「絶対に値引きしません」は、絶対に信用できない

マンションの売れ行きと株価には、実は深い相関関係がある、
と私は常々考えております。
ここのところ、日本の株式市場はグイグイと上がっていました。
「こりゃ、今週は1万円回復か?」
なんて期待したのが先々週あたり。
でも、ダメでしたね。
ここにきて、やや停滞気味。
ちょっと上値が重たい感じが見えます。

不動産銘柄も、かなりいい調子で上がっていました。
「業績がいいから」というよりも
「景気回復で恩恵を受けそうな」という思惑だと予想します。
実際、この3月期は各社ともかなり厳しいのではないでしょうか。
株価が本当に1万円を回復し、
その後で11,000~12,000円を目指すような展開なら、
マンション市場も5000万円超のカテゴリーで盛り上がるはず。
でも・・・どうでしょうねえ。

今、世界的にはお金が余っているそうです。
特にユーロはECBのドラギ君が大幅緩和を始めたもので、
かなりジャブジャブ気味になっている模様。
そのお金がかつてのように円キャリーになるかというと???
やはり、金や原油などの資源に向かっていそうな感じですね。

首都圏のマンション市場と言えば・・・まだちょっと重たい感じ。
注目されている「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」は
販売を「3月下旬」から「4月上旬」に延期したようです。
まあ、まだ入居までは2年もありますから、今のところ余裕?

一方、待ったなしの「プラウドタワー東雲」は、
第2期1次110戸を即日完売した後、第2期2次を急きょ販売。
私の記憶が正しければ・・・「6戸」だったはず。
そして今は「第2期3次」を「3月中旬」に販売予定だとか。
小刻みに契約を積み重ねる戦略に切り替えたのでしょうか?
発表通りなら、今まで366戸が「完売」していることになります。
残りは、計算上234戸。
2週間で6戸ずつ契約していくのなら、全部で78週かかります。
日数にして546日。来年の秋になってしまいますね。
どこかでどひゃっとスピードアップしないと
竣工までに完売させるのは難しいでしょう。
まあ、じっくりと見守りましょう。

郊外でも、野村不動産は大胆な事業を仕掛けています。
最近、私が色々な意味で注目しているのは「プラウドシティ浦和」。
住宅展示場跡地で、「浦和」駅から徒歩12分。
「南浦和」駅からだと徒歩10分。
地元の人からさほど評価の高くない立地のようです。
そこへ492戸ですから、ちょっとビックリします。
施工はもちろん、日本一マンションを安く作れるあの会社。
しかし、得意の直床ではなく、きっちり二重床にはなっています。
ただ、駐車場はどうやら機械式みたいですね。
どこにもハッキリとした情報は出ていませんが、
自走式ならそのようにアピールするはずですから。

このマンション、まだ予告広告なのですが坪単価は160万円という噂。
まあ、浦和物件としてはちょっとお安め。
南浦和駅が最寄りのパークシティ南浦和は170万円らしいので、
お値段で負けないように配慮したのでしょうか。

建物が完成するのは来年の今頃です。
つまり、1年で492戸が売れてしまわないと「完成在庫」。
坪単価160万円なら、可能なのでしょうか?
稲毛のプラウドシティは120万円前後で
425戸が売れてしまったようですが、こちらは・・・・

野村不動産のマンションでもっとも気を付けるべきは
「完成在庫」になるのかどうか、という点です。
もしあなたが竣工前に購入契約した物件が、
その後販売が進まずに完成在庫になってしまったら・・・
あの会社は躊躇なく販売現場で「価格提案」を行います。
つまりは、値引き。
これは、その時点で市場価格が下がったことを意味します。
最初に契約された方は、入居時点ですでに
「含み損」を抱えることになるのです。

「そんなバカな」と思われるかもしれませんね。
しかし、これが現実なのです。しかも適法。
野村不動産の場合は、過去に新浦安や金町の物件で
そういった事象が発生しています。

我々は自由主義経済の社会に生きています。
誰が、何を、いくらで売ろうが、基本的に自由なのです。
今、4500万円で売買契約を結んだのと同等レベルの住戸を
1年後には3900万円で販売しても、何ら違法ではありません。

でも、こういうのはどうでしょう?
例えば、販売担当者が
「この物件は何年たっても絶対に値引きすることはありません」と
明言して契約を促したにもかかわらず、
半年後には値引き販売が行われていた・・・とします。
これは違法だと思われますか?
嘘をついているワケですから、民法の不法行為に当たりそうですね。

実は、適法です。
判例としては
東京地裁平成8年2月5日判
決、大阪地裁平成5年4月21日決定、横浜地裁
平成15年2月12日判決等

実は私もよく納得できません。
でも、違法とはされていないのです。
つまり、日本の裁判所は不動産屋が
「この物件は絶対に値引きしません」と嘘をつくことを
許してしまっている状態。
これは何だか不動産業界の暗黙のルールである
「騙される方が悪い」という非倫理的オオカミ原則を、
なんの罪もない一般コヒツジ市民にまで広げてしまっています。

いってみれば、マンションの販売現場で営業担当者が喋ることなど
「なーんにも信用できない」と考えなきゃいけないことになります。
だって、彼らは資産価値に大きくかかわるほど重大な事柄について
嘘を言っても不法行為にならないのですから。
だからみなさん、気を付けてくださいね。

私は、いたずらに「買ってはいけない」というつもりはありません。
特に「プラウドシティ浦和」の現在の価格は、十分に市場性があります。
しかし、市場価格は日々変動しています。
1年後にはもっと下がっている可能性もあるのです。
そのあたり、十分に納得されてから
契約書にハンコを付かれることをお勧めします。

迷われているようなら、私のレポートも参考にしてください。
ちょうど、埼玉のものを最新情報に更新しました。

プラウドシティ浦和、パークシティ南浦和も登場
埼玉県の大規模マンション 全18物件
価格 2,980


2012/3/5 17:55 Comments (2)

2 Comments

 久々に見ましたが、榊さんの商売は因果な商売だなと改めて思います。不動産屋さんが利益削られた分、おこぼれがあるのでしょうか。

2012/03/07 11:47 | by 同じ穴のムジナ

「絶対に値引きしません」は信用できない。

「絶対に値引きします」もまた信用できない。

一番気に入らないのはマンションが住宅ではなく金融商品であると言うことだ。

なぜ、必要としてる人にお求めやすい価格で提供しようとしないのだと学生の時六畳で相部屋の寮生活してた自分からすればそう思います。

まあ、榊先生が言われる通り「事なかれ主義」の世の中ですから…

2012/03/05 21:07 | by 政治の季節

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