「住まい給付金」は天下の愚策

そんなものができた、ということはチラホラ聞いていました。
しかし、実態を見てみてビックリ。
これはもう、天下の愚策ではないかと思う次第です。
なにかというと「住まい給付金」。来年4月から実施されるようです

カンタンにいうと、年収の少ない人が家を買ったらお金がもらえる制度。
例えば、年収425万円以下の方が家を買うと30万円もらえます。
消費税が10%になると、年収450万円以下なら50万円もらえるとか。
これって、年収のあまり高くない方に向かって
「消費税が上がっても、がんばって家を買ってね。政府も応援するから」
ということなのでしょうね。
しかも、新築住宅を買った場合の方がかなり有利。
中古を個人から買った場合は支給されません。どうして?

いつもセミナーなどで話すことなのですが、
日本の国はずっと新築住宅を購入することに対して
手厚いサポートを行ってきました。
だいたい、住宅ローンを最初に作ったのは「住宅金融公庫」。
今の住宅金融支援機構。立派な政府の外郭団体ですね。

今は住宅ローン控除などという制度もあります。
固定資産税の減免措置もありましたね。
何年か前にはエコポイントという制度も使われていました。
瑕疵担保責任保険などいう制度も、新築向け。

日本は全国で何百万戸も空家があるのに、
1年に100万戸前後も新築住宅を作っています。
言ってみれば「新築バブル」という状態が何十年も続いています。
それもこれも、政府が手厚い支援をしているから成り立っていること。
冷静に考えると、日本はもう新たに住宅を作る必要はありません。
この勢いで作り続けると、どこかでバブルが弾けるはずです。
郊外や地方では完全にバブルが弾けています。
地方の家なんて、値がつけばいい方ですね。
その波が、ジワジワと都心に向かって寄せてきています。

なのに、政府は「住まい給付金」なんていうバカな制度を作りました。
要は、人々が住宅を買わなくなると住宅産業が衰退し、
自民党に入る献金が減るからではないかと思います。
しかし、こんなことをいつまで続けるつもり?

だいたい、年収400万円の方が住宅ローンを借りて
新築住宅を買う必要があるのでしょうか?
自己資金が1500万円くらいあればそれもリアリティがありますが、
親から貰わない限りは無理でしょう。

いつかは、新築バブルが弾けます。
この先、必ず住宅価格が暴落するシーンがやってきます。
首都圏でいえば、船橋や三郷、相模原あたりの住宅価格が
2,3年で3,4割くらい下落する時代がやってきます。
つられて、都心部でも住宅価格が下落基調になるはず。

モノの値段というものは、大局的に見れば需要と供給の関係で決まります。
それを、ここ半世紀くらいは政府の後押しもあって
住宅価格には高い下駄を履かせてきたわけです。
でも、そろそろ限界がきている、と私は考えています。
現実に、家が余っているという状態が顕在化してきたから。

そういった現実が誰の目にもようやく見えてきたのに、
まだ目の曇った政治家や役人は「住まい給付金」などという
時代錯誤的な制度を作って、新築住宅を消費者に買わせようとしています。
ああ、やんぬるかな。
もうこんなバカなことはおしまいにすべきですね。

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2013/12/11 0:26 Comments (0)

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