株価とマンションの理由なき高騰

しかし、今回の「黒田バズーガ2&消費税先送り」は効いています。
とりあえずの景気の先行きを一気に明るくしました。
メチャメチャ効きのいいカンフル剤ですね。
近年、こんなに効いた景気対策は無いのではないですか。
まるで覚せい剤ではないですか! それだけに、切れた後が心配。

すべての物事には始まりと終わりがあります。
先送りした消費税10%は2017年4月には確実に上がるとか。
あと、2年と4カ月先です。あっという間にやってきますよ。
もし、本当にそうなるのなら2017年のリセッションは確実。
安倍君にしてみると「その頃まで総理をやっているかどうかわからん」
だろうから、テキトーに考えているのでしょうよ。

しかし、今回の総選挙じゃ安倍自民は大勝でしょう。
だって、他に勝つところがないじゃないですか。
創価学会がきちんと自民党候補に入れれば、300超は確実。
今回、投票率が下がれば公明、共産、そして自民党に有利。
意外と善戦しそうなのが次世代ではないかと予測。

さて、12月8日に7-9月期のGDP速報の第2次が発表されます。
民間予測では、11月17日発表の数値よりも上方修正だとか。
まさか。前回も民間シンクタンクはほとんど大はずし。
私は下方修正ではないかと思うのですが・・・ただの当てずっぽう。
つまり、足元の日本経済はほぼ完全に失速しているのです。
なのに世の中の空気が暗くないのは失業率と倒産数の低さ。
さらに言えば、株価が上がっているから。

今の株価・・・不思議です。
なぜ上がっているのか、私にはまったく理解できません。
いくらGPIFが株式比率を増やし、日銀がETFを買おうが、
東京株式市場の主役は海外のヘッジファンドのはず。
官制だけでは、ここまで意図的に株価を上げることは
できないと私は思っているのですが。

ということは、海外のヘッジファンドが日本株を買っている?
しかし、円安が進めば彼らにとっての日本株の価値は落ちるはず。
だから、海外勢はそれほど強気に買えないはず、と私は読みます。
何よりも、企業の業績は目覚ましくよくなっていません。
一部の輸出系企業はわが世を謳歌していますが、
輸入系企業は収益を確保するのに四苦八苦しています。

このファンダメンタルズがあまりよくないはずの株価上昇は何?
原油価格の下落だけでこんなに株価が騰がるのはおかしいですよ。
それは、下がるよりも上がった方がいいにはいいのですが。
どこかで急落するような上がり方ならやめて欲しい。

しかし、選挙というのはすべてを「一時停止」にしてしまいます。
この時期、本来ならば来年度予算案審議が山場になっているはず。
国会にとって最重要な来年度予算をおっぽりだして
先生方は選挙区を駆けずり回っています。
もっとも、議員先生にとっての最重要は予算ではなく選挙でしょうが。

尖閣や小笠原も、あまり報道されなくなりましたね。
北京では、あまり騒ぐと次世代の党が躍進するとお考えなのでしょうか?
まさか、あの方々が日本の国内事情を細やかに観察し、
国民感情に配慮した行動をとるとは思えませんね。
それに、末端まで統制が行き届くはずもないでしょうから。
したがって、何か事が起きる時には選挙に関係なく起きます。

もうひとつ、選挙で霞んでしまったのが「国債の格下げ」。
日本政府が発行する国債(借用書)は、
中国や韓国の政府が発行するモノよりも、信用度が低いんですって。
これって、ものすごーく大変なことですよ。
あの、2度目のデフォルトIMF管理が懸念される韓国より下。
経済の大混乱が予測されている中国よりも下。

本当にその通りなら、雀の涙以下の利息しか付かない日本国債など
とっとと売ってしまって、中国や韓国の国債を買った方が安全、
ということになりますよね。なぜに世間は、そのように騒がない?
また、韓国債や中国債への買い替えが起こらないのでしょう(笑)。

メディアがあまり熱心に取り上げないのは、客受けしないから。
つまり、日本国民の大半は国債の格下げニュースに「ああ、そう」。
あまり関心を示さないからでしょうね。自分に関係ないと思っている。
それよりも、選挙。誰が当選して、どいつが落ちるか?
選挙をやっていなければ格下げはもっと大きく扱われたでしょう。
この分ではきっと8日のGDP第2報も大きくは扱われないですね。

ついでにもうひとつ、気になるニュースは香港。
あのユルユルの抗議運動がかくも長く続いていることに驚きます。
しかも、昨日はちょっとした衝突となって40人逮捕ですか。
北京の首脳たちは歯ぎしりする思いで見ているのでしょうね。
天安門で同じことが起こったら、即刻全員逮捕でしょう。

