるかもしれません。
というのは、2004年頃からミニバブルが始まって
マンション価格は異様に高騰するのですが、それには理由がありました。
ひとつは、外資系のファンドが日本の不動産を買い漁ったこと。
次に便乗した国内ファンドと不動産屋が狂騒したこと。
さらに、団塊ジュニアの最需要期と重なったこともあります。

今回は、そういった理由は今のところ何もありません。
支那人たちが日本の不動産を買い漁りくるかと予想しましたが、
この放射能騒ぎですっかり逃げてしまいました(笑)。
団塊ジュニアの最後尾は今38歳で、すでに旬を過ぎています。
ということは、マンション市場が「盛り上がる」要因は
今のところ何もないわけです。

先日、某評論家氏が「4局面理論」なる珍妙な説を
唱えていることを紹介しましたが、
次の「マンションブーム」が来る兆しはほとんど感じません。
ちょっとだけあるとすれば、昨年前半までに見られた一部デベの
城南エリアにおける異様な高値仕入れと、震災の影響による山の手人気で、
目黒や世田谷あたりの新規物件がやや値を上げそうなこと。
でも、全体から見ればそれも一部です。

郊外型の大規模マンションは以前よりもかなり安くなったにもかかわらず、
決して好調に販売が進んでいるとは言えません。
前述の通り、「買う人」が激減しているわけですから、それも仕方ないこと。
したがって2002年の底水準で止まらず、さらに安くなる可能性もあるのです。
それでも、私としては「買い時ですよ」というつもりはありません。
というのは「買ってはいけない」根拠がありすぎるからです。

猛烈に値を下げている大規模マンションは郊外に多いのですが、
そのほとんどは長谷工が主導しているプロジェクトです。
長谷工はゼネコン業界の中でもマンション建設における
「価格競争力」が格段に強いと言われています。
日本一の実績と、現在でもナンバー1の受注力をもっているので
資材調達や現場のノウハウが他を凌駕しているのでしょう。
その実力については、私も十分に認めます。

但し、その反面「くだらないマンション」を作りすぎています。
裁判になっている「オーシャンステイツ湘南平塚」なんか、その典型。
今回も、「オイオイ、そこまでやるのかよー」と
言いたくなる大規模マンションがいくつかありました。

まあ、20年前ならそういうマンションを買ったとしても、
他に選択肢もないので「仕方ないか」というしかありませんでした。
でも、今は完全に状況が異なっています。
何度も言うように、今や人口減少の時代に突入しています。
昨日のニュースで、人口の自然減が過去最大に達したと報道されていました。
今後、その幅は徐々に拡大していくでしょう。
例えば、30年後には今より20%も減って1億人を下回ると予想されています。
35年後には9400万人まで減ります。
それは1960年の水準です。
これはもう、東京には「郊外」も「ニュータウン」も必要のない水準。
住みたい人なら、誰でも23区内に住居を確保できるはずです。

お分かりでしょうか。
今、郊外のマンションを35年ローンで買ったとすると、
35年後に残るものは、廃墟同然の老朽建築物になる可能性が濃厚なのです。
このまま人口減が進めば、それはほぼ「必然」になりそうです。

行政も、企業も、そのことについて真正面から向き合わねばなりません。
ニュータウンや郊外における住宅地の開発は直ちに止めるべきでしょう。
廃墟予備軍をせっせと作ることは、犯罪に等しい行為ですから。
そして、ニュータウンは如何にして縮小して
存続させるかということを基本に考えるべきです。
無闇やたらと郊外やニュータウン近辺に大規模マンションを開発して、
35年ローンで中堅所得者に販売することは、
将来の不幸の種を大量にまき散らしているに等しい行為なのです。
UR(都市再生機構)は、その名の通り「再生」を本業として
「開発」は厳に控えるべきでしょう。現実は違うようですが。

何よりも、エンドユーザーのみなさんが、
そういうマンションを買わなければよいと私は思います。
「3年前に比べて000万円も安い」などと喜んではいけません。
10年後は今の半額。20年後はその半分。30年後は値がつきません。
そんなマンションを35年ローンとなけなしの自己資金で買うと
一生そこに閉じ込められることになるのです。

もし、どうしても新築マンションを所有したいのなら、
せめて23区内になさるべきでしょう。
本当のことを言うと、山手線の内側です。

もう3年以上も同じことを言い続けてきました。
でも、現実の世界はちっとも変わらないばかりか、
ますます悪くなってきているようにも思えます。
人口は着実に減っているのに、
「くだらないマンション」は確実に増えています。
日本の政治や経済と同じで、閉塞感は日々深まっていますね。

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2011/8/10 13:22 Comments (2)

2 Comments

これからの人口減少時代の主役は埼玉、千葉、神奈川です。

実際にこれらの大手私鉄沿線地域などを歩いてみるに20〜30年前はいざ知らず、今や老人の姿ばかりが目立ちます。

こうゆう所って東京に通えるとは言っても大抵は一時間半程度は見込まなきゃいけないし、じゃあその地元に何かしらの魅力があるかと言うと何もない。

岐阜・三重・三河とかの名古屋圏とか、京都・兵庫・奈良・和歌山なんかの大阪圏に比べると、首都圏での東京の吸引力は絶大です。

その首都圏で、東京以外の、横浜だの湘南だの幕張だのそんな周辺地域がいくら良さをアピールしようとも、正直何の魅力もない。

但し、肝心の東京都でさえ実際は大して中味のないつまらぬ所と化しつつあります。

2011/08/10 23:21 | by あ

いつも思うのですがマンション価格(坪単価)が下がっている
という統計データはあるのでしょうか?

2011/08/10 13:35 | by tanaka

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