新築マンション分野は住宅市場のガラ系である

私という人間は、人生のある時点から物欲がかなり薄くなりました。
というか、身の回りにガチャガチャと物があるのが嫌いです。
最小限のモノを置いて、あとはスッキリしていたい方です。
若い頃は違いましたね。
特に、まだ20代のサラリーマンの頃は、当時やたらとあった
「ディスカウントショップ」に行くのが大好きでした。
今でいうドンキホーテみたいなお店です。
そこで「これもいいな」「あれも欲しい」と何かを探していました。

20代の終わり頃に、実質収入が一気に10倍くらいになりました。
まあ、何でも買える状態です。
でも、そうなると不思議なことに何も欲しくなくなります。
今またお金に不自由な状態に戻っても、それは変わりません。
ロレックスやメルセデスを欲しいと思ったこともなかったですね。
カシオやホンダで十分に満足しています。

私が自分のために買うモノで一番多いのは本です。
でも、新刊書を買うことはめったにありません。
よほど必要に迫られた時くらいです。まあ、年に1回あるかないか。
自分で楽しみに読む本は、ブックオフの105円(今は108円?)か、
読みたい本をアマゾンで探して中古で買います。

私が良く一緒に飲む弁護士先生も本が大好きですが、彼は電子書籍派。
「いやあ榊さん、電子書籍にも『積ん読』があるとはしりませんでした」
と、ご自身で買ってスマホに入っているリストを見せてくれました。
何十冊と持ち歩いておられます。そこはちょっとうらやましい(笑)。

私は「スマホの奴隷」になりたくないので、紙の本を持ち歩きます。
これは目には優しいのですが、モノの始末が大変です。
何年かに一度、家族中の不要な本をまとめてブックオフに運びます。
アマゾンで売れるようなマシな本は、なるべく売りに出します。

最近、事務所に置いてある広告関係その他学術書などもアマゾンに出しました。
「これも売ってしまえ」と思ったのが、私が編集に協力した雑誌類。
週刊誌などは値がつかないのですが、月刊誌の中にはビックリ価格で
売れるものも多少はあるのです。
自分の原稿やコメントが掲載されているものなので、
ずっと取っておいたのですが、ちょっと量が増えすぎ。
それに、そういったものを取っておいても使い道がありません。
ちょっと古くなれば他人にはまったく価値のないものです。
だから、売れるものは売る、ということにしました。
メディアのみなさん、ごめんなさいね。

しかし、自分が子どもの頃は何でもかんでも欲しがったなあ、
と時々懐かしく思い出します。
家がさほど裕福ではないのと、父親の方針で「余計なもの」は
買ってもらえませんでした。
自分の子どもたちを見ると、あまりモノを欲しがらないのでやや驚きます。
まあ、必要なものは買ってやっているからでしょうか。不思議。

日本という国は、全体的にモノが足りてきたのかもしれませんね。
自動車が売れなくなったのは若者が自動車を欲しがらなくなったから、
という理由づけがなされますが、もう少し突っ込んで考えると、
「必要ではなくなった」からかもしれません。

私の学生時代なんて30年以上も昔のことですが、
車を持っている奴は彼女を作りやすかったし、その後もスムーズ。
さらに、自分の部屋に電話を引いていることも必須。
あの頃は、電話を引くだけで15万円くらいかかりました。
車なし、部屋なし、電話なし、もちろん金なしの私が、
女の子とうまくやるには相当の努力を要しました。
もちろん、口八丁手八丁のコミュニケーション能力で
七難八苦を乗り越えてそれなりによろしくやっていましたが(笑)。

今の学生たちはどうしているのでしょうね?
スマホがあれば簡単に連絡が取れ、コミュニケーションができます。
車で遊びに行かなくても、街中に楽しいスポットがいっぱい。
苦しいアルバイトを続けて車を買う必要も無し。

そのうち、車どころか家を買う必要もなくなりますね。
今でも地方都市の賃貸住宅は驚くほど空室だらけ。
もう「借りてくれるのならいくらでもいい」くらいに
考えている大家さんがいっぱいいることだと思います。
首都圏でも、ちょっと都心から離れると家賃はバカ安状態。

新築マンションを購入する際に、「貸せばいくらか」
ということをお考えになる方も多いはず。
特に都心に立地するタワーマンションの場合はそうですね。
「○年先に海外転勤があるかもしれない」
その時はもったいないから賃貸に回そう、なんて想定しておられます。
モデルルーム販売担当者も「想定家賃表」みたいなのを用意しています。
みなさん、あれにすぐ騙されますね。

まず、あれは新築のピカピカ状態で貸した場合の想定家賃。
購入者が数年住んだ後の家賃は、当然安くなります。
次に、だいたいがちょっと高め。
さらに、実際のところは値下げ交渉やフリーレントが入ります。
加えて、管理費や修繕積立金をそこから負担しなければいけません。
もちろん、固定資産税もかかります。
何か設備が壊れたら、そこから費用を出して修繕します。
賃貸募集に当たっては、広告費を請求される場合もあります。
つまり、モデルルームで見せられた想定賃料×12は、
ほぼ絶対的に賃貸収入にはならないのです。

