日本を救う若者を救え!

案の定、今日の東京市場は大荒れでしたね。
比較的マシだったアメリカ経済にいくつか悪い動きが出て
すわ「世界同時不況か」みたいなパニック相場。
まあ、そんなことはないのですが、それが人々の気分ですから。
日本はずっと不況なので、多少のことは慣れっこですね。
どうしてこんなに景気「不感症」になってしまったのか(笑)。
きっと、四半世紀前のバブル崩壊トラウマを引きずっているのでしょう。

私は多分、あの平成大バブルで美味しい思いの出来た
もっとも若い世代だったのではないかと思います。
バブルの絶頂である1990年に27歳でしたから。
その後1991‐92年入社組は、俗に「バブル採用」と呼ばれています。
1969-1970年(昭和44-45年)生まれの方々。現在44-45歳。
「あいつはバブ採だから」というのは、あまりよくない意味。

その後、これも俗にいう「失われた20年」という時代。
実際のところ、「失われた24年」になっています。
その間、「ITバブル」と不動産「ミニバブル」がありました。
でも、平成の大バブルに比べればその規模は数分の1以下。

この間、日本のGDPはほとんど成長していません。
500兆円あたりを行ったり来たり。
毎年10数%の成長を続けた支那に牛蒡抜きされて世界3位に転落。
その支那も、今は7%成長さえ怪しくなってきました。

しかし、日本国内に富は集積されていきます。
経常収支はほとんど黒字でしたから、海外からお金が
たっぷりと流れ込んできました。インフラの整備も進みました。
個人資産は今や1600兆円。そのほとんどは老人のもの。
一方、住宅のストックも積み上がっています。
分譲されたマンションは全国に約600万戸あるとか。
まあ、それはいいとして。

平成大バブルが崩壊してよりこの方、何度か就職氷河期がありました。
学校を卒業してもまともな就職がない、という状況。
私が経営していた会社も、新卒を採用することがありました。
氷河期と呼ばれる時代に採用した方は、押しなべてみな優秀。
本来なら、もっと大きくてまともな会社に就職できたのに、
時代が不況だったばかりにウチのようなところに来ざるを得なかった・・

さて、今の30代40代の方の「正社員比率」はどれくらいなのでしょう。
統計資料によると、およそ3割が非正規雇用。
では、残り7割は正社員として働いているのでしょうか?
身の回りを見ていても、とてもそんな風には感じません。

そもそも、私が就職する頃は「非正規雇用」なんて言葉を
耳にすることはほとんどありませんでした。
学校を出たら正社員で働くのが普通。
「派遣社員」というのは、「組織に所属したくない」みたいな
ちょっと変わった発想の方が好んで選んでいた・・ような。

今、多くの人は正社員になりたくても成れない状態ですね。
特に35歳を過ぎたあたりから、急に採用選別が厳しくなります。
特別のスキルを持っている方は別ですが、ただの営業とか事務は
まともな企業の正社員に採用されるのはかなり困難。

20代でも新卒で就職した企業をやめてしまうと、
9割がたが以前よりも待遇を落とした職場を
選ばざるを得なくなるのではないでしょうか。
今の時代、相当のスキルがないと転職で給料アップなんて
「夢のまた夢」になっていると思います。

そこに、話題によく上るブラック企業の問題がありますね。
居酒屋チェーンの「和民」、衣料品大手の「ユニクロ」。
最近では「ヤマダ電機」も問題にされています。さらには
「東京ディズニーランド」の職場環境はかなりブラックだとか。
ブラック企業は大量に若者を採用して、大量に潰してしまいます。
日本には人材しか資源がないのに、その大事な資源を目先の利益のために
無駄に費消しているように思えてなりません。

ある企業は、新卒で採用した社員が「うつ病」などで退職する時、
数カ月間は「休職」させるといいます。
その間の生活保障手当は、ほとんど健康保険から支給されます。
国の社会保障制度にただ乗りしているワケですね。
そんなことを許していれば、消費税をいくらに上げたって追いつきません。

さらにいうなれば、ブラック企業に就職して「社会人の入り口」で
心身とも大きく傷ついた若者が、その後まともな会社に採用され、
さらに20代後半で結婚して子どもを2人以上作ってマンションを買う、
なんてことになる確率は何%あるのでしょう?
ブラック企業あるいは、それに類する企業の存在は、
出生率が下がり続けているひとつの原因ではないでしょうか?

また、儲かっていないブラック企業というのは
ほとんど聞いたことがありません。
若者を最低賃金で使い倒しているのですから、
儲かっていなければウソですよね。
儲かっているから、お金をかけて採用活動もできます。
採用広告に騙されて、多くの若者が潰されてしまうのです。

若い人が結婚しないのも、子どもを作らないのも、
その最大の理由は収入が足りないから、と言われています。
まあ、価値観の変化もあるでしょう。
昔は貧乏で子育てすることにさほどカッコ悪さがありませんでした。
というか、日本全体が貧しかったから。
今は、ある程度収入がないと結婚も子育てもやりにくそうです。

私は、日本が元気を取り戻すには、もっと若い方が
暮らしやすい世の中を目指すことが第一かと思います。
諸先輩方には申し訳ないのですが、たとえ高齢化社会といえども
老人は社会の主役ではありません。あってはなりません。
今は何も生み出さず、やがては消えゆく方々よりも
これから生命や資本を生み出す若者を優遇すべきです。
社会福祉のあり方も、現在は圧倒的に老人優遇です。
なぜなら、ジジババのほとんどが投票所に行くから。

今、この日本の住宅ストックはかなりのボリュームになりました。
昔のように「生涯賃金の3~4割」が住宅に消えるという、
「マイホーム高コスト時代」はすでに終わりつつあります。
これから社会人になる若者たちは、一生を賃貸で暮らしても
それなりのクオリティを備えた住宅に住み続けられるはず。
であれば、次にやるべきは結婚と子育ての低コスト化。
極端な言い方をすれば、老人住宅よりも保育園の増設に、
より手厚く予算を振り向けるべきではないでしょうか?

