東京とロンドン、バブル崩壊はどっちが早い?

あけましておめでとうございます。

実に平和なお正月ですね。大きなニュースは何もなし。
きっと、新聞の編集デスクは困っているでしょうね。
私の夕刊フジコラムも、明日はありません。初日は9日。
原稿はもう送ってあるので、お気楽な正月。笑点をみて大笑いしています。

ただ世の中の現実は現実で、何かが解決したわけではありません。
今年の日本は統一地方選挙がありますね。
日銀の黒田君が目論むように物価が上がるでしょうか?
物価については金融政策よりも円安がどこまで進むかによります。

1月1日は世界的に休日です。
ただ日本以外の多くの国では、お休みは1日だけ。
英語圏ではただの New year’s day. という普通の祝日。
つまり、12月31日も1月2日も平日扱いです。
昨日の31日、ドイツの株式市場DAXは大きく下げましたね。
アメリカもまあまあ下げています。
日本は5日からです。さて、どうなることやら。

どんな年になるのか、普通の話題は他の方に譲りましょう。
私はいつもの斜め読みです。
ありそうなことはイギリスの住宅バブル崩壊でしょうか。
今、日本以外の多くの国で住宅バブルが起こっています。
港区で新築マンションを購入して賃貸に回すと、利回りは約3%。
これが東アジアの諸外国からみると「好利回り」です。

かつての投資利回りの基準で考えると手堅いところで5%。
普通は8%以上を狙います。3%なんていうのは低利なはず。
しかも、投資先は不動産ですからリスクが生じます。
私は今年もバリ島不動産をみなさんに勧めていきますが、
だいたいの物件の想定利回りは15%前後です。
インドネシアは定期預金で7-8%の利子が付きます。
不動産投資はリスキーなだけに、価格に対する利回りは
銀行預金金利以上にならないとおかしいのです。

イギリスの住宅価格は、ロンドンでバブル的な高値になっています。
日本と同じく3%程度でしか回せません。
ただ、日本との違いは「成長性」ではないでしょうか。
聞くところによると、ロンドンは外国人だらけなようです。

イギリスは基本的に移民政策をとってきました。
外国からの移民を歓迎してきたのです。
彼らは低賃金で働き、安価な公営住宅に住みます。
すると、イギリスの労働者階級の仕事と住宅を奪います。
住宅は不足気味となり、次第に価格が上昇。
投資利回りが3%というのは、私から見ればバブルです。
5%から8%くらいが健全なところでしょう。
しかし、別の見方もできます。
今のロンドンは住宅不足だから、高値の投資をしても
ほぼ確実に3%でまわるのです。

東京の場合は「想定3%」です。借り手がいれば3%でまわります。
借りてくれる人がいなければ、0%。管理費や税金でマイナスです。
私は東京に住んでいるので、この街の住宅が空家だらけなことを知っています。
実際に不動産へ投資もしてきたので、賃貸経営の危うさも分ります。
だから今、投資用のマンションを買おうとは思いません。
物件次第なところはあるのですが、リスクが高すぎですね。

上海や台北、シンガポール、香港なども総じて投資利回り3%以下が基準。
どうしたことでしょう。近隣諸国がこぞって不動産バブル。
私なりに考えれば、やはりFRBのQEでしょうね。
アメリカがドルを増やして世界にジャンジャカと供給したのが遠因。
ECBもギリシア危機の時にユーロを増やす、と宣言しました。
実のところ、あまり増やしていないそうですが。

少し前に書いたように、管理通貨制度は基本が幻想です。
インチキと言い換えてもいいでしょう。
このインチキな制度がインチキぶりを発揮するのが通貨増量。
黒田君のやっている「異次元の金融緩和」もそのひとつ。

ところが、イギリスはユーロ圏でも、ましてやドル圏でもありません。
未だに自国通貨ポンドを使っています。
そして、日米欧のように通貨を増量させていません。
であるのにロンドンでの住宅投資利回りが3%というのは、
単純に需要が供給を上回っているからではないでしょうか。

