マンション価格は不自然に上下するもの

マンションの価格というのは、多分に「空気」に左右されます。
あの平成大バブル以降、個人所得というのは緩やかに右肩下がり。
この20数年でジワジワと下降してきました。
下の図は厚生労働所が出している資料です。

2-1a

ところが、マンションの価格というのは下がったり上がったり。
1991年のバブル崩壊後、11年間はダラダラとした下落が続きました。
2002年が底。ところが、世界的な「カネ余り」で2003年から上昇。
2008年のリーマンショック前まで、勢いよく上がりました。
日本には海外のファンドマネーが流れ込んで「ミニバブル」。
そして、リーマン後はデベの倒産ラッシュと値引きの嵐。
2012年の半ば過ぎまでは緩やかな下落傾向。
下の図は2007年までしかありませんが。

graph0804_1

それが2013年のアベノミクスから潮目が変わりました。
今回の上昇原因は、建築費の高騰。
2010年頃の建築コストに比べて5割くらい上がった感じでしょうか。
当然、マンションの販売価格にも反映されます。

ところが、リーマンショック後の新築マンション供給は、
その軸足を郊外から都心部へ移していたのです。
購入層の中心は、一般ピープルから富裕層へと変わっています。
だからアベノミクス以降、実によく売れました。
まあ、あの平成バブル以降では、もっとも調子よかったと思います。

さらに、今回の需要層には「相続税対策」と「外国人」が参入。
都心や湾岸のタワーマンションは面白いように売れました。
しかし、郊外はほとんど影響なし。
ミニミニバブルの波は、多摩川を渡って武蔵小杉までは行きました。
でも、その南側の川崎区エリアではサッパリ。

つまるところ、実需層はちっとも潤っていないから
35年ローンを組んで新築マンションを買おうというマインドが、
都心のリッチな富裕層ほど盛り上がってはいないのです。
だから、郊外型大規模マンションはボロボロの状態。
あっちこっちで値引き販売が復活しています。
それでも、たいていの物件は毎月何戸かでも契約できています。
値引きしてもらっても明らか割高なのに買っているのです。

当たり前ですが、この20数年ずっと個人所得は減り続けています。
「自分で買って住もう」という人々の財布は細っているのです。
本来なら、住宅価格もそれに合わせてずっと下落していってもいいはず。
ところが、前回のミニバブルや今回のミニミニバブルでも、
私に言わせれば不自然に高騰しているのに、ある一定数は売れています。
「今は高いから」と分かっていながら買っている人もある程度いるということ。
販売担当者に「これからもっと上がって買えなくなります」なんて、
うまくだまされている人もかなりいるはず。
そういう人は、ハッキリ言って「バカを見る」可能性が高いですね。

マンションも株と一緒で、みんなが買っているときに買うのは下手です。
株は「通りで人が血を流して倒れている時に買え」と言いますね。
たしかロスチャイルドのご先祖様のご託宣でしたか。
マンションも、みんなが買わずにモデルルームに閑古鳥が鳴いている時に
「0000万円なら買いますよ」とふんぞり返って買い叩けばいいのです。

「それはいつでしょうか?」
少なくとも、今ではありませんね。今は逆。
モデルルームの見学が予約でいっぱいの時には、行かない方がいいですよ。
不動産屋さんにエラそうにされて不愉快な思いをするだけ。

チャンスは、早ければ来年にでもやってくるでしょう。
回らなくなったマンションデベが倒産、という事態もあり得ます。
すでに「業転」が行われています。いわゆる業界内転売。
これって、リーマンショック後によく見られた現象。
販売中のマンションを、エンドではなく業者に丸ごと転売。
よくあったのは、販売価格の6割で投げてしまう業転。
買った業者は元の価格の2割引きで再販します。ああ、懐かしい。
今はまだ、そういうドラスティックな業転はありませんが。

今、どうしてもマンションを買いたいのなら、
じっくりと中古を探すのが一番だと思います。
都心の中古も上がっていますが、探し方によってはデモノがあります。
不動産というのは、あわてて動くとロクなことになりません。

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2014/11/19 17:02 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

2015年のまろたんさんは「動」ですか・・・・
円高回帰はありそうな気がしますけれどねえ。
私はエコノミストではないので、誰も聞いてくれませんが。

黒田バズーカ、株価をバブらせていますね。
ところが、不動産に及んでこない。
というか、株価ほど及んでいません。

バブルはその時よくても後からツケが回りません。
「それは株を買った奴が損をするだけだからいいじゃ有馬温泉」(使い方OK?)
となればいいのですが、景気が悪くなりますからね。

さて、選挙で野党の動きが面白いですね。
弱小政党の先生が次々と民主入り。
ただでさえ選挙互助会化しているのに、さらに有象無象集団へ。
「みんなの党」って、いったい何だったのかしら?
私は入れたことがないのでタダタダ滑稽なだけ。
でも、入れた人は怒っているでしょうね。

急に寒くなってきました。ご自愛を。 ごきげんよう 榊淳司

2014/11/22 18:13 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

グラフの通り、ここ20年、個人所得は下げですね。
可処分所得は、保険料など控除項目の上げを考えると、
更に下げているでしょう。

不動産価格はバブルを除けば、大きくはないが上下があり、
相対的な高値つかみの人もいた。

この20年。
住宅ローンの金利動向は、どうだったのでしょうか。
政府による「住宅減税」の有無。
そして人口動態、つまり住宅購入適齢期の年齢層の状態。

以上の要因はともかくとして、
日本人の住宅「所有」願望は、根強いようですね。
ま、やはり家族をもつとね、人情としてはわかる。
そして、日本人独特の、横並びの「しあわせ」観。
わかるわかるでは、話が終ってしまうけど、
何とも、ほろにがい、ですな。

そこんとこを、不動産屋はくすぐって来るから、なんともね。
でも、人生八〇年として「家」の存在は大きいですよ。
いつ、どこに、誰と住んで、どんなふうに暮らしたか。
その歳月、その日々、思い出の中核でもありますからね。

やはり、じぶんの家族を持つとね。
ま、一回ポッキリのじんせいですから、
いいんじゃ「ありま温泉」。
(ここにもっていきたかった訳ではないのですが、ついね・笑)

さて。
黒田バズーカ・2が、いよいよ深みにハマって行ってます。
いつ、どのように、抜けるか?
もはや、抜けること能わずか?
抑えつけている金利が、いつまで続くのか?
FX・円は、どこまで安くなるのか。いや、するつもりか?
「確信犯」ですから。

或るエコノミストは、金融資産の9割を外貨建てにしたと言う。
つい1年前、今が「今世紀最後の円高だ」との意見があり、
現実は、スルスルと3-4割方下げ、まだ進みそうな相場。
もはや、円高回帰を言う向きは、ごく少数派か。

そろそろ私も、
「保険」を掛けようかなと思ったりする、今日このごろです。

総選挙は、おそらく低調。
自公で3分の2、なんて。
選挙結果によっては、自民に流れる御仁もでるかも。

さあ、2015。
私は「動」です。
ゆっくり、じっくり、一歩づつ、踏みしめるように。

ごきげんよう。

2014/11/19 19:00 | by まろたん

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