さらにいうなれば、ブラック企業のような「やったもの勝ち」的な
企業をなくすための労働行政および法制度の改革が必要です。
例えば、サービス残業を強いた場合は刑事罰を与える。
あるいは、離職率の高い職場は数カ月に一度労基署が査察、とか。
ブラック企業は、その存在自体が社会悪です。
早急に改善しないと、日本社会の根底が揺らぎます。

もうひとつ。「派遣社員」という制度の見直しです。
これまで、派遣社員を受け入れる企業にとって、
どんどん使いやすく制度を変えてきました。
つまり、派遣社員にとって不利な改正ばかりだった。
これを逆にすべきです。
派遣社員というシステムは縮小・廃止の方向へ向かわせましょう。
その代わり、企業の解雇規制を大幅に見直せばよいのです。
ほんのちょっと、規制を緩めて首にしやすくするだけでOK。

ありていにいえば、企業が正社員として
若者を雇用するリスクを小さくしてあげるのです。
収入が安定すると、結婚や子育てがしやすくなりますから。
そして、解雇規制を緩めることで、多くの職場から
「働かないオヤジ」どもを一掃できます。
「同一労働同一賃金」の原則を徹底すべきでしょう。

今の日本は既得権を守ることによって社会が老化しています。
老人を優遇し、役所をのさばらせ、社内の無用オヤジを居すわらせる。
若者に機会を与え、大胆に規制を緩和し、人材の適材適所。
日本を蘇らせるには、そういうことが必要かと思います。

ブログよりも過激な発言をお求めの場合は
私のツイッターをご覧ください。
twitter.com/SAKAKIATS

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。


2014/10/16 16:08 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

確かに、「天は自らを助けるものを助く」というのは基本ですね。
でも、ブラック企業はそもそもの人間倫理に反します。
最近「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文春新書)を読んで
つくづくにそう思いました。

実は私も業界全体がブラックともいえる
「マンション広告」というフィールドで、
長年精神を傷めてまいりました。
まあ、本物のブラック企業に比べれば、ヤワです。
しかし、世の中の理不尽は十分に味わえます。

香港のデモはジクジクと続いていますね。
今日のニュースで笑えたのが「米国陰謀説」。
最近、わが家ではやっているジョークは
何が起こっても「それはアメリカの陰謀だ!」ということ。
某国立大学付属高校の社会科教師が
東日本大震災の津波を「アメリカの陰謀だ」と語ったそうで
生徒たちにはかなりの大うけ。
わが家でもバカ受け。

人のせいにするのは、傍で見ていても滑稽ですね。
ワカモノもまずは自助の精神が必要です。
しかい、ロートルを甘やかす必要もありません。
私も、ワカモノからみると立派なロートルですが。

ごきげんよう。 榊淳司

2014/10/17 14:13 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

まさに「今」を見据え、ど真ん中のコメントですね。
が、総論賛成、各論反対となってしまいます。
これが「生身」の現実でしょう。
しかしながら指摘し続けることに意義はあると思います。

「ハングリーはアングリー」と言います。
ワカモンに「ハングリー精神」を求めたいものですが・・・。
子どもではないのだから、待っていては何も得られません。
皿をハシで叩いてればご飯が出てくる。
それが許されるのは、子どもだけです。

今、ホンコンのワカモンが行動しています。
国こそ違えど「同時代を生きる」この国のワカモンは、
それを見て、どう思っているのでしょうか?

闘わずして得られるものに、価値はありません。
闘うからこそ、たっとい、のです。
それは「暴力」ではない。
極めて「暴力的」ではあっても、肯定されるべき矜持です。

「無抵抗・非服従」と言ったジャーナリストがましたが、
奴隷の、たんなる「サボタージュ」ではないでしょうか。
私は煽っている訳ではありません。
この国のワカモンの動静をレビューしているだけで、
その是非・正当を言いたい訳でもありません。

ひとは、
みずからが切り開いた世界でしか、生きてゆけません。
これは、悠久の、普遍の「ことわり」でしょう。
この宇宙は、万物は、誠に公平で美しい。
ホンコンのワカモンの動静を見て、ふと浮かんだ思いです。

仏教は、すべての存在の「認識論」であります。
老境の「とばぐち」にたたずみ、独り静かに思念する。
騒がしく、ざわついた世にあればこそ。

> いろはにおえど、ちりぬるを。
> だれのよにそ、つねならむ。
> うゐのおくやま、けふこへて。
> あさきゆめみし、ゑひもせすん。

これぞ、まさに、
ニッポンの「色気」であります。

ごきげんよう。

2014/10/16 21:41 | by まろたん

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