独断と偏見による現代版「学問のすすめ」

私ごときが何をほざいても、世の中は毫も動きませんが、
副総理がちょびっと冗談を言っただけで大騒ぎですね。
麻生君が発したという例の「ナチスに見習って憲法を変えろ」発言。
よく調べてみると、全然大したことはありません。
原発騒ぎと本質は同じ。
誰も死んでいない放射能を怖がって大騒ぎするから、
そのせいで死んでしまう人が何人も出ています。
他人の言説を鵜呑みにしてしまって、真実を見失っているのです。

私は今“THE UNIVERSITY AN OWANER’S MANUAL“ という本を読んでいます。
日本語訳の題名は「大学の未来へ」。
副題は「ハーヴァード流大学人マニュアル」というもの。
少し前には猪木 武徳氏の「大学の反省」という本を読みました。
なぜ、いまさら「大学なの?」と思いますよね。

実は、昨年「磯野家のマイホーム戦略」という本を出したとき、
同志社大学の恩師である麻田貞雄先生(名誉教授)に謹呈いたしました。
その後、身に余るお褒めの言葉をいただき、
数十年ぶりにゼミのOB会に出席。
同志社の未来を憂う麻田先生からいろいろご教示を受けました。

普通の人にはちと理解しがたいことなのですが、
今の同志社大学の学長は村田晃嗣といって、他ならぬ麻田先生の弟子です。
何を隠そう、私の2年後輩に当たります。
ちょっと前まで蝶ネクタイをつけて「朝までテレビ」に
よく出ていたので、ご存知の方も多いでしょう。
ちなみに、私とはまったく面識ありません。
麻田先生は、その弟子の活躍を憂いておられるのです。

まあ、それはいいとして・・・・
麻田先生は、私にも「大学とは?」というテーマで
もっと勉強するように、というニュアンスのメールを何度かくださいました。
その中で「良書を読むことだ」というアドバイスがあり、
お勧めくださったのが先にあげた2冊。

私も今さら「大学」というテーマにはあまり興味なかったのですが、
さすがはわが恩師が勧めてくれるだけあって、実に良書です。
痛感したのは、自分が大学時代ほとんど勉強しなかった、ということ。
まあ、当時の普通の学生に比べれば勉強した方だと思いますが、
それでも高々学部レベル。やはり院まで行くべきでしたね。

同志社時代、私は法学部の政治学科でした。
麻田先生のおかげで、学問の真似事のようなことはできました。
何が役に立ったかというと、「物事をどう考えるべきか」という
学術的なアプローチのやり方が何となく見えたこと。
そして、何よりもよく分かったのは
「世の中のことを自分は何も知らない」という厳然たる事実。

今でも、私は食卓で子どもたちによくいいます。
「人間というものは、この世のことの5%も分かっちゃいない」
おそらく2%も分かっていないのではないでしょうか。
だから、決して傲慢になってはいけないのです。

いつか私の主治医の先生と飲んだ時に
「榊さん、経済学って何ですか?」と聞かれました。
私は経済学を本式に学んだことはありません。
でも、私は「文系代表」というか「社会科学の学徒」として
答えなきゃいけないのだろうという使命感を持ちました。
「それは・・・医学と一緒ですよ。医学は人間のカラダの仕組みや病理とその治療法を研究しているでしょ。経済学は一国や世界全体の経済の仕組みや流れ、景気・不景気を解明しようとしています。でも中々成果を上げられません。医学はすでにいくつかの病気は直せていますが、経済学は未だ不景気に対し、有効に対処できません。避けることもできません。医学とちがって厄介なのは、不景気の種類が毎回少しずつ違うからなのですよ」
なーんて言って、何とかお茶を濁したわけです。

これを聞いた、その若いドクターは
「へえ、榊さんって理科系みたいな答え方をしますね」と言われて、
いつか書いたように「俺は理科系アタマなのか」と自覚した次第。
最近、自分は理科系だったのでは、という意識をますます強めています。
まあ、それもどうでもいいことですが。

「大学」の話に戻ります。
前述の2冊の本は、ともに本職が経済学者の手になります。
また、両者とも日本の大学の社会科学系のあり方に厳しい見方をしています。
当たり前ですね。私の経験に照らしても私立大学の文系学部は、
学問をするというよりも、せいぜいその真似事をする程度。
言ってみればシェイクスピアを学ぶために、
原書を読まないで抄訳を使っているようなもの。
とても本式の学問をしているようには思えません。

日本人は理科系のノーベル賞をいくつもとっています。
人口比でいえば、ヨーロッパを上回るそうです。
でも、いまだに経済学賞は取れていませんね。
これは、日本の社会科学のレベルが低いことを象徴していませんか?

日本経済新聞の記者に、経済学での修士や博士号を
持っている人は何人いるでしょう。
朝日新聞の記者に、政治学や歴史、社会学の学位を持っている人は?
麻生さんの失言を、まるで鬼の首でも取ったように騒ぐ輩は、
どのような学問をしてきたのでしょうか?

この国には、政策皆無の元プロレスラーや原発反対のシングルイシュー
だけを唱える南瓜アタマの俳優を国会議員に当選させる選挙民が大勢います。
それはそれで仕方がないことです。
すべての国民に「賢明たれ」というのは無理な話。
しかし、せめてマスコミの知的レベルは
もう少し上がってもいいのではないでしょうか?
そのために、一流メディアは学部卒だけではなく修士や博士を
積極的に採用することにしてはいかがでしょう。
それもアメリカの一流大学の院で学位を取った人々は、
かなり優秀ではないかと思います。
だって、あの国を牽引している人々は、だいたいがそうだから。

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/8/4 16:26 Comments (0)

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