4分の3決議をやってのけた管理組合の話

私はよくこのブログや自分のレポートの中で
「マンションは規模が大きくなればなるほど管理が難しくなる」
ということをしつこめに書いてきました。
たとえば、共用部分の用途変更。
プールをやめて集会室にする、とか
誰も使わなくなった大浴場をゲストルームに、
といったことはいわゆる「4分の3決議」というものが必要です。
全区分所有者の4分の3が賛成しないといけないのです。

出席者の4分の3ではなく、全体の4分の3です。
ほとんどのマンションでは、管理組合の総会を有効たらしめる
「全体の2分の1出席(委任状等)」にすら困難をきたしています。
それを、4分の3ですよ。
現に、私が3年連続理事長を務めている某マンションは、
第1回の総会からして4分の3の議決権は集まりませんでした!

ですから、4分の3決議なんて大きなマンションだと不可能です・・・
と、今までは自信満々で書いてきたワケなのですが・・・
私の言説をあざ笑うかのように、4分の3決議をやってのけた
大規模マンションが目の前に登場したのです。
それも、都心のタワーマンション。その名は「白金タワー」。
住宅と店舗で区分所有権は600を軽く超える大所帯。
地権者と購入者が入り混じる、典型的な都心型再開発タワー。
竣工は2005年11月といますから、間もなく築7年。
管理組合の総会も7期目。

そこで何と・・・4分の3決議をやってしまったのです。
最初、その話を聞いた時には「へっ・・ホントですか?」。
理事長さんに敷地内を案内してもらっている途中の
歩きながらの会話でお聞きしたので・・・
(あれ、聞き違いをしたのかな)と、思ったほど。
いやはや、ビックリしましたよ。

竣工・入居以来、どちらかと言えば旧地権者たちが
管理組合を主導してきたそうなのですが、数年前に大問題が発覚。
それをキッカケに現理事長たちが改革運動に乗り出し、
まず管理会社を長谷工コミュニティから三井不動産住宅サービスに変更。
そして、今年3月の総会で見事に4分の3決議をやってのけたそうです。
その「第7期臨時総会」の議案集(写し)をいただいて読みました。
1号議案から14号議案まで、管理規約の改正を中心に
ビシっとした内容の「改革」が詰まっていました。
これをビジネスだと見做せば、見事な「お仕事」です。
並大抵のビジネスマンのなせる仕事ではないと思いました。

先日、理事会の会合にお招きいただき
「資産価値の向上とヴィンテージ化に向けて」みたいなテーマで
1時間ほどお話しさせていただいた後、活発な質疑応答。
各理事さんたちの意欲をヒシヒシと感じました。
「ヴィンテージというのは、どういうマンションですか?」
「ヴィンテージになる条件はなんですか?」
「このマンションがヴィンテージになるには、どうしたらいいのでしょう?」

私が最後に申し上げた答え。
「このマンションは、すでに建っていて今さら建物や敷地のデザインは変えられません。場所も当然動かせません。しかし、管理組合が見事に機能して建物・施設の保守保全を行い、コミュニティとしての魅力を高めることはできます。だから『管理組合機能が充実することでヴィンテージになった第1号物件』になるのはどうでしょう?」
こう申し上げたら、ヤンヤの反響でした。

実際、これから「マンションの管理」という問題に対する社会の関心は、
拡大することはあっても縮小することはなさそうです。
むしろ、近い将来には深刻な社会問題のひとつになる可能性があります。
そんな中にあって白金タワー管理組合の存在は、大げさな言い方をすれば
未来への扉を開いてくれる「希望の星」かもしれないのです。

マンションも含めた集合住宅は、区分所有者たちが
高度な市民意識を持って共同で管理運営することを
基本として成り立っています。
ところが、多くの人はマンションを買うことがすなわち
「自分たちの所有する建物に対して他の人々と責任を分かち合う」
ということでもあることを、ほとんど意識していません。

はっきりいって、何の問題も抱えていないマンションなんてありません。
ほぼすべてのマンションで、早急に解決すべき問題があります。
なのに、多くの管理組合が健全に機能していません。
そんな中にあって、見事なほど健全に機能し始めた白金タワー管理組合。
今後、「管理組合が機能している都心タワーマンションの好例」として、
様々なメディアから注目される存在になれば、
『管理組合機能充実型ヴィンテージマンション第1号』になるのは、
ほぼ見えてくる既定路線になるように思えます。

私は、マンションの管理についてアレコレいうよりも
購入の判断材料や資産評価を提供することを主業務としています。
しかし、今後はこの白金タワーを含めて管理の健全化についても
大いに関心を持って取り組んでいきたいと思いました。


2012/4/23 17:52 Comments (0)

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