最初に崩れ始めるのは賃貸市場

私は首都圏と近畿圏で販売される新築マンションについて
各物件別に資産価値についての考えをまとめたレポートを、
一般の方々に向けてネット上で販売しています。
レポートを書くにあたっては、ほとんど現地を調査します。
なぜなら、マンションの資産価値というのは9割が立地で決まるから。

山手線の内側は南が港区、北が文京区。真ん中が新宿区と千代田区。
あと、渋谷区や品川区、豊島区、目黒区、北区、台東区の一部が入り込みます。
このうち、私がカヴァーしていないのは台東区だけ。
つまり、山手線の内側で販売されている新築マンションの現地は、
ほぼすべてをチェックして、レポートにまとめているわけです。

特にリーマンショック後、新築マンション市場の主役は郊外から
都心及び湾岸エリアに移ってきました。
そして、今回のミニミニバブルの舞台も都心と湾岸。
7月以降にしぼみかけていたのが、黒田バズーガ2と消費税先送りで
すこしだけ延命している気配がうかがえます。
これは中期的に見て歓迎できない兆候です。

バブルというのは、所詮はバブルです。弾ければ雲散霧消。
であれば、小さいに越したことはありません。
「濡れ手にアワ」と儲けようとしている輩は別ですが。
ところが、黒田バズーガのおかげで金融面はバブっています。
日経平均がここ十数年来の最高水準にあるのがその証拠。
あの高水準に見合ったファンダメンタルズがあるのか、疑問ですね。

その金融バブルが不動産に及んできそうなのです。
山手線内の新築マンションは、私がレポートを発行し始めて以来の品薄。
しかも、新しく売り出される物件は軒並み「新価格」。
「新価格」というと、リーマン前の「不動産ミニバブル」の時の呼び方。
あの時は、海外からのファンドマネー流入がきっかけで
不動産価格が全般的に値上がりしました。
今回は、主に建築費の高騰という予測できない事態がキッカケ。
さて、いつ終わる(弾ける)のでしょうね。

解散が決まる前には「遅くとも来年10月の消費増税後には弾けます」。
というようなことをお伝えしていました。でも、解散と延期でモヤモヤに。
今度の増税時期には「景気条項」をつけないようですが、分りませんよ。
いよいよ2年4か月後の増税時期が近づいてくる頃、今以上の不景気が・・・
それでも、財務省の思惑通り増税をしてしまったら、日本経済は墜落確実。

まあ、そんな先のことよりも目先のマンション市場を心配しましょう。
まずは「新価格に物件は売れるのか?」という目の前の問題。
残念ながら、解散が決まるまではひどく動きが鈍くなっていました。
ところが、現下の販売動向を見るとやや方向感覚に迷いが生じています。
盛り返してしまうかもしれないのです。わかりませんが。

ただ、確実に言えることは郊外市場の不振は今後も続くだろう、ということ。
郊外は「実際にローンを組んで購入して自分で住む」という人たちが、
需要層の中心です。投資で郊外の新築マンションを買う人はほぼいません。
ところが、都心の場合は外国人に相続税対策、それに純粋な投資、
さらにはセカンドハウスとしての新築マンション購入が需要の中心。
こっちは個人所得の増減に関係なく、金融情勢と世界経済に左右されます。

ありていに言えば、リーマン後の都心新築マンション市場は、
主役が実需から投資系に交代した観が見て取れるのです。
そして、相続税の課税基準変更が決まったここ1年の動きは、
さらにこの傾向を加速させました。

ここで私がもっとも危惧するのは、高級賃貸市場です。
実需ではなく、そういったニーズで買われた都心の新築マンションは、
その大半が賃貸物件として市場に出され、借り手を見つけることになります。
まあ、賃料は最低でも月額20万円以上のクラスでしょうか。
そういったマンションの家賃を自分の収入から払えるのは
サラリーマンなら年収が1000万円以上の方々でしょうね。
絶対数はそんなに多くありません。

私が見るところ、こういった高級賃貸は物件がかなりだぶついています。
不動産投資の場合、家賃を払ってくれる人がいない物件(空室)は、
負の資産しか生まない不良債権みたいなもの。
実のところ、水面下では値崩れが起きていると見ています。

今後、この賃貸市場の需給の緩みはよほどのことがない限り拡大します。
なぜなら、需要が増える理由はあまりなさそうですが、供給は確実に拡大。
賃貸人を求める物件数は、着実に増えていくからです。
そして、現実に起こっているのが家賃相場の下落。