何年か前、仕事仲間が赤坂のマンションを事務所用に借りました。
築30年くらいでしょうか。25㎡ほどで家賃7万円。
マンションですから、その家賃で住んでいる人もいるはずです。
私が東京へ下ってきた頃からは想像もできない金額です。
あの頃、7万円で住めるマンションは、少なくとも山手線から
電車で15分は離れていました。今は赤坂です。

新築マンションの市場だけみていると、そういう地殻変動が見えません。
しかし、日本人の住宅に関する感覚は確実に変化しています。
「住まいを探す」ということが、昔に比べてかなりお手軽なのです。
特に、賃貸市場が最も早く変化している気がします。
その次が中古住宅市場。最後が新築住宅。それもマンション。

新築マンション市場は、もっとも時代からズレている気がします。
原因のひとつには、広告の影響があります。
住宅の中でもっとも多くの広告費を使えるのが、
新築の大規模なマンションです。それも都心物件。
何億円という予算でキャンペーンを展開できます。
だから、本当の実力は100しかないものを、一般人に
150くらいだと洗脳してしまうことができます。
もちろん、それは幻想なのですが、一般人が幻想を抱いている間は
その価格が客観的な市場性を持ちます。

しかし、その足元では賃貸住宅の賃料が下がったり、
中古住宅の価格が徐々に崩れたりもしています。
何といっても、日本全体で住宅は余っていますから。
これは東京でも郊外でも地方でも同じこと。
大きな地殻変動は少しずつ可視化しています。
そして、この不動産業界にとってかなり「不都合な真実」を
多くの人が知ることとなった後には、
都心においてでさえ、不動産価格の大幅な下落があるでしょう。
その時は刻一刻と近づいています。

そんな中で、マンションレポートの新作をリリースしました。
今回の対象エリアは「目黒区」。いい住宅地がたくさんあります。
でも、今はちょっと市場がリスキーですね。
このミニミニバブルが終わった後には、それなりの下落局面が予測されます。
だからこそ、物件選びは慎重に行いたいですね。
私のレポートをぜひ参考にしてください。

目黒区・総集編
全11物件
価格 3,790

■プラウド自由が丘,■ザ・パークハウス 目黒三丁目,■セントラルレジデンス目黒学芸大学,■ディアナコート学芸大学レジデンス,■ジオ代官山,■プレシス駒場東大前,■ブランズ中目黒,■レ・ジェイド下目黒,■ブランズ碑文谷三丁目,■プレサンスロジェ池尻大橋,■サンウッド学芸大学テラス,、以上の11物件を収録

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2014/4/28 17:33 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん

コメント、度々のメールともありがとうございます。
私はどうも図書館が苦手ですね。息子は図書館小僧ですが(笑)。
「何でも読める」のは大きな魅力なのですが、
返却日があるのと「もし無くしたら」というプレッシャー。
まろたんさんのように素浪人になったら使うかもしれません。

若い方が建設現場に集まらないようですね。
ガテン仕事にはガテン仕事なりの面白さや、
やがて親方になる、という手短な夢もあるのに。
ちょっと気はしが聞いていれば、すぐに独立できます。

飲食店もバイトが集まらずに苦労しています。
もう、争奪戦だそうです。
この国、低賃金労働は山とあるのに就労者がいない。
もっと高齢者を使うべきですね。
このままでは人手不足不況がやってくるかも(笑)。

2%は今のままではやりそうですね。
ちょっとばかし税収を増やしても
日本経済がダメになれば元も子もありません。
財務省の官僚は賢いようで浅はかですな。

また、コメントをおまちしてます。
それでは、ごきげんうるわししからんことを。

榊淳司

2014/04/30 17:32 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

本をよく買ってしまうとか。
私は自宅から徒歩2分の所に、市立図書館があるので、
ネットで予約し、もっぱら図書館利用派です。
蔵書30万冊ですから、概ね待たずに入手できます。
最近の若いもんんは、本を読まないのが多いとか。

さて、消費税増税後1カ月、まあまあのようですね。
そして来年の10%ですが、
経済界はもはや実施を見込んでいるのではないかと。

自宅そばの大手スーパーは、増税前は内税表示でしたが、
今は外税、税抜き価格で表示になりました。
この方法ならば、この先増税されても対応がカンタン。
ほぼヤルナと、経済界は見ている上での対応ではと。

たったの2%UPですから、出来ない、やらないでは、
デメリットの方が大きいような感じます。
来年は、統一地方選挙と自民党総裁選の年。
多少、バラまきながら、正面突破ではないかと。

建設作業員の不足解消のため、
外国人労働者を受け入れることが決まりました。
2020年オリンピックまでの時限措置だそうで、
これによって、建設工事は進んでいくのでしょうか。

それにしても、小ぎれいな仕事ばかり求める風潮は、
仮に不況になっても、大きな変化はなさそうです。
英国病ならぬ、ニッポン病という現象であり、
先行きはドンズマリ、ただ亡国を待つだけですね。

その日暮らしのプータロばっかしですな。
アベちゃん。
と、呼んでみただけ。

ごきげんよう。

2014/04/28 22:39 | by まろたん

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