現在、イギリスでは猛烈な勢いで住宅を作っているそうです。
そのうち、供給が需要を上回るようになるはずです。
そうすると、投資利回りは5%から8%あたりに上がるはず。
ロンドン郊外の都市ではそのあたりが基準です。
つまり、ロンドンの住宅価格は今の半額に下がります。

純粋に経済の法則から考えるとそうなるはずです。
また日本と違ってイギリス経済は需要と供給の法則を反映しやすい、
と私は個人的に考えています。
経済規模も日本よりもサイズが小さくて、分りやすい。
アングロサクソンは基本、ものごとを合理的に考えます。

その点、日本の不動産価格は非常に不合理な動き方をします。
未だに「土地神話」や「住宅不足」時代の幻影を引きずっています。
単身高齢者は賃貸住宅を借りにくい、と本気で考えている人も多いですね。
そういう方は、いちど大家さんになってみればいいのです。
保証を付けておけば、なんてことはありません。
借りてくれる方がいれば万々歳、というのが大家の本音。

私から見れば、ロンドンの不動産よりも東京のそれがよほどに不自然です。
なぜなら、借り手のいない空室だらけなのに価格だけは上がっているから。
家賃を20万円以上払うためには手取りで50万円以上の給料が必要です。
額面なら60万円。そういう方はボーナスを入れて年収1千万円です。
これは全体の3.9%。かなりの少数派。しかも、この連中は大半が家を持っています。

そういった方々向けの賃貸住宅が、東京では毎年数千戸ずつ増えている、
と私は見立てています。何とも恐ろしいことですね。
だから、可能性としてはロンドンの住宅バブルよりも
東京の方が崩壊しやすいはずです。でも、今年はないでしょうね。
その理由は、日本の大家さん(投資家)は、1億円くらいで買ったマンションに
半年や1年くらい借り手が見つからなくても投げ売りなんてしないから。
「運が悪いのは自分だけだ」「いずれ借り手が見つかる」とホールドするのです。
しかも、金利は史上最低を更新中。
このままでは、何かのキッカケがなければ東京の不動産バブルは崩壊しません。
でも、イギリスの不動産バブルは、連中が合理的であるゆえに
今年中に起こり得る可能性は十分にあるはずです。
イギリス人には土地神話なんてありません。不動産はただの不動産です。

まあ、正月から「バブル崩壊」なんて穏やかならぬ話で申し訳ございません。
この辺で失礼して、酒かっくらって寝ます。
みなさまも健やかにお過ごしください。

今年も毒舌ブログでバズーガ撃ちまくりますので、ひとつよろしくお願いします。

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2015/1/1 20:09 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんばんは。

お正月も実質終了。あしたから事務所に出ます。
まあ、いつものような変わり映えしない日常。
サラリーマンは、あの「あいさつ回り」というクソみたいな習慣を
あしたもやるのでしょうね。
私、やったことがありません。

確かに、給与所得しかないサラリーマンは苦しいでしょうね。
せいぜい奥さんを働かせることくらいしかできない方は特に。
私は自分で会社を作る前からいろいろ副収入の途を作ってきました。
今でも、いろいろ悪だくみをしております。
まあ、そんなことはどーでもいいのですが・・・・

黒田バズーガ、撃ちそうですね。
撃ったら150円突破ですよ。
今のうちに外債でも買いますか?
あまり気乗りはしませんが。
2月のGDP発表を待ちましょう。

それでは、ごきげんよう。 榊淳司

2015/01/04 22:53 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

> 今、日本で最も苦しいのは年収・500周りのサラリーマンだと。
> 本当は貧乏人の枠内に入るが、貧乏に暮らせない。
> ついミエハルくんになってしまう。と、財布はカラッポ。
> 住宅ローンなんぞ組んだ日には・・・。

まったく以て、実に的確なご指摘だと感心しました。
これに該当するひとは、相当数いるように推測しますが。
「貧乏人の枠内に入るが、貧乏に暮らせない」
というのが、メいっぱい「貧乏くさい」ですな。(笑)

