ヨーロッパはひとつになれないよ!

今日は、公開講座「マンションって何だろう」シリーズの
「大規模マンションが危ない理由」をテーマにしようと思ったのですが、
過去に書き尽くしている観があるので、やめました。
この内容については、2年ちょい前に書いた
www.sakakiatsushi.com/?p=564
こちらの更新記事をお読みいただければよいかと思います。

さて、今日もいささか脱線いたしましょう。
ギリシャは、どうやらデフォルトのようですね。
「デフォルト」なんて、英語で言うと柔らかいけれど
要は合法的な「借金の踏み倒し」でしかありません。
踏み倒されたのは、ギリシャ国債を買った人。
つまりは世界中の政府や金融機関。
またぞろ「日本の金融機関は軽微な損害で済むはず」
なんてことが囁かれていますが、どうだか?
例えば、ヨーロッパの金融機関がコレによっていくつか潰れれば、
当然に日本の銀行だってそれなりの影響を受けるはず。
きっと大きな金融の混乱が起こるのではないでしょうか?

私が中学生の頃、ヨーロッパは別名「EC諸国」なんて言われていました。
略さずにいうと「ヨーロッパ共同体の国々」でしょうか。
あのころは、まだお互いの関税撤廃とか、ビザの廃止程度。
今に比べればずっと緩やかな共同体でした。
加盟国も西欧が中心。ギリシャなんて入ってなかったはずです。

その後「ヨーロッパ統一」とか「ひとつのヨーロッパ」
みたいな理念が大きくなり、今のユーロが生まれました。
そのうち、国境自体をなくしてひとつの国になる、
みたいなことも構想されて「ヨーロッパ議会」も創設されました。
なぜ、ヨーロッパがひとつにならなければいけないのでしょう?
このあたり、日本人にはいまひとつ理解できないはずです。

高校レベルの社会科では「地理」と「日本史」「世界史」があります。
たいていは選択科目になっているかと思います。
そして、多くの方が日本史を選択しています。
すると、地理や世界史はおざなりになります。
たとえ、授業を受けて試験で良い点を取っても、忘れるでしょう。
しかも、これがもっとも重要なことなのですが、ほとんどの社会科教師は
生徒が地理や世界史を嫌いになるように教えてくれることです。
なぜそうなのかよく分かりませんが、事実としてそうなのです。

だから、多くの日本人は「ヨーロッパ」について
ごく表面的な知識しか身につけていません。
その割には妙な憧れがあるので、みな旅行で行きたがります。
でも、みなさん表面的な部分しかご覧になっていないはずです。

実は、ヨーロッパ人がひとつになりたがる理由はキチンとあります。
なぜなら、ある意味でヨーロッパはひとつだからです。

いつもの通り、超カンタンに説明してみます。
ヨーロッパ文明というのは、ひとつの源から発しています。
それはどこかというと、他ならぬギリシャです。
あのアクロポリス神殿に残っている列柱の様式は、
ヨーロッパ中のどこにでも見られます。
それどころか、世界中に広がっています。
アメリカのホワイトハウスもそうですね。
日本にだって、アレを真似た建築物がたくさんあります。
今のヨーロッパは、ほぼすべてがギリシャ文明の継承者、
といってもさほど大げさではありません。

若干の例外を挙げておきます。
東欧、ロシア、北欧にギリシャを源とする文明が行き渡ったのは
かなり後になってからです。
だから、これらの地域にはギリシャ色が希薄です。

歴史を辿ると、このギリシャ文明の
良き継承者、伝播者となったのはローマ人です。
ローマ帝国はライン川より西の西ヨーロッパエリアを主な版図にしました。
結果としてギリシャを源とする文明を、
そのエリアに広める役割を果たしたのです。
よく「ギリシャ・ローマ」と一括りにされますが、
ローマ文明はギリシャのそれをほぼ模倣したものであり、
オリジナリティはあまり多くないのです。

多くのヨーロッパ人の潜在意識の中には、この
「自分はギリシャ・ローマの子孫である」という誇りがあるはずです。
もちろん、民族によってその濃淡はあります。
イタリア人やフランス人、イギリス人にそういった意識が強いと想像します。
ドイツ人は、ややコンプレックスを持っているはずです。
ゲルマンエリアは、その半分しかローマの版図に入っていませんでした。
だから、フランス人からするとドイツ人は野蛮人の子孫です。
このコンプレックスが中世の「神聖ローマ帝国」を生み出し、
ヒットラーの「第三帝国」につながったのではないでしょうか。

さて、もうひとつヨーロッパ人に「我らは統一されるべき」という
潜在意識を持たせている共通項があります。
それは、いうまでもなくキリスト教です。
ヨーロッパの中で、キリスト教以外の宗教が優勢なエリアは
バルカン半島の一部だけです。
他はあまねくキリスト教世界といっていいでしょう。