この運動、どうも日本のメディアの取材が甘いような気がします。
もっと突っ込んだ記事や分析が読みたいものです。
ここまで続くということは、予想以上に根が深いはずですから。
しかし、日本人はほとんど関心を持っていませんね。
もしかしたら、共産党政権の「終わりの始まり」かもしれないのに。
英国の議員団の香港入境を拒否したことでも、
北京側の焦りが見えるというもの。
ダムは小さな穴ひとつで壊れる、ということを考えるべきです。

最後に少しマンションのお話し。
本日、地方の投資家さんが有料相談にお見えになりました。
その時に都心の築浅中古マンションの物件一覧的な資料を
チラチラ見せてもらったのですが、「エエッ」というほど価格が高騰。
ついこの間完成したばかりのマンションが、
新築時の販売価格よりも1~2割上がっている感じですね。
それも、ここ1か月くらいでさらに騰がった感じがします。
黒田バズーガ2と消費税先送り、そして株高が反映されたのです。
いやはや、ハッキリとバブル。困ったことです。

というのは、このまま上がり続けてくれれば、
多くの方がハッピーなのですが、そんなワケがありません。
バブルはいつか弾ける時が来ます。
その時がきたら、今買った方には損失が発生します。
不動産業者も倒産するでしょう。破産する人も出ます。

実は、都心のマンション市場は7月でいったんピークを迎えて
11月まで緩やかな下落基調であったと私は捉えてきました。
ところが、11月10日の黒田バズーガと解散・増税先送りで、
一気にミニミニバブルが盛り返した感じになっています。
これは実に危険な兆候です。

冒頭で申し上げた通り、株価は理由なく上がっている可能性があります。
つられて、都心のマンション価格も上がってきました。
ということは、株価が崩壊するとマンション価格も・・・
これはもう、買い時というよりも、ハッキリと「売り時」です。

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2014/12/2 18:14 Comments (6)

6 Comments

まろたんさん、こんにちは。

小金だとしても、お持ちなのが羨ましい。
今の私は人生で一番お金がかかる時期ですから、ヒイヒイ言っています(笑)。
65歳・・・確かに何が起こっても不思議ではないのでしょうが、
今の65歳は昔と違ってかなり元気ですね。

鹿児島の田舎で爺さんたちと話していると
70代でも地域社会では若手だそうですよ。
まあ、そんなところに住みたくはありませんが、
そのうちこの街が同じようになるかも(笑)。

しかし、今日も株が上がり、円が下がりました。
金利は大して動いていません。
私は金利が上がるとは思えないのですけど・・・
その理由は、金利が上がって一番困るのは政府だから。
財務省の役人どもは、金利を抑えたままインフレへ
という実に都合の良い状態をめざしていますね。
経済学的にはあり得ない状態らしいですが。

それにしても、今の株価はバブルだと思います。
はじけるのが、ちょっと怖い水準です。

寒くなりました。震えています。
まろたんさんもご自愛を。

それでは、ごきげんよう。 榊淳司

2014/12/04 18:39 | by Sakaki Atsushi

なるほど。
ご指摘、ありがとうございます。 榊

2014/12/04 18:30 | by Sakaki Atsushi

> 今の株価・・・不思議です。
> なぜ上がっているのか、私にはまったく理解できません。

ドルベースでみれば、日経平均は上がっていないですね。海外の機関投資家はドルベースで一定比率買っているだけではないでしょうか?

2014/12/04 16:33 | by 匿名

榊さま。

ご多忙の中、さっそくの御意見をありがとうございます。
仮に向こう10年を見渡したとき、円高・円安のどちらに動くか、
誰にも分かりません。
ただ、国債バブルと放漫財政が続きそうな点に注目しますと、
向こう10年と限定しても、FXの動向は不明として、
「金利の高騰」や「高インフレ」は、あり得るシナリオでしょう。
しからば、その対応を考え、出来る限りの対策を、
実行しておくべきではないかと、思慮しています。
まさに「後顧の憂い」のないように、ですね。

仮に金利が「短期間で・大きく」上がった場合、もたないのは必定。
政府の打つ手の如何に拘わらず、日本経済は「大激変」し、
従って、私の生活もヘタすると「成り立たない」となります。
この先、政府・日銀は「低金利」にコントロールし続けることが、
果たして出来るでしょうか?
私は、そう遠くない将来、つまり私の寿命が果てるまえに、
「アウト・オブ・コントロール」を迎えるのではないか、
と予測します。否、せざるを得ません。

大金持ちの身分の日本人には、不要の心配・悩みです。
逆に、何も持たざる人びとも、また不要の心配・悩みです。
いわゆる「小金持ちの・年寄り」にこその心配・悩みですね。

われら団塊世代には、この小金持ち層が多いようです。
イヤミではなく「何も持たない」というのは、
「失うものがない」ということであり、激変につよい。
きょうびの言い方で、まさに「無敵の人」ですわ。
何でも、ドンと来い!なんてね。(笑)

