今はマンションの買い時ではない

のど元過ぎれば熱さ忘れる・・・とはよく言ったもの。
去年の今頃、この国は暗かったですね。
何とも言えない閉塞感に覆われていました。
景気が悪い上に、政治は民主党に握られてフラフラ。
野田君が財務省に操られて消費税増税法案を国会に上程。
そいでもって自民党と「近いうちに解散」合意。

もちろん、マンションも全然売れていませんでした。
それが今、どうでしょう?
都心の優良物件はどんどん完売しています。
ワンルーム業者は「売るモノがない」という状態。
この勢いは関西方面にまで波及しています。

しかし、足元をよく見てみると昨年の今頃と何が変わったのでしょう?
まず、みなさんの給与所得は上がりましたか?
「私の年収は10%アップした」なんて方はほとんどいないはず。
今年の冬のボーナスが少し期待できるくらいでしょ。
それも、輸出系の企業のみ。輸入系は???

実際、ビビッドに変わったのは株価と外国為替。
特に円安は多くの輸出系企業を潤しました。
逆に、輸入系の企業はコストアップに呻吟しているはず。
マンションデベロッパーは、どちらかというと輸入系。
建築資材のほとんどが輸入ですから。

株価が上がったことで、投資系の物件は活発に動いています。
どちらかというと、今は品薄状態で価格も上昇。
現状、株価上昇が止まっているので、今後は沈静化するでしょう。
投資家というのは、基本的に経済に敏感ですから。

少し解せないのは、普通のマンションもまずまず売れていること。
去年の今頃に比べれば世間の空気が明るくなっていますから、
多少は売れたとしても、それは理解できます。
しかし・・・私から見ると、ちょっとはしゃぎすぎですね。

では、今後どうなっていくのか?
企業業績の回復は確かなようですから、しばらくは
今のような「明るい」空気は続くと思います。
マンション販売も好調が続くと思います。
9月7日にオリンピック開催が決定すれば
第一次の湾岸ブームがやってくると予想されます。
有明や豊洲、東雲あたりでくすんでいる物件にも
ちょっとしたバブルが押し寄せるかもしれませんね。

その明るいムードの中で、安倍さんは消費税増税を
「スケジュール通り」と判断する可能性が大。
そうなると半年間はあらゆる分野で駆け込み需要が発生します。

先日、あるマンションの管理組合が大規模修繕工事を決めました。
築10年です。私から見ると、全然その必要がありません。
彼らが工事を急いだ理由のひとつが「消費税」。
まったく愚かしい判断ですね。

世の中には、こういう愚かな考えに流される人が何と多いことか。
マンションの購入においてもおなじことです。
少し前に私の事務所にやってこられたのは関西の方。
株で儲かったので、「東京のマンションでも買っておくか」と
こちらの情況を見に来られたのです。
そして、東雲から豊洲あたりを歩いた後に私の事務所に。

「なんや、あのへん何もあらへんやないか」
「ネットでみたらエライさわいどったけど、何がええんかようわからんな」
「それに、えらい不便やないかいな」
「その割に値段だけは一人前つけとるなー」
酒を飲むところさえないことに、相当驚かれた様子でした。
あらゆるフィルターを外して眺めてみると、そんなものなのです。

私は、マンションの資産価値を測る時に、あえてKYになります。
即日完売したから、大勢の人が集まっているから、かつてない・・だから、
なんていうのを、全部取っ払って裸の資産価値を考えるのです。
10年後、20年後の空気は、今とまったく違っているはずですから。

そういう眼で眺めていると、今のマンション市場はちょっと異様。
この異様さは、最低限来年の3月までは続きそうです。
5,6年先から今の時期を振り返ると、
「あの時はちょっと世の中おかしかったな」となるかもしれません。
ハッキリ言って、今はマンションの買い時とは言えません。
むしろ、今は買わない方がいい時期ですね。
待てるものなら待つべきでしょう。少なくとも来年の4月以降まで。

不動産市場は全体的に好転していますが、
この国の不動産に対する需要が増えているわけではないのです。
好不調の波の「好」の部分が、少し押しているだけ。
絶対的な需要を伸ばすためには、生産人口の増大や
新しい産業分野の登場など、ハッキリとした成長要因が必要です。

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/7/31 14:28 Comments (0)

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