不動産ミニミニバブル、今が頂点付近か?

ゴールデンウィークですね。
毎年、この時期はモデルルームも書き入れ時。
大量集客を見込んでの広告投下も今日がピークのはずです。
我が昔日の同僚たちも、さぞかし忙しかったことでしょう。
それにしても、今年はちょっと寂しいですね。

というのは、話題物件が少なすぎ。
売れるべきマンションは、ほとんど売れてしまっています。
一部の例外を除き、今売り出されているのは「売れ残り」。
都心はミニバブルの頂点付近にあります。
ただ、すでに下り始めている、と私は見ていますが、
それが分かるのはおそらく1年以上先になってから。

今の日本の景気、よくなっていると思いますか?
確かに、空気は明るいですね。
2年前の民主党政権時代とは比べ物になりません。
あの時は、明日にでもこの国は終わるかと思いました。
安倍政権になって何が変わったのか?

実は、肝心なことは何も変わっていません。
日銀の総裁が黒田君に変わり、市場にジャブジャブとお金を供給。
政府も気前よく国債を発行して公共事業を増やしました。
だから、一見お金の巡りが良くなった・・・ような感じになっています。
円高から円安に転じで、株価が上がりました。
実は、ここが一番大事なところ。

そう、すべては株価なのです。
円高か円安かというと、本当は円高の方がいいはずです。
だって、僕たちの持っているお金の価値が上がるから。
でも、日本経済のクセとして、短期的には円安がいいのです。
外国にモノやサービスを売りやすくなるから。
ただ、これは本当に刹那的な理由。

ともかく、株価が上がれば世間は明るくなります。
ところが、ここのところ株価に元気がありません。
いつも言うことですが、「相場は何かを知っている」のです。
株価には「テクニカル」と「ファンダメンタルズ」という
二つの要因で動くと言われています。

テクニカルは、カンタンに言えば短期的視点。
ファンダメンタルズというのは、実態を見据えた動き。
例えば、業績が良くないソニーの株価が来週急上昇すれば、
それはいたってテクニカルな動きです。
でも、決算の内容が良くないわけで、長期的に見れば
ダラダラと下落していくはず。これがファンダメンタルズ。

さて、日本経済。
アベノミクスはテクニカル面では目覚ましい成果を上げました。
でも、日本経済の基本的構造、つまりファンダメンタルズは旧態依然。
原発は停まったままだし、個人所得は上がっていません。
目に見えて改善したのは求人倍率くらいでしょうか。

そもそも、黒田総裁のマネタリーベースの拡大・・・つまり
世間にジャブジャブとお金を流す景気刺激策(金融政策ともいう)は、
日本経済の構造転換のために時間稼ぎが主要な役割。
その間に、イノベーションや規制緩和によって経済を活性化させる、
いわゆる「第3の矢=成長戦略」が行われるはずでした。
ところが、安倍政権の1年半でこれについての実績はほぼゼロ。
そろそろ世間も「期待外れ」を実感しています。
それが、ここのところの株価にも反映しているのでしょう。

日本の株式市場は約7割が外国のお金で動いています。
だから、株価が冴えないのは外国勢のせいだと言う人もいます。
外国人だって、この先日本企業の業績が好転すると考えれば、
積極的に日本株を買ってくれるはずです。
連中は、単純に日本の未来にあまり期待しなくなっただけです。

日本経済の実態としては、以上のようなお寒い未来があります。
もうすぐ、上場企業の決算発表がピークを迎えます。
好業績のオンパレードでしょう。
でも、そういうことはもうとっくに株価に織り込まれています。
今、考えるべきは2015年3月期の決算がどうなるかです。
こちらは消費税の影響もあって、暗い数字が並んでいます。

そういった「危うい今年度」を傍目で観ながら、
都心や湾岸のマンション市場は今まさにミニミニバブルの頂点付近。
私から見ると、かなり危うい状態になっています。

最近、渋谷区と目黒区のマンションをくまなく見て回りました。
山手線の外側でも、坪単価は300万円超えが当たり前になっています。
モノによっては400万円もあり得るでしょうね。
2012年から2013年の文京区水準になりつつあります。
それで勢いよく売れれば、そこが相場観になります。
その水準が5年でも10年でも続けば、それが安定した市場価格。
しかし、そんなマンションはほんの一部の人しか買えません。