ま、冗談はともかく。
榊さまのコメントも参考にして「悪あがき」を考えてみます。
ありがとうございました。

最後にシリアスな話を。
つい数日前、女房どのの親戚筋の女性が、急逝されました。
心筋梗塞だったと。
享年が、65歳。私とズバリ同年齢ですわ。
同年齢・同世代の死は、こたえますね。
どうしても、わが身にかさねてしまいますわ。
いろいろと、人生を深く考えてしまいますね。

むかし、或る商品の宣伝文句にありましたね。
「トシの順とは、かぎらんぞ!」
また、
「明日あると、思うこころの・・・」
女房どのにも、ふだんから話しています。
「60過ぎたら、みな、横一線。悔いなきよう生きよう」
とね。
そうじゃ、有馬温泉。(笑)

一期一会。
今、この瞬間こそ「すべて」でしょう。
ま、養生を心掛け、思いっ切り生きましょう。
感謝しつつ。

ちーと、重くなり失礼しました。
ごきげんよう。

2014/12/03 14:01 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

円高か、円安か・・・分りません。
国の借金は普通に考えれば返せません。
解決策はインフレかデフォルトしかありませんね。
日本の政策の大半は財務官僚が考えています。
彼らは基本、目先のことしか眼中にありません。
試験の秀才たちは「簡単なことを先にやり、難しいことは先延ばし」が基本。
したがって、我々の眼では「何も考えていない」となります。

ずっと先延ばしをやり続けるとデフォルトかインフレ。
それはすなわち円安ですね。
でも、第3の道もあります。
日銀持ち分の消却。一種のデフォルトですが。
これで借金は3割がた消えます。
これもまた円安。

しかし、外国為替は相手もあることです。
ドルもQEの残債があり、ユーロは加盟国のインチキ財政という
それぞれの弱味をもっています。
日本政府の借金はほぼ国内で消化。
それぞれのインチキ度を秤にかければ、日本はマシ。
だから円高というシナリオもあります。

世界経済は、ドル・円・ユーロ・人民元という
巨大な管理通貨制度のバトルという未知の領域に入っています。
経験だけでは推し量れない未踏の分野。

私は個人的に円高シナリオを描いていますが・・・
まあ、あてずっぽうです。

寒くなりました。ご自愛ください。
ごきげんよう。 榊淳司

2014/12/03 10:48 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

自民大勝ちで2万円大納会、なんてチンドンヤが囃してます。
自民党としては、選挙当日までは上げ相場を死守、でしょう。
もちろん大勝ちすれば「くるしゅうない」でしょうから。
不動産までが大きく動いているならば、バブル深し、でしょう。

バブルはともかく。
私は、やはり国債バブルのぷっつん、が心配ですね。
ずばり「長期金利」の動きです。
国債バブルについては、大きく2論説あります。

1.ディフォルトしない論説。
いやしくも先進国のメンバーとして、ディフォルトしない。
メンツ論ですね。
更にまた、出来ないだろう。
ディフォルトした場合の、世界経済に与える影響を考えると、
米国をはじめ、西欧先進国はディフォルトを認めないはず。

そこで、いわゆる金融抑圧をやりつつ、インフレ惹起で、
国債残高を、実質的に減額する作戦という論説。
20-30年の長期戦略ですが、主流派のようです。

が、そうそう、うまくゆくか?
20-30年も、目論見通り行くと考えるのは、やはりあまい。
何が起きるかわからない、と考えるのが賢人でしょう。
何かの不可抗力で、金利がするすると上がったら、アウト!
金利支払いでアップアップ、国債投げ売りとなり、財政破綻です。

そうなれば、万事休す。
ディフォルトしかないのでは、有馬温泉。(笑)
いや、つまり「ハラハラの長い日々」ですよ。

六〇半ばの身。
残りの人生行路を考えますと「何か手を打つ」べきかと。
ま、打つ手は「外貨建て」に移すことが主手でしょうが。
問題は「いつか」です。
そして「どのように」です。
悩ましいところです。

「円安」トレンドが、途中、円高への多少の戻りはあっても、
20-30年スパンで進むようなら、外貨建てにシフトでしょう。
その「見極め」つまり「賭け」ですね。
かのオオカミ少年と揶揄されている藤巻健次さんは、
円高にぶれて為替差損がでた場合は「保険料」だと割り切れ、
と書いてます。
資産のヘッジですから、一理あります。
差損を「オプション・プレミアム」と割り切る。

榊さま。どのように考えられますか?
ご自分が、やるやらないは置きまして、タクティクスとして考えた場合に。

いずれにしても、来年は、じっくり見て・読んで「動」かと。
ややこしい話になりました。
養生第一。
ごきげんよう。

2014/12/02 23:26 | by まろたん

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