マンション購入は賃貸よりもハイリスク

2月2日15:19 に第10号のメルマガ
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さて、今日のお話です。
今日はまじめにマンションの話をしましょう。
私のブログには一定数の読者さんがいらっしゃいます。
まことにありがたい話です。
その一部の方が、時々セミナーや飲み会にご参加くださいます。
共通して言えることは、みなさん「感度が高い」ということ。

このブログは、一応の主題が「マンション」です。
時々、というかしょっちゅう脱線しますが、
半分程度はマンションをテーマにした話題を中心にしています。
それも、ほとんどが新築マンション関連になります。
価格が高いとか、安いとか、バブルだとか。

また、無料と有料でご相談を承っています。
「感度が高い」みなさんですから、ご自身の
マンション購入に関しては実によくお考えです。
私にお尋ねになることで最も多いのは「10年後の資産価値」みたいなこと。
多くの方が、そこに永住するのではなく
「5年後、あるいは10年後の売却」を想定されています。

これって、私にとってはかなり意外なことでした。
私は20数年間ほぼマンション専門の広告屋をやっていました。
身に着いているスキルはコピーライターです。
よく書いたワードは「永住」。「永住品質」とか「永住仕様」。
つまり、「このマンションはずっと先まで快適ですよ」ということ。
もちろん、それが本当かどうかなんて知りません。
コピーライターはクライアントの代筆屋みたいなものですから、
連中の言いたそうなことを文案にまとめるのが仕事。

私がマンションの広告を生業としていた頃、市場の中心は郊外でした。
年収500万円から600万円くらいの方が購入されるマンションが
マーケットの主流商品だったからかもしれませんね。
今、新築マンションの市場は都心が主流です。

その昔、市場がバブルになるとマンション市場は
16号線の外側まで拡大しました。
今から考えれば完全に狂っていますね。
私も16号線エリアで販売された新築マンションの広告を
たくさん作ったことを覚えています。
ああいうマンション、今はほとんど市場価値を失っています。

景気が悪くなると、マンション市場はほぼ環八の内側に収縮します。
最悪期には、山手通りもしくは明治通りの内側が主戦場になります。
そうなると、「永住」というワードが途端に空々しくなります。
「住む」という本来の役割の他に「金融資産」としての
色彩がより濃厚になってくるのです。

私にご相談いただく場合も、「住む」のだけれども「資産価値は?」と
お悩みになっているケースが多くなります。
だから、「5年、あるいは10年後に売却する場合は・・・」となるのです。
これが、私からすると実に不思議な感覚です。

5年か10年後に売るのなら、わざわざ「購入」という
大きなリスクを取らなくてもいいでしょ? と考えるのです。
マンションを購入すると、様々なリスクを背負うことになります。
ざっと上げただけで
・値下がりする可能性
・住宅ローンが返せなくなる可能性
・地震や津波、火事などで建物が毀損する可能性
・建物に欠陥が隠れている可能性
・危険や迷惑過ぎる隣人がいる可能性
・管理組合の中で紛争が起きる可能性
・目の前に大きな建物ができる可能性

そして、10年後に売却する時はどうなっているのか?
購入額の8割で売れれば上出来です。
でも、そもそも新築が中古になると「2割下がる」なんてことも言われます。
実のところ、これはそんな単純ではなくて
港区南青山では中古の方が高いこともあるのですが、
千葉県四街道あたりでは新築は中古の倍以上だったりします。
つまり、都心ほど中古と新築の価格に差がなく、
郊外へ離れれば離れるほどその差が開くのです。

まあ、それは余談なのですが、山手線から少し離れた場所である
世田谷区の端っこになると新築と中古はざっくり2割の差です。
つまり、東京23区の端の方では「買ったとたんに2割下がる」のが現実。
10年後にはいくらになっているのでしょう?

ところが、感度の高い方たちは「10年間家賃を払い続けるよりも」
とお考えになります。「買った方が安く上がるかも」という発想。
結果的にそうなることもあります。
今のようにバブルだと「10年住んだ住まいを購入額以上で売却」、
というケースもザラに見られます。
ただ、私に言わせれば今がバブルなだけです。そのうち弾けます。

これからの10年は、今までの10年とは大きく違うと思います。
何が違うかというと、東京という街が衰退期に入るのです。
5年後、この街ではオリンピックが開催されます。
そこがこの東京の長い長い発展の歴史のピークです。
今回のバブルも、そのピークを見つめて起こっているとも考えられます。
しかし、5年後にピークを迎えたこの街は、衰退を始めます。