都心も湾岸も、今は「高値掴み」のデンジャラスターム、
というのが私のもっている印象。
こういう時は、できることなら静観が一番です。
もし、売りたいマンションがあるのなら、売っておくべし。
私のまわりは、みんな売っています。よくいのは「今が最後の売り時」。

しかし、私にとっても困った時代です。
アレコレと迷っていただくような市場環境だと、
有益なアドバイスを提供できるのですが、
今のように「総値上がり」の状態だと「様子見」しか手がありません。
まあ、ほんの少しは「買ってもいい」マンションがあるにはありますが。

そんなわけで、マンションレポートの新作は「渋谷区総集編」。
もうすぐ「目黒区総集編」も出ますから、ご期待ください。

渋谷区・総集編
全7物件
価格 2,590

■ザ・パークハウス 元代々木町,■グランドメゾン上原レジデンス,■ザ・パークハウス上原,■クラブスイート恵比寿,■ヴィークコート原宿Hills,■広尾ガーデンフォレスト椿レジデンス,■ザ・パークハウス 広尾羽澤、以上の7物件を収録

5月13日(火)バリ島不動産投資セミナー開催
お申込みは、こちらから

 

ブログよりも過激な発言をお求めの場合は
私のツイッターをご覧ください。
twitter.com/SAKAKIATS

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。


2014/4/25 13:58 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

しばらくいらっしゃらないので、どうなさったのかと思っておりました。
足立区は確かに・・・生活保護世帯が多いようですね。
でも足立区からは湾岸に移れないので、どこから来ているのやら。
私のところへ有料相談に来る方やセミナー参加者は、
年収1500万円以上が多いようなので、湾岸検討者はほぼいません。
一度は見に行かれた方が多いようですが「あそこはどうも」という拒否反応。
勝どきですら敬遠されます。
まあ、ああいう街が好きな方が集まって住んでいるのでしょう。
有明なんて、今のままでは100年経っても成熟しませんね。
オリンピックが終わったらどうなるのか・・・
月島も、100年かかってやっとあの状態。

東京の街が衰退する、というのは明治維新直後の一時期以外なかったこと。
また、1億人以上の国家が激しい人口減少に見舞われるのも、
世界史上初めてのことではないでしょうか?
考えれば考えるほど、恐ろしいですね。
一足早く現役を終えた団塊さんたちが羨ましいですよ(笑)。

また、コメントをください。ごきげんよう。

榊淳司

2014/04/25 16:00 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

ここには、
「底光りのする下層社会が、静かに横たわっている」

文藝春秋・2006年4月号に掲載された、
《ルポ下層社会》著・佐野眞一の一節です。
「ここには」とは「足立区」のこと。

23区の所得格差を見てみますと、
最高位が、港区で630万円。
最低位が、足立区で150万円。
その格差は、4倍余り。

所得金額は、
2009年の「1人当り」の課税所得であり、
「世帯」ではありません。

GENTLIFICATION。
都心部から追い出されて、足立区ですか。
私は都下へ、都落ち。
今は、もっと広がっているかも知れません。

さて、
ネコも杓子も、湾岸へ大移動の昨今です。
が、今なぜ湾岸なのか、わかりません。
都心に近い。通勤便利。
それだけではなく、将来高値で売れそう。
だから資産価値も。

首都圏直下の大地震は、どう割り切ってしまったのか。
世界一の建築技術による最新工法、
地震対策万全だから、ビクともしないさ。
なら、いいんだけど。

大地震で大津波が東京を襲ったとき、
湾岸タワーは防波堤になってくれる。
なんてこと言っている人もおりますが。
ま、ヒトゴトですからね。

湘南に住んでいる人が言っておりました。
サビが早いと。
ま、理にかなっています。

今期2’ND QTR のパフォーマンスを見て、
次の消費税UPの是非を決めるそうです。
が、すでに世界は増税を織り込んでいるのでは。
株式相場も、外為相場も、もはや。

いまさら、ヤーメタでは、収まらんでしょう。
どうでしょうか?

ここ一週間、野暮ようで。
バタバタと、人並みに。

ごきげんよう。

2014/04/25 15:08 | by まろたん

RSS feed for comments on this post.


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。