実のところ、賃貸相場を確実にとらえた統計データなるものは、
この世に存在しません。多くはただの推計値です。
現実にどれだけ下がっているかは、表面的な動きのみで推定します。
つまり、募集価格の推移を見守るしかないのです。
そこでは、今のところ大きな動きは現れていません。
でも、いずれ出てくるはず。

私はかねがね「不動産価格の暴落が起こるなら賃貸から」と考えています。
現に、郊外エリアではかなりこの動きが現実化しています。
札幌では家賃相場がビビッドに値下がりしているそうです。
その最大の理由は、供給が多いから。
都心でも、いずれはそうなることでしょう。

山手線の内側のマンション建築現場を訪ね歩き
「ああ、この物件も完売か」「え、これも売れたの」と思うとき、
「本当に住む人が買っているのかなあ」と疑問に思うことは多いもの。
ところが、いざ入居開始となると3か月たっても半年たっても、
何割かの住戸には人が住んでいないケースが多いのです。
あれらは多分、実需以外のニーズで買われて、住む人が見つからない物件。

都心のマンション市場は現状、そういうやや歪な様相を呈しています。
まあ、日本人の富裕層は豊かだし、ちょっとくらいの空室では慌てません。
でも、いつかこの現実に気付く時が来るでしょう。

さて、私の「資産価値レポート」の販売方法に、新たなシステムを構築しました。
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2014/11/27 0:18 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

確かに低金利のままインフレに突入させるのが財務省の狙いかもしれませんね。
それこそ連中にとっては「理想的」に見えるはず。
しかし、経済学の常識ではインフレ率と金利はほぼシンクロするもの。
連中の狙い通りにいけば、それここ異次元の大成功。
世界中のエコノミストが「ニューケース」と出会うことになります。

今、オフィスビルを外国人が買っているそうです。
一昨日、某週刊誌がそれについてコメントを求めてきましたが
「私は住宅が専門なので、オフィスについてはよく分らん」と断りました。
日本の不動産は東アジア視点で見れば「安全、安心、高利回り」だそうで。
しかし、円安から円高に転じたら、奴らは一斉に手放すでしょうね。
だから、外国人の買いはあまり歓迎できません。

尖閣は実戦場にはならないと思います。
なったらそれこそ米中戦争です。
オバマが尖閣を「安保条約の適用範囲内」と言明したことで
支那には当面勝ち目がなくなりました。
今やっているのは、単なる嫌がらせですね。
でも、アメリカの政権が変わったらどうなるか・・・
共和党なら大丈夫ですけど。

明日はまた寒くなるようです。ご自愛を。

ごきげんよう 榊淳司

2014/11/27 17:13 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

確かに賃貸からコケてゆくのでしょう。
礼・敷ゼロ。仲介手数料・0.5月。
こんな借り主に譲歩した条件の物件が、出て来ているようですし。
そのうち「無条件降伏」物件などが出て来たりして。(笑)
ポツダム受諾物件なんて。
ま、敗戦処理はキツイもの。

ま、冗談はともかく。
黒田バズーカ・2が、10月に炸裂しました。
まさに「異次元=未知未踏の戦場」に打って出たわけです。
長期金利が0.5%未満に抑えられ、すっと円安に動きました。

目先、更なる円安に動く、と言う読み筋が多いですね。
もっとも、黒田バズーカの狙いも、そこでしょうから。
と同時に、その上でインフレを狙っています。
ですから、この先「インフレがどの程度進むか!」でしょう。

仮に、目先、インフレが4-5%となっていったばあいは、
インフレ・ヘッジで「現物資産」に買いが入るのでは?
金融資産家が、不動産にシフトする動きが出て来るかも?
どうでしょうか?

非正規の賃金がUPしているようです。
あれやこれやで、コストプッシュ・インフレへ?
が、年率4-5%のインフレは、当面なさそうな感じ。
どうでしょうか?

まさに、黒田バズーカ・2で未知・未踏の戦場に立っています。
尖閣も、いつ実戦場になるか!
来年はビクビクもんですね。
「おどかすなよお!」(笑)

読みたい本が、いっぱい積み上がっています。
焦っても、一日は24時間で、なかなかですわ。

ごきげんよう。

2014/11/27 16:39 | by まろたん

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