住宅産業の「高齢化シフト」はもう始まっている

人はいずれ老います。
かくいう私も、江戸時代なら立派な老人です。
近年、平均寿命は著しく延びました。
90年生きようが、100歳まで寿命を保とうが、
ずっと健康なら普通の家に住めます。
ところが、健康でないと普通の家には住みづらくなります。
ある統計によると、人生のうちで「健康でない期間」が
男性は約9年、女性だと12年超あるそうです。

高齢者の健康状態は、今の分け方で4分類。
「自立」「要支援」「要介護」「痴呆」。
自立と言うのは、いわゆる「自分の世話は何とか自分で出来る」状態。
あとは段階を経るにしたがって「人の世話」が必要です。

普通のマンションに住んでいたとしても、
「支援」や「介護」が必要になるとどうなるのでしょう?
だいたいは、家族が面倒を見ることになります。
でも、近年は単身世帯が増えています。
また、配偶者の片方が先に亡くなると単身になります。
そうなった時には、誰かに支援や介護を求めなければなりません。

よく出来たもので、そのために介護保険があります。
介護認定を受ければ、およそ1割の負担で様々な介護サービスが受けられます。
「食べる」「排泄」「入浴」などというのは介護の基本。
実際には22種類50サービスがあるそうです。
その外にも様々な日常生活のサポートを受けることになります。

また、そういったサービスをスムーズに受けられる住まいもあります。
これも実に様々な形態があって、かなり複雑です。
今もっとも増えているのが、前にチラと述べた「サービス付き高齢者向け住宅」。
省略して「サ住高」と呼ばれているものです。
国土交通省は、今後10年間で60万戸の供給をめざしています。
実際、それを超える勢いで爆発的に増えています。
建設には補助金がでるし、入居者からは年金や生活保護、
あるいは介護保険によって家賃と介護料が支払われます。
まずもって「取りっぱぐれ」のない上に、一度入ったらほぼ出ない。
オーナーにとってはかなりの安定収益が見込めるのです。
今や、地方では不動産投資の中心的な存在です。

多分、今後「サ住高」は年間10万戸くらいのペースで増え続けると思います。
戸数だけをカウントするのならば、近々新築マンションを上回るでしょう。
その他にも、大まかには6から8種類の「高齢者住宅」と言えるものがあります。
権利形態も所有権や利用権、賃貸、たんなる利用など様々。
そして、そこには膨大な数の介護スタッフが働いています。

今後、日本でもっとも就業者が多い産業は「介護」になると思います。
また、住宅産業の最大のカテゴリーは「高齢者」なると思います。
さらに言うのなら、そういった高齢者がいわゆる「高齢者住宅」に
住み替えた後には膨大な数の「普通」の住宅が余ってしまうのです。

このように考えると「少子高齢化」というのは、
必然的に「住宅の巨大な余剰」を生み出します。
これは地方ほど顕著になるはずで、すでに見られる現象。
この大きな波は千葉、埼玉、神奈川という都心郊外エリアで
今後加速度的に強まると予測されています。
こういった予測は、困ったことにほぼ外れることはありません。
人口構成と言うのは、ちょっとやそっとでは変えられないからです。
この波が都心に押し寄せることもほぼ確実。
日本が老人国家になるのに、東京だけがその波を避けることは不可能。
前々回申し上げた通り、「高齢者」は次代の住宅産業の主役なのです。

ところが、この高齢者住宅というのは周辺産業への
経済的な需要喚起の波及効果は、新築マンションほどではありません。
まず、もっともボリュームのある「サ高住」。
介護に従事するかたがたは大変なお仕事なのに低所得。
不動産屋さんみたいに高級をはべりません。
経営者だけが儲かるようなシステムになっているのですが、
下手をするとそれもすぐに赤字になってしまいます。

比較的裕福な方が選ぶ「介護付き有料老人ホーム」。
これもすごい勢いで増えています。
入所金が数千万円で月々必要額20万円以上と言うのが標準。
ベネッセとセコムが新しい事業分野として急展開しています。
こういうのは新築マンションと違って「売りっぱなし」ではないので
施設を閉じない限りにおいて永遠の事業が続きます。
そういう面で経済規模は大きいのですが、お金の動き方が地味。
建築費は最初にドカーンと発生しますが、
その他はいたっておとなしい「金遣い」になってしまいます。

この2つが高齢者住宅の「二大勢力」といっていいカテゴリー。
他には新築マンションの親戚みたいな「住宅型有料老人ホーム」や、
「グループホーム」、痴呆対応の「特別養護老人ホーム」などですね。
今までは「家族の介護」が当たり前だったので、
「老人ホーム」というのはちょっと特別な存在でした。
でも、これからの時代は最後まで自宅にいる、というのが少数派に。
高齢化社会は医療や社会福祉だけでなく、住宅産業にも多大な影響を与えます。

さて、レポートの更新情報です。
大阪のタワーマンション市場。
この数ヶ月で3物件のタワーが完売しました。
いずれも「残り数戸」状態だったので、まあ規定路線でしょうか。
首都圏と同じで「売れないものは売れない」という状態。
「放射能から避難」ニーズがひと通り終ったと思ったら、
「支那からのPM2.5」というマイナス要素が出てきました。
ちょっと厳しくなりそうですね。
アベノミックスの好影響が及んでいくとよいのですが。

※内容は前回からさほど変っていません。前回購入くださった方は、今回はスルーでもよろしいかと思います。ただ、「プラウドシティ新大阪」という新物件が登場し、やや注意を要します。

大阪のタワーマンション
総集編全21物件
価格 4,990

セントプレイスタワー
シティタワー大阪天満 ザ・リバー&パークス
MEGA CITY TOWERS(メガシティタワーズ)
プラウドシティ新大阪
OSAKA福島タワー 【大阪福島タワー】
ジオタワー天六
パークタワー梅田
ローレルタワー夕陽丘
ザ・パークハウス 谷町五丁目
シティタワー天王寺真田山
ブランズタワー大阪備後町
パークタワー北浜
なんばセントラルプラザ リバーガーデン
ブランズタワー南堀江
ヴィークタワー南堀江
ジオ新町
大阪ひびきの街 ザ・サンクタスタワー
堂島 ザ・レジデンス マークタワー
ザ・セントラルマークタワー
ファインクォーターシティ
阿波座ライズタワーズ


2013/3/20 18:05 Comments (0)

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