ミニバブルの典型例

4年ほど前、新浦安で約4万4千㎡のまとまった土地の競争入札が行なわれました。
落札したのは、他ならぬ野村不動産。予想入札額の3倍以上の高値落札。
当時の建築費から換算しても、事業計画は坪200万円を軽く超えます。
その二年前に、その近辺で分譲・完売したマンションの坪単価が140万円前後。
高値買いで有名なHさんも「がんばって180万」というところだったのです。
「いくらなんでもそれは高すぎませんかい・・・」
というのが我々業界人の感想でした。
人気の高い新浦安といっても、駅から歩けないバス便。
当時、坪200万ちょいといえば、山手線沿線でも探せたくらいの高価格。
しかも、新浦安の場合は行政の縛りがあって、
100㎡以上の住戸を中心にせざるを得ません。
つまり、安くても5000万円台。平均で7000万を軽く超えます。
「これは間違いなく、このバブルの分水嶺になる」
我々は固唾を呑んで、この物件の行方を見守りました。
そして華々しいデビュー。
メインキャラクターは渡辺謙さんでした。
「えええ?????」
あの、明るく楽しいリゾート的な街に、サムライイメージの渡辺謙さん???
しかも、広告のキャッチコピーは「凛区」。
びっくらこぎましたねー。
「熱海の矢沢永吉」と同じくらいのミスマッチ(笑)。
正直、「似合わねー」と思いました。
これは私の予想ですが、広告屋さんは別のキャラクターも用意していたのでしょうね。
それがどういうわけか、最終的には渡辺謙さんに。
そのまた1年位前、「東京タワーズ」というふざけた名前の物件が勝どきにできる時、
広告屋さんの当初のキャラクター提案では、ニューヨークイメージのビリージョエルだったのが、
蓋を開けてみたら仏教徒のリチャード・ギアになっていたなんて・・・・多分そのパターン。
おまけに、キャッチコピーが「凛区」ときました。
寒むー・・・というか、「凛」はそもそも「凜」の俗字。
ちゃんとした漢字じゃない上に、第一の意味は「こごえる」「寒々しい」。
こりゃ寒い・・・
提案、採用、両サイドの基本的国語力に????
で、集客はどうかと思ったのですが、そこはメガトン級の予算で広告の大量投下。
大規模キャンペーンの甲斐あって、大量集客に成功!
ギトギトに設えた3つのモデルルームを備えた販売センターは、
連日押すな押すなの大盛況。
何千人集めたのか、何万人になったのか詳しくは存じません。
こういう場合、ほとんどが「ものめずらしや」の客ですから。
そんなことよりも
「それで売れたの?」というのが、最大の関心事。
アーバンネットだって、最盛期は黒子も含めて30人以上体制を組んだ模様。
結果・・・・・
竣工したのは去年の12月。で・・・・今日現在HP上で販売戸数20戸。
実際に、何戸残っているのかは諸説あって分かりません(笑)。
完成後半年。近所に野村の次の物件もでてきて・・・今では値引き販売のご様子。
キャッチコピーを裏切ることなく、やや「さむーい」結果。
つまり、このマンションバブルの指標物件と目された「プラウド新浦安」は、
その分水嶺を越えることができなかったのです。
榊淳司


2008/7/29 15:27 Comments (4)

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