それまでに、この街を発展させる何か劇的な変化があれば話は別です。
まあ、そんなことがあるとはとても思えません。
ロンドンやパリのように移民を受けることにでもならない限りは。
日本人はああいう変化を決して望まないでしょう。
外国人の旅行者が増えるだけでも快くは思っていないのですから。

東京が衰退する、というのは今までに無かったことです。
戦争で焼け野原にされた時と、その前は徳川将軍家が駿河に去った時。
近世以降では、その2回だけ。いずれも自然現象ではありません。
今回、東京は自然現象として人が少なくなります。

困ったことに、住宅は今でも余っています。
まわりを見渡してください。住宅もオフィスも空きだらけです。
なのに、住宅の価格は暴落していません。
都心ではバブルさえ起こっています。すごく不自然な現象です。

実のところ、住宅の賃料は実質的に下がっています。
「礼金・敷金なし」とか「フリーレント」といった現象は、
賃料が実質的に下落していることを表しています。
それでも、賃貸住宅はどんどん増えていますから、
賃料は今後も下がり続けることが確実。

「賃貸マンションを建てている人なんかいないぞ」
とご指摘くださる方もいるはずです。その通り。
都心エリアで今から賃貸マンションを建てようとする方はごく少数。
そうではなくて、都心の分譲マンションを
居住ではなく投資用に買っている人が多いのです。
相続税対策とか、外国人の購入です。
それらのほとんどが賃貸に回ります。
賃貸市場はユルユルになっています。実質「借り手市場」。
だから「礼敷ゼロ」や「フリーレント」が出てくるのです。

日本人というのは、あまりドラスティックには行動しません。
半年くらい空室のままでも「家賃を下げる」というオーナーさんは少数派。
でも、水面下で賃貸市場の下落はハッキリしています。
今後、この傾向が顕著になるのも自明。

つまり、住まいの資産価値は下がり、賃料も下落し続ける時代が今。
そんな時に、先に挙げたリスクをとってまでマンションを買う、
というのは大きなギャンブルではないでしょうか?
「でも、賃貸住宅のクオリティが低いから」という人もいます。
いいえ、相続税対策で買われたマンションを借りればいいじゃないですか。
分譲マンションが賃貸に出されているケースは多く、
賃貸仕様と比べて家賃が割高になっているとは思えません。

私は、「マンションを買うな」と言いたいのではありません。
「10年後に売る」ということなら、大きなリスクを背負うことはない、
ということを申し上げたいのです。
例えば、今手元に5千万円の現金があって、それを使って
5千万円のマンションを買って住む、というのなら大いにありです。
毎月20万円の家賃を払うよりも、上手な住まいの選び方です。
年間の住居費は180万円ほど安くなるでしょう。
5千万円を投資して3.6%以上に回る金融商品を探すのは困難。
バリ島の不動産に投資すればカンタンですが(笑)。

でも手元1千万円で、あと4千万円を35年ローンで買う、
となると、それが賢明かどうかは大いなる疑問。
そのマンションは10年後に半額になっているかもしれません。
多分、そうなっていると思います。東京の人口減少5年目ですから。
35年後には間違いなく5分の1以下に価値は落ちています。
もしかしたら、無価値に近い状態かもしれません。
35年後には日本人は今より2千万人以上少なくなっています。
そういう時代に築35年のマンションはきっと、
数百万円の価値もないはずですから。

であれば、好きな場所に賃貸で住んでいる方がお気楽じゃありませんか。
引退後は田舎にタダ同然の住宅を買って、ゴルフや釣り三昧でもいいし。
下手に資産価値にこだわってローンを払い続けるより
精神衛生上建康ではないかと思います。

さて、資産価値レポートの更新情報です。

渋谷区は、先ほどメルマガを配信しましたが
「代々木」と「代官山」に徒歩1分の物件が出ていて注目。
特に代々木のマンションは相続税対策向けとしては
「抜群の条件」を備えているように思えます。

目黒駅前にブリリアタワーが出ました。
でも、こちらはメルマガには入れませんでした。
多分、もう少し中身と価格が分かる次回の更新時に
メルマガで配信すると思います。

「目黒・五反田・大崎」
価格4,190

■大崎ウエストシティタワーズ、■クレヴィアタワー池田山、■(仮称)目黒大規模タワープロジェクト、■オープンレジデンシア高輪台、■プレミスト北品川、■Brillia(ブリリア)Towers目黒、■リビオ目黒 ザ・プレイス、■パークナード目黒 カレン、■ザ・パークハウス 目黒三丁目、■ディアナコート学芸大学レジデンス、■シティハウス目黒学芸大学