ところが、これも我々日本人には理解しにくいところですが、
キリスト教の中でもカトリックとプロテスタントとは、
別の宗教か、と思えるほどの相違があります。
上智と白百合はカトリック。青学、同志社はプロテスタント・・・
牧師さんはプロテスタント、神父はカトリック・・・・

さて、話をぐぐっと最初に戻します。
ヨーロッパ人は「ひとつ」になって、再び世界の中心たらんとして
「ユーロ」という機構をつくり、通貨を発行しました。
今まで縷々申し上げてきたように
彼らの意識の根底には「ギリシャ・ローマ文明の継承者」であり、
「キリスト教徒」である自分たちヨーロッパは統一されるべき・・・
という観念がある、と私は思っています。
でも、それは現実的な方策として彼らを幸せに導くでしょうか?
あるいは、ヨーロッパ以外の世界にとってよいことなのでしょうか?
私は、大いに疑問をもっています。

まず、ローマ帝国が滅びてすでに1500年。
ヨーロッパの各民族は、それぞれ独自の文化を養ってきました。
キリスト教は新旧と東方に大きく3分裂。
特にプロテスタント系各派とカトリック・東方教会の違いが大きすぎます。
おおざっぱに表現してしまえば、
プロテスタント系は総じて真面目。
カトリック系はチャランポラン。
今回デフォルトとなるギリシャはカトリックとよく似た東方教会。
デフォルト予備軍のイタリア、スペイン、アイルランド、
ポルトガルはそろってカトリックの国です。
経済がしっかりしているドイツやオランダはプロテスタント。
税金負担が高いけれど精密な福祉国家となっている
北欧諸国もほぼプロテスタント。
ユーロじゃないけれど、安定しているスイスもプロテスタント。
イギリスは新教系のアングリカンチャーチ。

私にいわせれば、このように鮮烈な違いがあるカトリック諸国と
プロテスタント系の国々が、まとまってひとつのユーロを
つくること自体に大きな無理があるように思えます。
おまけに、最近ではギリシャ文明圏ではあったけれど、
非キリスト教(イスラム)のトルコさえ加盟しようとしています。
大きければいいわけではない、というところはマンションと同じ。

違う民族がひとつの国家を形成して
うまくやっている例がないではありません。
例えば、スイスやベルギーなどです。
しかし、ほとんどの多民族国家では深刻な問題を抱えています。
支那はチベットにウイグル、トルコはクルド人、イギリスはアイルランド人、
カナダでさえフランス人地域の独立問題があったりします。
世界史上有数の多民族国家であったソビエト連邦は、
崩壊と共に「少数民族」がこぞって独立しました。

今回のギリシャ問題は、真面目に働いたドイツ人の貯金で
出鱈目放題をやりつくしたギリシャ人を救済する、
というのが基本的な構造です。
ドイツ人たちは、当然に面白くありません。
こんなことが、あと何回かあったらドイツ人は
「ユーロなんかやめて、マルクに戻ろうよ」となるはず。
ユーロの一員でありながら、自分たちのポンドに固執したイギリスは
今回の騒動でますますユーロへの通貨切替から遠ざかったはずです。

「統一ユーロ」という構想そのものが、やや理想主義的過ぎたのでしょう。
今、日本はTPPという、昔のヨーロッパのECCみたいなのへの
参加問題がホットな議論になっているようです。
経済の垣根が取り払われるのはよいと思います。
でも、あまりに理想主義に走ってもロクなことになりません。
特に支那や半島から治安や風俗を乱す輩が
大挙入国するような仕組みだけは、
何としても避けるべきではないでしょうか?

ギリシャのデフォルトは、日本にとって地球の裏側の騒動。
でも、今後の波及は避けられないと思います。
当面、円が高くなるので輸出企業は業績を悪化させるでしょう。
どじょう君は本気で増税をやりそうだし・・・・
日銀・白川君の任期は2013年の春まであります。
来年あたりは復興需要で少しは景気が上向くかもしれません。
でも、根底からガガーンと好景気になる可能性はほとんどなさそう。

マンション市場も「湾岸人気復活」なんて囃し立てていますが、
あれはデベが為にしている悪質なムード形成。
もう2,3か月したら実態がはっきりと見えてきます。

そんなこんな・・・・
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2011/10/28 19:40 Comments (1)

1件のコメント

ホテルドーミーイン仙台ANNEXの各部屋に設けられた浴室は0.5畳ほどのシャワールーム。

もし湯船に浸かりたければ温泉大浴場の方へ(アパホテルやドーミーインは温泉大浴場があるのがウリ)。

これならば従来のユニットバスに比べて掃除がものすごく楽。

ましてやマンションならば普段生活している所なので掃除の手間は極力省きたいはず。

ホテルドーミーインのこの作りをマンションに生かさない手はないと思いました。

各部屋の浴室はできるだけシンプルにすべきと言うのが自分の考えです。

まあ管理費を考えるとマンションには大浴場を設けずに、マンションのすぐそばにスーパー銭湯があるというのが一番いいのかもしれません。

2011/10/30 20:48 | by 政治の季節

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