三〇年前、私は三〇代でした。八〇年代ですね。
そのころ、三〇半ばのホワイトカラーの年収の「中央値」が、
600-700万だったように記憶しています。
確たる統計情報ではなく、個人的に聞き及ぶ範囲のものですが。

そのころでも、1000万というのは「大台」でしたが、
メーカーでは、四〇才で「大台」を超えるのは厳しいだろう、
などと、友人と話していた記憶もあります。
ふつうのメーカーは、付加価値が大きくないですから。
もっとも「インテル」のような高付加価値製品のメーカーは別ですが。
そんなメーカーは、稀少ですから。

あの頃から三〇年過ぎましたが、多くのホワイトカラーの収入は、
「名目」で、余り増えてないようですね。
もしかしたら「名目」で、年収は減少していると?
が、長いデフレでしたから「実質」は、ぼちぼちという感じ?
で、相対的に公務員が良くなった、ということでしょうか。

みんな「よく生きてますよ」ねえ。(笑)
もちろん「私も」ですが。
なかでも「給与所得」だけのひとは、特に厳しいですね。
とは言え、あの大バブルがハジケて、大やけどの御仁もいましたし。
やっぱ、
みんな「よく生きてるよなあ」と言うしかない。(笑)

さて、これから先のこと、本年ですが。
かなり「上向き」「良い感じ」になるのでは、と。
もちろん「金融景気」であって、その部分では「そこそこ」では、と。
特に「株式相場」を中心に。
いっぽう「額に汗する」部分では、チャリンていど、かと。

更なる黒田バズーカも出そうな?
「やけくそバズーカ」が。(笑)
榊さまの、年頭の「読み」は、ズバリ如何?

ごきげんよう。

2015/01/03 18:37 | by まろたん

まろたんさん、あけましておめでとうございます。

今年も辛子の効いたコメントをよろしくお願いします。

イギリスの景気は絶好調みたいですね。
今年の経済成長は7%ですって。ビックリします。
連中は基本、合理的です。
労働党が少し庶民に融和的ですけど。

日本は平等を取り繕っているところがありますが
中身はけっこうな階級社会ですね。
下流な方々はそれに気が付いていませんが。

今、日本でもっとも苦しいのは年収500万円前後のサラリーマンでしょう。
本当は貧乏人の枠内に入るけれど、貧乏っぽくは暮らせない。
しかし、ちょっと見栄を張るとすぐに財布が空になる。
住宅ローンなんか組んでしまうとヒーヒーになります。
そんな人は家を買ってはいけないのですけどねえ。
私の「年収200万円からの・・」を読むべきです(笑)。

ではまた。 ごきげんよう。

榊淳司

2015/01/03 11:02 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

2015年・明けましておめでとうございます。
本年もよろしく。

さて。
ロンドンは、と言うか、も住宅バブル中と。
カネがじゃぶじゃぶで、向かうところは不動産。
価格がイビツに上昇=バブルで、困ったものです。

まともな生活者が、はじき出されてしまう。
世界中の主要都市は「強者連合」の独占場になります。
本来的ではありませんが、若干の「規制」が必要でしょうか。
もちろん過ぎた規制は、また、困ったものですが。

榊さまも、ご存知の通り、英国は「階級社会」です。
ですから「体格を見ると、出自がわかる」
などと、言われるそうです。

良家出身の子女は、良い体格をしている、という訳です。
もちろん「言葉つかい」でもわかると。
言葉つかいは、日本でも、おおかた同じですね。

日本も英国に負けず「長い歴史と文化・伝統」をもつ民族国家です。
ふだんは眼にしませんが、どっこい、深くふかく、地下水のように、
この文化・伝統を守って生きている一群が、おられます。
そうカンタンに、やすやすと「ほろぶ」ものではありません。

新年を寿ぎつつ、日本国民であることを喜びたいものですわ。
カゼでゴボゴボと、せき込みながら。(笑)

ごきげんよう。

2015/01/02 10:54 | by まろたん

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