ダメダメ物件を買ってはいけない理由

マンションデベロッパーというものは、
業態そのものが「自転車操業」だと言われています。
今売っているマンションを全部売り切ると、次に売るものが必要です。
例えば自動車メーカーなら、原材料や部品を仕入れて工場を稼動させると
「次に売るもの」を生産することが出来ます。

ところが、マンションデベロッパーの場合はなんと言っても
「事業用地」がなければマンションを作れません。
だから「来年売るもの」「再来年売るもの」を作るために、
年がら年中懸命に「事業用地(土地)」を探しています。
マンションデベロッパーにはたいてい「仕入れ」とか「用地」と呼ぶ
セクションがあって、彼らの仕事は土地情報を漁ること。
もし、この部門がうまく機能できなくて用地が仕入れられないと、
実際にマンションを作る企画部門や販売部門の人間の仕事がなくなります。
だから、「仕入れ」担当の人たちは必死で土地を探すのです。

しかし、そうそううまくいくものではありません。
多くのデベロッパーが「このままでは来年売るものがなくなる」といった
切羽詰った状況に追い込まれることが一再ならずあります。
売るものがなくなると、当然売り上げが建てられません。
赤字になりますね。
これはデベロッパーにとって今ある物件が「売れない」よりも酷い状況。
「売れない」なら売れるように工夫のしようがあります。
でも、売るもの自体がないのはどうしようもないのです。
だから、彼らが「来年売るものがないかも」というところまで追い込まれると
「いいから何でも買ってしまえ」となります。

土地情報と言うのは、大きく分ければふたつあります。
それは「出回っているもの」と「そうでないもの」。
「出回っているもの」というのは、多くのベロッパーにも
一度は持ち込まれたもの。
カンタンに言えば、みんなが買わなかったもの。
「そうでないもの」というのは、まだどこにも持ち込まれていないか、
あるいはほんの少数のデベロッパーにしか持ち込まれていないもの。
このほかにも仕入れられる土地には、役所や公社公団からの払い下げや、
企業所有地の公募入札などもあります。
でもまあ、こういうのはいつでもあるわけではありません。

売るものがないから「何でも買ってしまえ」となった場合、
事業用地として買うのはその時に「出回っているもの」になります。
各社がスルーした土地なので、当然何らかの問題があります。
立地条件が悪い、価格が高い、供給過多になっている・・・などです。
それでも「売るものがないよりマシ」ということで
最後には手を出してしまいます。

さて、以上はデベロッパー側の勝手な都合です。
ところが、そういう業界内では「クソみたいな」土地であっても、
みなさんの前に現れるときには「すばらしい」マンション
であるかのように、こってりとお化粧が施されているから厄介です。
こういう業界内の誰が見てもダメダメ案件の場合は、
何よりもデベロッパー自身がそれを分かっています。
だからこそ「広告で何とかしよう」と考えるワケです。
タレントやキャラクターが出てくるのも、こういう物件が多いですね。

エンドユーザーのみなさんからすれば、なるべくそういう物件に
手を出さないほうがいいでしょう。
あたりまえですが、そんな物件がよく見えるのは派手に広告している時だけ。
10年後、中古で売却する時には誰も広告してくれません。

例えば、東京の湾岸エリアに「ブリリアマーレ有明」という
まあ私から見れば「ダメダメ」なマンションがあります。
もうとっくに完売しているのですが、最初にデビューした時には
マドンナを広告キャラクターに起用していました。
当時、高いお金を出して購入した人が今売ろうとした場合、
ただの湾岸にある不便で不人気なマンションにしか過ぎません。
「マドンナが・・・」といっても、業界人間以外は記憶になし。

おまけに、3.11の地震でご近所が一部液状化しました。
さらに、おとなりではこれまた不人気な「ブリリア有明スカイタワー」
なんていうダメダメ2世みたいな物件が竣工して1年半も経つのに
未だに売れ残っている状態。
ずいぶんな値引きをしていると言うことを聞いています。
ちなみに、こちらはオダギリジョーを起用していました。
まあ、自分から「ダメダメ物件です」と白状したような広告でしたね。

今から来年にかけて、市場にはダメダメ物件がジャンジャカ出てきそうです。
いうまでもなく、消費税の駆け込み需要を狙っているのです。
また、「いいから何でも買ってしまえ」と仕入れてしまった物件も
ここぞとばかりに出てくるでしょうね。

私の予感としては・・・大変なことになりそうです。
といって、来年中にどうのこうの、ということではありません。
私の悪いクセで、時代の一歩先を読むのではなく、
三歩四歩先のことを考えて申し上げているのです。
一歩先である来年は市場に大量のマンションが売り出されて供給過多に。
消費税の駆け込み需要は、デベロッパーの思惑ほどは盛り上がらないでしょう。
なんといっても、前回5%に上がった時よりも
経済のファンダメンタルズが悪すぎます。
だから、増税後の「反動減」はキッチリとやってくるはず。
それは三歩先くらいの再来年(2014年)5月以降です。
だから再来年以降はいやがおうにも過剰在庫に苦しむことになりそうです。
場合によっては経営が悪化して倒産するデベも出てくるでしょう。
例え財閥系と雖も、事業縮小やリストラが避けられないかもしれません。

四歩先の3年から5年後、不動産価格は下げ足を早めると予測します。
その頃には、東京都の人口も減少に転じているはずです。
建物も住民も老朽化したニュータウンの処理が
東京でも大阪でも大きな社会問題となるでしょう。

そういう4歩先の未来には目を向けず、デベロッパーの用地担当者は
あたかも今年と同じ市場環境が来年も再来年も続くものとして、
懸命に事業用地を探し、購入の稟議書を書いています。
そして、再来年の事業用地が仕入れられないと
「いいから何でも買ってしまえ」という経営陣の指示に従って、
ロクでもない土地を仕入れ、結果的にみなさんの目の前で
ロクでもないマンションを売り出すことになるのです。

私が見るところ、今でも首都圏や近畿圏で新しく売り出される
マンションの半数以上は「買ってはいけない」と分類できるもの。
特に大規模マンションの場合は、戸数割合で言えば8割以上が
「買ってはいけない」に入ってしまいますね。

私が「買ってはいけない」とするマンションの基準は、
大まかに言えば10年で購入額の半分以下に資産価値が落ちる物件。
逆に「買ってもいい」と考えるのは半額まで価値が落ちるのに
10年ではなく20年以上かかる物件です。
そんな物件を20年以内のローンで購入すれば、
ローンが終った時にはかなり安定したマイホーム生活が送れます。
逆に「買ってはいけない」マンションを35年ローンで購入すれば、
約30年間は「売りたくても売れない」状態。
きっと何割かの方が自己破産や任意売却を迫られることになるでしょう。
「買ってはいけないマンション」は、いってみれば不幸の種。
またそういうマンションは往々にして、
デベロッパー側の「いいから何でも買ってしまえ」とうスタンスで
仕入れられ、事業化して分譲された物件なのです。

みなさん、そういったマンションを買わないように気をつけてください。
そして、もしよろしければ「買ってもいいマンション」を
見つけるためのノウハウを聞きに来てください。

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2012/10/14 20:27 Comments (0)

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