「渋谷区」
価格4,980

■ピアース初台センティア、■パークコート渋谷大山町 ザ プラネ、■グランドメゾン上原コート、■ザ・パークハウス上原、■プレシス参宮橋、■シティハウス恵比寿伊達坂、■シティハウス神宮北参道、■サンウッド代々木公園、■パークホームズ初台、■レフィール参宮橋ヒルズ、■リビオ笹塚、■(仮称)広尾南計画、■ブランズ代々木、■THE CONOE〈代官山〉

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2015/2/2 15:34 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

なるほど。共産化防止だったのですね。
公共事業的な色合いと住宅不足の解消は認識していましたが、
共産化の防止は新鮮な観点です。
まあ、今さら共産化もないでしょう。
天下の共産党は健在ですが(笑)。

しかし、今の時代でも35年ローンは廃れません。
いったい誰が35年先まで定期収入があると確信できるのでしょう。
これってまさに現代のメルヘンです。
35年ローンの返済額が今の家賃よりも安い、
というチョー子供だましの算数で家を買う若者。
それをしたり顔で売る不動産屋。

世の中、間違っている!
なんて、青臭いこと言っても仕方なし。

35年後の荒野を想いつつ、今日も仕事をします。

ごきげんよう。  榊淳司

2015/02/03 12:54 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

今日のお題は、
剣道で言えば「正中面打ち」、柔道で言えば「背負い投げ」、
まさにまさに「おおわざ・イッポン」のテーマですね。
さらに、まさにまさに「今日的」なテーマであります。

先ごろ放送されたNHKの或る番組で、出演者のひとり、
確か宇野常寛という、若手の評論家が発言していました。
「多くの人が、なぜ家を買うのか分からない」と。

この発言は、まさにシビレルような「正中面打ち」であり、
それ故に、他の出演者からの反応は、全くありませんでしたね。

長期ローンで住宅を買う時代は「論外」。
終わってますよ。

では、手持ち資金・5000万円あれば、如何?
よしんば、あったとしても、買わないこと。
「キャッシュ・イズ・キング」と言います。
金融界の古典的な格言ですが。

今のいま、右から左に直ぐに、現金を5000万動かせること。
そういう手持ち資金があること。これは、
「ディフェンシブ・アンド・ストロンゲスト」
心に、生活に、将来の計画に「余裕・ゆとり」が持てます。
ほぼ「無敵」でしょう。

私ならば、この選択をしますね。
今や、日本国は、そういう時代状況であろう、と。
ただ、日本国財政が破たんしたらアウトですが。(笑)
す、すまんの。
ま、それはそれで、チエを絞りましょう。

2020年から、東京都の総人口が減り始めるとの予測。
が、70歳未満の人口は減り始めています。
70以上の、じじばばが増殖中で、総人口では漸増中。

更に統計を絞り込むと、15-65歳の、いわゆる労働人口は、
とっくに、ズンズンと減り続けています。
が、この事実が、あまり認識されていないと、
元総務大臣・増田寛也さんは、指摘されております。

この事実について、増田さんは講演・セミナーで、
さまざまな企業の幹部に話されるそうですが、
概ね反応がよくないと。
その中で、しっかり認識しているのは、JRなど都市鉄道企業だと。

なぜならば、「通勤定期」の売上が減り続けているからで、
彼らは、営業実績でつかみ認識しているのだそうです。
他の企業は「のん気な、のんちゃん」平和ボケ。
「無敵のひと」たち、ですね。(笑)

さて。
或るエコノミストによる「説」です。
戦後、日本で「持ち家」が政策として奨励された理由。

1.国土焼け野原状態で、とにかく住宅不足。
それを国民にローンを組ませて買わせて凌いだ。
2.この住宅建設は、民間人による「公共事業」の代わりとなり、
戦後の経済復興・成長の牽引車とした。
3.「持ち家」により、混乱期を含めて戦後日本人の、
「共産化」を防ぐ意図があった。

その結果、高齢者の9割強が「持ち家」になりました。
そして、今や「空き家」問題が止められないという有りさま。

ですから、賢明なるニッポンの若者よ。
今や長期ローンで住宅を買うなんて「論外」。
自己資金があっても「他の目的に回しましょう」。

もう「持ち家」でなくても「共産化」の心配はないでしょう。(笑)
いかがでしょうか。

ごきげんよう。

2015/02/03 00:23 | by まろたん

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